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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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第114回

日時:10月31日(日)15時
会場:Zoom
発表者:式水下流氏
タイトル:妖怪図鑑の系譜:序〜藤澤衞彦『妖怪畫談全集』を中心に
要旨:
藤澤衞彦(1885/8/2- 1967/5/7 風俗史学者・作家・明治大学文学部教授)のSNS上で知名度調査を行ったところ、202名の投票があり、知っている著作を読んだことがあるが20%、知っているが著作は読んだことがないが24%、残りの56%は知らないという結果が得られた。80%の人が著作を読んだことがないが、半数近くの人がその存在を知っている。
その知名度と未読率の背景は『妖怪畫談全集』にある。1929-30年に日本篇上下(藤澤)、ドイツ・ロシア篇(ワノフスキー)、支那篇(過耀艮)が刊行され、水木しげるが妖怪図鑑に解説や絵を採用したことは異類の会95回の山田野理夫に関する発表で山田野理夫との関わりも含めて触れた。
これらの元資料を書いた人物として、知られていることはあるが、『妖怪畫談全集』自体は戦前の本であり、古書で入手するか図書館で閲覧するしかない(が、どちらもないケースが多い)ことが未読率に繋がっていることは明白である。(『図説 日本民俗学全集』など手に入り易い本もあるが)
今回は水木しげる、山田野理夫だけでなく、『妖怪畫談全集』がどの程度他の妖怪図鑑の体裁を取る本や雑誌記事の著作者が享受したのか、その影響と影響外のものを仕分けて共有をしたい。
実発表までに得られた情報でのものになるが、個々で興味がある図鑑の執筆者や取り扱われた妖怪があれば、自分で調べるだけでなく、他の方の調査の一助となることも視野にいれる。


※来聴歓迎!
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タイトル:
 船幽霊と柄杓

発表者:
 怪作戦テラ氏


要旨:
「船幽霊」は、底の抜けた柄杓でもって対応する事例が有名、かつ広く分布している。
 しかし、歴史を遡って見ると「船幽霊」という単語の初出には柄杓は登場せず、船を襲ってくる訳でもない。その後も「船幽霊と柄杓」の組み合わせが定番化するには幾多の変遷を経ていることが分かる
 一方、江戸時代後期となり、一旦「船幽霊」が妖怪キャラとして成立すると、狂歌のネタとして成立するほど「船幽霊と柄杓」の組み合わせは定番のお約束として知られていくようになった。
 一方で、愛知には船幽霊的な事象に対して「通常の柄杓」で対応する記録が複数見られる。また、近隣地域にて水に飢えた溺死者の霊に柄杓で水を与えた事例や「溺死者の霊が水に飢えるのは当然」とした記録も残っている。
 改めて「船幽霊への対処アプローチ」を分類して考えてみると、
  1、やり過ごし型(底抜け柄杓など)
  2、撃退型(火、刃物など)
  3、供養型(食料、仏法)
に分けて考えることができる。
 愛知の「通常の柄杓で船幽霊の如き物」に対応する事例は、3の供養型だと考えることができ、飲料水の象徴としての柄杓、あるいは流れ灌頂のような仏法による供養が本来の形だったのではないかと思われる。
 その他、アカトリや船上の柄杓についても様々な事例、視点を紹介した。
 知名度の割に論考の蓄積が少ない「船幽霊」について、特に江戸時代以前の記述の変遷を整理、紹介し、常識と逆の「通常の柄杓による対処」について、どう捉えるべきか、見解を示せたのではないかと考えます。
(文・怪作戦テラ氏)


※上記の文は発表者の見解です。
 利用される場合は、執筆者名および本サイトの当該記事タイトル・URLを明記してください。

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日時:
 9月26日(日)15時
 Zoom開催

タイトル:
 船幽霊と柄杓愛知の事例を参考に
発表者 :
 怪作戦テラ氏
 
要旨:
「船幽霊」といえば「底の抜けた柄杓」で対応する事例が非常に有名である。
 しかし、愛知には「通常の柄杓(底が抜けていない)」を船幽霊の対処方法としている事例が存在する。通例に沿って考えると、どんどん水を汲み入れられてしまって逆効果になってしまう。これはどのように考えたら良いのか。日本の船幽霊史を振り返りつつ、船幽霊と柄杓の関係を考えたい。
※来聴歓迎!
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タイトル:
広告塔としての件(クダン)-『依而如件』の意義-


