タイトル:カザフスタンにおける鬼
要旨:
本発表においてカザフスタンにおける鬼について考えてみた。鬼は以下のような言葉で表されている。Shaitan (シャイタン)、zhyn〈ズィン、ジン〉、Peri 〈ペリ〉、Dev〈デ ヴ〉、アルバスティなどである。Shaitan (シャイタン)はイスラム教義における悪魔であるが、カザフの伝承の中では楽器の作り方を教える存在として登場する。zhyn〈ズィン、ジン〉、Peri 〈ペリ〉、Dev〈デヴ〉はそれぞ れアラブ神、古代ペルシア神話やゾロアスター教の神だったが、体系的なイスラム教あるいはゾロアスター教が強まるにつれて格下げされた結果、悪神になった存在である。それらはカザフの伝承に登場するとともに、シャーマンが儀礼を行うに際して、使役される鬼神として登場している。
このように、カザフスタンにおける鬼神は多様な信仰世界の中で位置づけるべきであることがみえてきた。ゾロアスター教とイスラム教が伝播することによって、古代ペルシアの神やアラブの神、さらにイスラム教における神観念が入ってくる。それらと対立、または融合していく形でさまざまな伝承が生まれ、鬼神も様々な姿で登場する。
(文・発表者)
※以上は2018年10月13日例会発表の報告です。
※次回は11月10日(土)14時に武蔵大学で開催予定です。
会場:武蔵大学3号館2階 院生GSルーム
※最寄り駅:西武池袋線江古田駅
https://www.musashigakuen.jp/access.html
発表者:アンダソヴァ・マラル氏
タイトル:カザフスタンにおける鬼
要旨:
中央アジアは古くから様々な宗教や信仰が流れていき、交差するところであった。シャーマニズム、ゾロアスター教、仏教、イスラム教やキリスト教などである。鬼に対する観念も、多様な宗教的世界観が交わった結果成立しており、各々の語り手によって伝えられてきている。
本発表では、カザフスタンの鬼に注目することによって、中央アジアの宗教世界の一端を考察する。
※異類の会初の中央アジアのお話です。来聴歓迎。
ネコマタは一般的に山中に現れる怪猫、飼い猫が年経てなるものと考えられている。また、カマイタチも一般的に地上にいて負う裂傷の原因と考えられている。
ところが水中で同様の裂傷を負った場合にも、カマイタチを原因とする事例がわずかながら青森や福島、和歌山で見られた。そうした中で、海中に現れるカマイタチについては、和歌山県南端のすさみ町・串本町に限って確認されるところであった。当地ではネコマタがカマイタチ同様に人間に裂傷を与える妖怪として認識されていた。南方熊楠が1913年に聞き書きした記録と同様の事例はその後採集されることがなかったが、今夏、江住に取材に行くことで、水中でカマイタチのごとく裂傷を与えるネコマタの伝承の残存を見出すことができた。それと同時に、熊楠の記述に見える「江住村荒指」が隣村の「和深村安指」の誤解である可能性が高いことが分かった。
ではなぜカマイタチとネコマタが合成されたのか。これについては今後の課題としたい。
※次回は10月13日(土)14時開催です。詳細は追って告知します。
式水下流氏・永島大輝氏
福島(いわき)・栃木の調査報告 河童・狐を中心に
永島大輝、式水下流の二人で四月に行ったいわき市の調査報告、
①湯本豪一コレクションにおける猫鬼、
現地に行き、いわき市暮らしの伝承郷で、湯本豪一『
②家伝薬として伝わる河童の膏薬等河童に関する調査報告
①
話を要約すると実際にはその家では河童の膏薬として伝わっている
『怪異・妖怪伝承データベース』より「河童 薬」で検索をかけた結果から分布と類型をまとめた。
同じくいわき市内では河童の祠を祀っている場所もあり、
和歌山でのガシャンボの足跡の話とからめ、妖怪は「
③狐の話を中心に栃木県の調査報告
狐の話は現在でも多く聞くことができる。栃木県内の狐の嫁入り(
オトカとは、お稲荷の音読みだろうが、
また、那須の九尾の狐伝説は「しもつかれ」の由来に関係があり、
「しもつかれ」は初午の食べ物であり、稲荷の祭日である、
④写真
狐などが写真に写ったとされる事例を紹介し、
以上の調査・報告を行った。
・式水まとめ
十数年、
・永島まとめ
調査では多くの方に優しくしていただいた。
無理なのはわかったうえで、
今回アカデミックな集まりというよりも「お化け友の会」
報告では、妖怪というのは「感覚を共有する」
妖怪に関して「いるの いないの」という問いを避けてきたと思う(参考『妖怪談義』
繰り返しになるが、多くの方に優しくしていただいた。
(文・永島大輝/式水下流)
以上、6月30日、國學院大學にて開催された異類の会の報告でした。