昨日10月6日、新宿でささやかながら異類の会第1回例会を開きました。
内容は下記の通りです。
同人誌における擬人化の方法
―コミックマーケット76を中心に― 伊藤慎吾
現代の同人誌ではどのような擬人化がみられるのか、その方法と傾向の概略を把握しようと試みた。対象はイベントの規模や参加層の幅広さから、さしあたって今年のコミケ76の新刊を中心に取り上げることにした。
また擬人化作品にはオリジナルと二次創作とがあるが、二次創作は『ヘタリア』をはじめ相当数に及ぶ。それらは視野にいれつつも、考察対象はオリジナルの素材とその擬人化とを中心にした。
すると、素材としては次の2つのグループが顕著に扱われていることがわかる。
1 動物
2 メカ
「1 動物」は絵本・マンガがメインで、担い手はもっぱら女性による動物サークルである。素材としてはネコやペンギンなど幅広い。
「2 メカ」はマンガ・イラスト・解説(対象の性能・構造・歴史などの説明)など、いずれも充実しているが、マンガ本やイラスト本であっても、解説面に力を入れいてる印象をうける。素材としては鉄道が主流で、兵器の中では戦車が目立つ。
ではどのようなかたちで擬人化されるか。
「1 動物」の場合は動物の姿のままで、二足歩行して人間と同じく服を着る姿(獣人型)が多い。これは子ども絵本や児童文学の世界にきわめて近い傾向があるといえよう。
「2 メカ」はおおよそ男性作家/女性作家で方向性が違うように見えるが、いずれも人間の姿を本体とするもので、まったく人間のもの、一部原形をとどめるものもある。前者のほうが主流であるが、服装や装着品に素材のデザインや特徴を反映するもの/反映しないものの両方がある。後者は性格面での属性やCLの相性などの設定に反映されているから、基本的にイラストのみでは意味がなく、ストーリー展開を前提とした内容のものにみられるものである(主として女性向け作品)。
男性作家は、おおく、外形的には女体化を志向し、記述的にはキャラ設定について、それから素材自体の解説に主眼をおく。したがって内容は素材についての解説本という性格が強い。
それに対して女性作家は、おおく、外形的には男体化を志向し、記述的にはキャラ設定に主眼をおく。内容は素材自体に対する関心よりもむしろ設定されたキャラを使ってストーリー展開させることに重点が置かれている。つまり素材はあくまで素材であり、そこから導かれた属性やCLの相性などを規定し、キャラをからませていってストーリーを作り出す点に興味の対象があるように思われるのである。だから男性作家に多くみられるように、鉄道やミリタリー系のコアな内容のものはなく、選択肢も多彩である。
女性作家だから女性向けメインのBL本ばかりというのではなく、男性読者も抵抗なく読める内容の作品も多い。内容といい、キャラ設定といい、紙端国体劇場の台頭と影響は今日の擬人化創作傾向を象徴的に示しているのではないかと思う。
異類の会は異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。
対象範囲は異類全般。
異類とは鳥・獣・虫・魚・植物・器物・妖怪の総称です。
*神仏を含めるかどうかについては、会員それぞれの必要性に従うものとします。
時代および地域は問いません。視点・論点によって限定できるものもあれば、できないものもありますから。
ただし、共通の展望として、日本の異類文化史の構築を目指したいとは思っています。海外の文化事象については、関心の中心がそちらにある人が現れるまでは、比較対象として位置付けることになるでしょう。いずれにしても、日本文化論の枠組みで考えることと、その枠組みを取り外して広い観点から考えることと、その両方が異類について考えるためには大切なことであろうという立場をとります。
異類の会が立ち上がったのが9月15日。
そのとき、ウェブ上での活動についても話し合い、今日、開始しました。
はてさて、どうなることやら、です。
追って、第1回の予告をうpします。
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