異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
『墨染桜』(『草木太平記』)は、吉野の里の八重桜を巡って、薄をはじめとする草勢と、梅を大将とする木勢が争う異類合戦物である。写本は発見されておらず、江戸期の版本が五種指摘されるのみである。本発表では、五種のうち、『室町時代物語大成』第八巻所収の承応二年(一六五三)版を底本とし、上巻における植物表現について考察を加えた。
先行研究の追跡を行うと、『太平記』の巻十八~二十二を踏襲していることがわかった。また、植物表現の用例を調査した結果、単純な掛詞のほか、和歌や歌語を踏まえた言語遊戯が多いことも確認できた。さらに、『七草草紙』『花鳥風月の物語』などのお伽草子作品や、謡曲「景清」「和田酒盛」と酷似する言い回しをしていることから、これらの影響も考えるべきであると指摘した。今後は、下巻を分析するとともに、他のお伽草子作品の表現と併せて、植物の擬人化表現の特徴を捉えたい。(文・北林茉莉代氏)
以上、異類の会第60回例会(2016年1月30日)の発表要旨です。
※次回は2月24日(水)14時、大東文化会館にて開催します。
先行研究の追跡を行うと、『太平記』の巻十八~二十二を踏襲していることがわかった。また、植物表現の用例を調査した結果、単純な掛詞のほか、和歌や歌語を踏まえた言語遊戯が多いことも確認できた。さらに、『七草草紙』『花鳥風月の物語』などのお伽草子作品や、謡曲「景清」「和田酒盛」と酷似する言い回しをしていることから、これらの影響も考えるべきであると指摘した。今後は、下巻を分析するとともに、他のお伽草子作品の表現と併せて、植物の擬人化表現の特徴を捉えたい。(文・北林茉莉代氏)
以上、異類の会第60回例会(2016年1月30日)の発表要旨です。
※次回は2月24日(水)14時、大東文化会館にて開催します。
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日時:12月16日(水)15時~17時30分
会場:大東文化会館4階K-404教室
http://www.daito.ac.jp/file/block_49513_01.pdf
(最寄駅:東武練馬駅)
発表者:塩川和広氏
題目:「百鬼夜行の魚介をめぐって-蛤の妖怪を中心に」
要旨: 中世から近世にかけて数多く制作された百鬼夜行絵巻と総称される絵巻群には、多くの異形異類が描かれている。その多くは禽獣や道具をモチーフとしたものだが、一部の伝本には蛤、栄螺、蛸の三種の魚介が登場する。本発表ではこの魚介の異形、特に蛤に注目し、なぜ魚介が百鬼夜行に並んでいるのかについて考えていく。
会場:大東文化会館4階K-404教室
http://www.daito.ac.jp/file/block_49513_01.pdf
(最寄駅:東武練馬駅)
発表者:塩川和広氏
題目:「百鬼夜行の魚介をめぐって-蛤の妖怪を中心に」
要旨: 中世から近世にかけて数多く制作された百鬼夜行絵巻と総称される絵巻群には、多くの異形異類が描かれている。その多くは禽獣や道具をモチーフとしたものだが、一部の伝本には蛤、栄螺、蛸の三種の魚介が登場する。本発表ではこの魚介の異形、特に蛤に注目し、なぜ魚介が百鬼夜行に並んでいるのかについて考えていく。
近年、早物語4種を収録する幕末明治期の写本が現れた(個人蔵)。今回はその翻刻、釈文を作成し、また関連資料を提示した。
1、蚤虱地方争い
これは従来早物語としては知られて来なかったもの。
板倉政談のパロディでもある。
2、和尚蜂合戦(仮題)
これは従来から知られている「清盛蜂合戦」に基づくものと思われる。
鎌倉建長寺の和尚と蜂たちの戦いを描く。
3、蓼地蔵(仮題)
これは菅江真澄『ひなのひとふし』に見える早物語と同根と思われる。
ただし、真澄採録の物語が化け地蔵の所作の滑稽さに重きを置いているのに対し、こちらは地蔵霊験として語られている点に違いがある。
4、酒餅論(仮題)
これは仮名草子『酒餅論』の酒造之丞(擬人化された酒)の言動を抜き出した語り物。『酒餅論』の影響が早物語に及んでいたことを示すのみならず、文字テクストが語り物化した実例である点も貴重。
総じて、早物語のみから成る写本(幕末明治期)は例がなく、且つ、以上のように従来知られていなかったもの、また知られていても異なるモティーフをもつものが出現してきたことで、早物語の伝承の広がりを窺う新たな材料を得たことになる(文・伊藤慎吾)。
以上、異類の会第58回例会(2015年11月14日)の発表要旨です。
1、蚤虱地方争い
これは従来早物語としては知られて来なかったもの。
板倉政談のパロディでもある。
2、和尚蜂合戦(仮題)
これは従来から知られている「清盛蜂合戦」に基づくものと思われる。
鎌倉建長寺の和尚と蜂たちの戦いを描く。
3、蓼地蔵(仮題)
これは菅江真澄『ひなのひとふし』に見える早物語と同根と思われる。
ただし、真澄採録の物語が化け地蔵の所作の滑稽さに重きを置いているのに対し、こちらは地蔵霊験として語られている点に違いがある。
4、酒餅論(仮題)
これは仮名草子『酒餅論』の酒造之丞(擬人化された酒)の言動を抜き出した語り物。『酒餅論』の影響が早物語に及んでいたことを示すのみならず、文字テクストが語り物化した実例である点も貴重。
総じて、早物語のみから成る写本(幕末明治期)は例がなく、且つ、以上のように従来知られていなかったもの、また知られていても異なるモティーフをもつものが出現してきたことで、早物語の伝承の広がりを窺う新たな材料を得たことになる(文・伊藤慎吾)。
以上、異類の会第58回例会(2015年11月14日)の発表要旨です。
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プロフィール
HN:
異類の会
年齢:
15
性別:
非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。
連絡先:
gijinka☆way.ocn.ne.jp
(☆を@にかえてください)
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