異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
『精進魚類問答』は精進物と魚類、すなわち野菜や植物素材の料理と魚介類を主とする海産物との争いを主題とする江戸後期の戯作である。作者は吉田可水という伝未詳の人物である。この作品がどこで作られたのかもよくわからない。しかし、本文をつぶさにみると、ある程度は見当が付けられそうである。
以上、発表者伊藤慎吾による要旨でした。
次回は明日です!時間・場所は同じ。
まず南京坊一官というキャラクターがいるが、これは野菜の南京の擬人化である。南京というのは今日でいうカボチャであり、今でも関西地方ではナンキンという呼び方がある。
さらに絞り込んでみると、たとえば大麦大納言の一子として「ひらかしの助酢五郎」というのが出てくる。「ひらかし」というのは「ひらかす」という動詞で茹でるという意味。今でも福岡地方で使われているようである。「ひらかし麦飯」という日常食がかつて当地方で食べられていた(『聞書 福岡の食事』)。麦は大麦の一種だから、これを大麦の一子とするのは、ひらかし麦が前提としてあるからだろう。
このほかにも海苔尽くしの一節があるのだが、そこには「菊池のり」が出てくる。これは肥後、今の熊本県の菊池川で採れる海苔のことである。「平すの鰤助」の「平す」は長崎地方でいうブリ。
このように、本作品に見られる擬人名からは九州地方特有の語彙が散見される。してみると、その成立が九州地方である可能性は非常に高いと考えられるのである。
以上、発表者伊藤慎吾による要旨でした。
次回は明日です!時間・場所は同じ。
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第13回例会のご案内です。
日時 10月29日(金曜日) 午後6時
場所 国学院大学
※会場となる教室は3407号室です。
3号館4階にあります。
待ち合わせ場所は次の通りです。
学術メディアセンター(図書館が入っている建物)
1階ラウンジ
http://www.kokugakuin.ac.jp/content/000007812.pdf
伊藤慎吾
『精進魚類問答』の紹介
近世、擬合戦物語が数多く作られた。
『平家物語』『太平記』の影響の見られるものが多いが、その中でお伽草子『精進魚類物語』の系譜もまた見受けられる。
今回紹介する『精進魚類問答』もその一つと言えよう。
これは浄瑠璃風の叙述をとった異類合戦物語である。
伝本が架蔵の1本しか確認されず、その成立の時期や事情が判然としない。
そこで全文を翻刻して紹介し、参加者の意見を乞いたいと思う。
日時 10月29日(金曜日) 午後6時
場所 国学院大学
※会場となる教室は3407号室です。
3号館4階にあります。
待ち合わせ場所は次の通りです。
学術メディアセンター(図書館が入っている建物)
1階ラウンジ
http://www.kokugakuin.ac.jp/content/000007812.pdf
伊藤慎吾
『精進魚類問答』の紹介
近世、擬合戦物語が数多く作られた。
『平家物語』『太平記』の影響の見られるものが多いが、その中でお伽草子『精進魚類物語』の系譜もまた見受けられる。
今回紹介する『精進魚類問答』もその一つと言えよう。
これは浄瑠璃風の叙述をとった異類合戦物語である。
伝本が架蔵の1本しか確認されず、その成立の時期や事情が判然としない。
そこで全文を翻刻して紹介し、参加者の意見を乞いたいと思う。
艶笑譚は大きくわけて性器や精力の大小を話題の中心とするもの、知恵を以て不倫を行うもの、言葉や物を性的なものと掛けるものに分けられる。
性器・精力の大小は格外能力者のテーマと、不倫は狡智譚のテーマと重なることから、同じ話の場である閉じられた同性集団において語られ易い興味の方向であった。
また、話の主人公としては男性・女性ともに特定の職業者であることが多く、不可侵のものであるからこそ破りたくなる禁忌の侵しの話でもある。
口承資料においては、獣姦譚の報告は少ないが、精力旺盛や巨根といった興味の方向は同一であり、より効果的に話を伝える技術であった。
以上、発表者堀口祐貴氏による要旨でした。
次回の例会は予定では来月10月29日夕方6時から国学院大学にて開催となります。
内容は擬人化の研究史。
詳細は追ってお知らせします。
性器・精力の大小は格外能力者のテーマと、不倫は狡智譚のテーマと重なることから、同じ話の場である閉じられた同性集団において語られ易い興味の方向であった。
また、話の主人公としては男性・女性ともに特定の職業者であることが多く、不可侵のものであるからこそ破りたくなる禁忌の侵しの話でもある。
口承資料においては、獣姦譚の報告は少ないが、精力旺盛や巨根といった興味の方向は同一であり、より効果的に話を伝える技術であった。
以上、発表者堀口祐貴氏による要旨でした。
次回の例会は予定では来月10月29日夕方6時から国学院大学にて開催となります。
内容は擬人化の研究史。
詳細は追ってお知らせします。
前回取り上げた、人魚(エイ、ジュゴン)を漁師が磯で犯すという伝承を大正十二年の沖縄採訪時のノートに折口信夫も書き留めてり、翌大正十三年『三田評論』「信田妻の話」に祖先祭祀における動物始祖伝承を考察する中で儒艮を「先祖の儘の姿で居るといつた骨肉感を抱く様にな」ったものと位置付けている。
この他、南方熊楠が汎アジア的な前記伝承の記述を見出した“支那志”(『Tratados Historicos Politicos Etnicos y Religiosos de la Monarquia de China』1676 マドリッド)について、熊楠の摘記した「ロンドン抜書」の内容と照らし、グーグルブックスがPDF化したスペイン語原書と極めて近い版であると考える事が出来る。
以上、発表者広川英一郎氏による要旨でした。
今月の例会は21日夕方6時からとなります。
詳細は追ってお知らせします。
この他、南方熊楠が汎アジア的な前記伝承の記述を見出した“支那志”(『Tratados Historicos Politicos Etnicos y Religiosos de la Monarquia de China』1676 マドリッド)について、熊楠の摘記した「ロンドン抜書」の内容と照らし、グーグルブックスがPDF化したスペイン語原書と極めて近い版であると考える事が出来る。
以上、発表者広川英一郎氏による要旨でした。
今月の例会は21日夕方6時からとなります。
詳細は追ってお知らせします。