異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
『古事記』には自然物や自然現象、人工物や人間の行為など様々な神格の神々が登場する。そのほとんどが初めから神として登場するが、神ではないものから神になるという事例も見られる。
本発表では『古事記』における神ならざるものが神になる事例を①成る神、②地の文での名づけ・語り、③割中による記述、④神による名づけの4項目に分類した。そして、『古事記』における神ならざるものが神になる事例は、神話の内部で神になる事例(①④)と神話の外部で神になる事例(②③)からなっていることが分かった。前者は当事者にあたる神や他の神の意思、後者は神話が語られたときや『古事記』編纂当時の信仰によって神ならざるものが神になったと思われる。よって、『古事記』における神ならざるものが神になる事例の背景には、神の意思と信仰という人間の意思があると考える。
今後は、発表当日に問題となった用例の分類や『古事記』における神の概念について再検討したいと思う。
(文・発表者 堀井瑞生氏)
※以上、第64回発表(2016年5月28日 於國學院大學)の発表要旨です。
※次回は6月25日(土)14時、國學院大學・若木タワー10階打ち合わせ室です。
本発表では『古事記』における神ならざるものが神になる事例を①成る神、②地の文での名づけ・語り、③割中による記述、④神による名づけの4項目に分類した。そして、『古事記』における神ならざるものが神になる事例は、神話の内部で神になる事例(①④)と神話の外部で神になる事例(②③)からなっていることが分かった。前者は当事者にあたる神や他の神の意思、後者は神話が語られたときや『古事記』編纂当時の信仰によって神ならざるものが神になったと思われる。よって、『古事記』における神ならざるものが神になる事例の背景には、神の意思と信仰という人間の意思があると考える。
今後は、発表当日に問題となった用例の分類や『古事記』における神の概念について再検討したいと思う。
(文・発表者 堀井瑞生氏)
※以上、第64回発表(2016年5月28日 於國學院大學)の発表要旨です。
※次回は6月25日(土)14時、國學院大學・若木タワー10階打ち合わせ室です。
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南方熊楠はしばしば、怪異・妖怪の伝承に対して、自然科学の知識を用いてその「正体」を合理的に解釈している。
こうした書きようは、博覧強記で世界各地の伝承を数多く知識として持ちつつ、植物採集により鍛えられた冷静な観察眼と自然科学の知識を併せ持つ、文理相持つ熊楠ならではといえる。
熊楠はそうした「正体」を、大きく3つの類型で説明する。
①自然界に存在する事物や事象で説明
例:天狗の爪→サメの歯の化石 セントエルモの火→静電気
②人間の誤解や思い込み
例:スッポンはバラバラにするとその肉片から生まれる→スッポンの肉を食うタガメの誤認
③古代の制度や慣習の残存
例:千匹狼の伝承→獣に扮して凶事を働いた人間の仕業
こうした熊楠の「自然科学の知識を用いて民間伝承をとらえなおす」姿勢は、ネイチャー誌上から発した、ロシア人投稿者のオステン=サッケンとのブーゴニア(ミツバチは牛の死体から化生する、という古代の伝説)をめぐるやりとりにその初発があると思われる。
こうした熊楠の多角的な視点を重要視する姿勢は、学問のシステムが整えられ、専門性が重視されるようになるにつれて、扱いかねるものとなっていく。
(ネイチャー誌への投稿があまり採択されなくなっていく、など)
しかし熊楠の多角的な視野は、怪異・妖怪のような伝承を考えるにあたって、参考になるものと思われる。
(文・発表者 飯倉義之氏)
※以上、第63回発表(2016年4月27日 於國學院大學)の発表要旨です。
こうした書きようは、博覧強記で世界各地の伝承を数多く知識として持ちつつ、植物採集により鍛えられた冷静な観察眼と自然科学の知識を併せ持つ、文理相持つ熊楠ならではといえる。
熊楠はそうした「正体」を、大きく3つの類型で説明する。
①自然界に存在する事物や事象で説明
例:天狗の爪→サメの歯の化石 セントエルモの火→静電気
②人間の誤解や思い込み
例:スッポンはバラバラにするとその肉片から生まれる→スッポンの肉を食うタガメの誤認
③古代の制度や慣習の残存
例:千匹狼の伝承→獣に扮して凶事を働いた人間の仕業
こうした熊楠の「自然科学の知識を用いて民間伝承をとらえなおす」姿勢は、ネイチャー誌上から発した、ロシア人投稿者のオステン=サッケンとのブーゴニア(ミツバチは牛の死体から化生する、という古代の伝説)をめぐるやりとりにその初発があると思われる。
こうした熊楠の多角的な視点を重要視する姿勢は、学問のシステムが整えられ、専門性が重視されるようになるにつれて、扱いかねるものとなっていく。