発表者:
笹方政紀氏


要旨:
 人面牛身の異獣「件(くだん)」(以下、「クダン」とする)は、コロナ禍で疫病退散の象徴として注目された「アマビエ」と同様の存在であり、その特徴として特に予言をすること、そして予言は外れないという点がピックアップされた。しかし、クダンには他に「その言うこと一言は正しい」という重要な特徴もある。それは「依而如件(よってくだんのごとし)」の言葉で表現され、予言をすることよりも以前にクダンに備わるものである。
 本発表では、近世から近代にかけて、クダンと「依而如件」の関係を確認するとともに、「如件」の文字を伴うクダンを商標とした「痔薬」と「鋸」の2種類の広告について考えた。
 岡山に本店を有した「肛門薬商会」(痔薬)のクダンの姿を標した広告は、岡山駅近くにあった地元の大きな看板から、特約店・販売店を拠点とした琺瑯(ホーロー)看板、そして新聞・雑誌の紙面において掲載された広告と展開されることで、地元周辺だけでなく全国規模に広がるものであったことが窺えるものであった。記事広告では「効能書に嘘は言はぬ」という意味でクダンを商標として選んだという。その広告の反応は幾つかの民俗資料などにも残されている。「肛門薬商会」は昭和の戦前には輸出も始め、戦後しばらく続けたのち店を閉じている。
 熊本の人吉市に店舗を構えていた「件鋸店(件鋸製作所)」では、製作した鋸の両面にクダンの商標を刻印していた。大工町の店舗や向かいの工場付近では複数の看板広告があった。店舗では入口上部に鋸を模した看板が、また、ショーケースにも立て看板が掲示され、クダンの商標と共に「クダンハウソヲイワヌ」の言葉を添えられていた。これら存在感のある看板広告は鋸を必要とする林業従事者だけでなく、観光で訪れる者にも大きなインパクトを与えるものであった。
 クダンの商標はどちらも「如件」を伴うものであり、「如件」、つまりクダンの「その言うこと一言は正しい」ことをもって、商品の有効性や出来(切れ味)を保証するものであった。ともすればクダンは予言をすることが取り上げられがちではあるが、正しいことを言うことは、原初的であり、かつ、クダンの根幹をなす特徴であるといえる。今後もクダンの広告に関する資料を集めることで、さらに当時の人々がクダンを求めた心性を解き明かせるものと考える。(文・笹方政紀氏)

※第112回は8月21日(土)15時、Zoomにて開催しました。
 次回は9月26日(日)15時、Zoom開催。

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日時:8月21日(土)15時
会場:Zoom


タイトル:広告塔としての件(クダン)-『依而如件』の意義-
発表者 :笹方政紀氏

要旨:
広告とは、人々に関心を持たせ、商品を購入させるために、媒体を用いて宣伝をすることとされる。それは、商品の情報伝播活動であるともいえる。その商標や企業キャラクターは、他者のものと区分するための標識、いわば企業の顔であり、また企業のイメージでもある。そのように企業にとって重要な商標やキャラクターにもこの世に実存しない異獣が取り入れられ、広告塔としてその存在を知らしめるものがある。
明治時代(~現在)には懐中用薬「清心丹」が人魚を商標としたり、昭和30年前後の河童ブームにおいては、多くの企業がそのキャラクターとして河童を採用したりしている。
本発表では、大正から昭和にかけて人面牛身の異獣「件(クダン)」を商標として取り入れた広告について確認し、「件(クダン)」を商標とし広告塔とする意義について考えてみたい。


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異類の会
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16
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非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。

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