(ネイチャー誌への投稿があまり採択されなくなっていく、など)
しかし熊楠の多角的な視野は、怪異・妖怪のような伝承を考えるにあたって、参考になるものと思われる。
(文・発表者 飯倉義之氏)
※以上、第63回発表(2016年4月27日 於國學院大學)の発表要旨です。
日時:5月28日(土)14時
会場:國學院大學・若木タワー10F打ち合わせ室
http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/access_shibuya.html
発表者:堀井瑞生氏
タイトル:『古事記』の神格
要旨:
周知のとおり『古事記』には、自然物や自然現象、人工物や人間の行為など多種多様な神格をもつ神々が登場する。そのほとんどは初めから神として登場するが、神ではないものから神になるという事例も見られる。
本発表では、神ならざるものが神になる事例を整理し、その背景にはどのようなメカニズムが
働いているのか考えてみたい。
参加自由。
ご都合のつく方々はよろしくご参集くださいませ。
会場:國學院大學・若木タワー10F打ち合わせ室
http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/access_shibuya.html
発表者:堀井瑞生氏
タイトル:『古事記』の神格
要旨:
周知のとおり『古事記』には、自然物や自然現象、人工物や人間の行為など多種多様な神格をもつ神々が登場する。そのほとんどは初めから神として登場するが、神ではないものから神になるという事例も見られる。
本発表では、神ならざるものが神になる事例を整理し、その背景にはどのようなメカニズムが
働いているのか考えてみたい。
参加自由。
ご都合のつく方々はよろしくご参集くださいませ。
日時:4月27日18:00
会場:國學院大學 若木タワー10F打ち合わせ室
http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/access_shibuya.html
※前回と同じ場所です。
発表者:飯倉義之氏
タイトル「熊楠、妖怪、自然科学」
要旨:南方熊楠はしばしば、怪異・妖怪の伝承に対して、自然科学の知識を用いてその「正体」を合理的に解釈している。
こうした書きようは、博覧強記で世界各地の伝承を数多く知識として持ちつつ、植物採集により鍛えられた冷静な観察眼と自然科学の知識を併せ持つ、文理相持つ熊楠ならではといえる。
本発表では、夏の企画展に向け、熊楠が怪異・妖怪伝承を自然科学の目からどのようにとらえたかを整理しておきたい。
参加自由。
ご都合のつく方々はよろしくご参集くださいませ。
会場:國學院大學 若木タワー10F打ち合わせ室
http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/access_shibuya.html
※前回と同じ場所です。
発表者:飯倉義之氏
タイトル「熊楠、妖怪、自然科学」
要旨:南方熊楠はしばしば、怪異・妖怪の伝承に対して、自然科学の知識を用いてその「正体」を合理的に解釈している。
こうした書きようは、博覧強記で世界各地の伝承を数多く知識として持ちつつ、植物採集により鍛えられた冷静な観察眼と自然科学の知識を併せ持つ、文理相持つ熊楠ならではといえる。
本発表では、夏の企画展に向け、熊楠が怪異・妖怪伝承を自然科学の目からどのようにとらえたかを整理しておきたい。
参加自由。
ご都合のつく方々はよろしくご参集くださいませ。
本発表は南方熊楠が集めた南紀熊野地方の妖怪情報にどのようなものがあり、またどのようなところから収集したのかを主に考察したものである。
熊楠の聞書資料として、日記巻末への書き込みや抜書類(『課余随筆』『ロンドン抜書』『田辺抜書』)への書き込みがある。
まず日記巻末や『田辺抜書』から妖怪資料を整理して示し、それらから論考上の進展があることを指摘する。
ついで熊楠の妖怪研究の継承者として雑賀貞次郎、宮本恵司を挙げ、その実績を紹介する。
※以上、第62回の会(2016年3月23日)の広川英一郎氏「南方熊楠と紀南の妖怪」の発表要旨です(文責・伊藤慎吾)。
※次回の異類の会は4月27日18時から同じ会場で行います!
熊楠の聞書資料として、日記巻末への書き込みや抜書類(『課余随筆』『ロンドン抜書』『田辺抜書』)への書き込みがある。
まず日記巻末や『田辺抜書』から妖怪資料を整理して示し、それらから論考上の進展があることを指摘する。
ついで熊楠の妖怪研究の継承者として雑賀貞次郎、宮本恵司を挙げ、その実績を紹介する。
※以上、第62回の会(2016年3月23日)の広川英一郎氏「南方熊楠と紀南の妖怪」の発表要旨です(文責・伊藤慎吾)。
※次回の異類の会は4月27日18時から同じ会場で行います!