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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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第130回開催のご案内

日時:2月26日()15時00分
会場:オンライン(Zoom)開催
 
タイトル:
酒と煙草の合戦物語について
 ー江戸時代の異類合戦物『酒煙草合戦』を読むー

発表者:

伊藤慎吾

要旨:
の席上で酒の大将能登守七尾庄司と煙草の大将薩摩守国部(国分)太郎呑吉が口論する。
それをきっかけに酒と煙草の合戦が勃発する。
戦の顛末やいかにーー。
昨年の会(第120回)で「近世期異類合戦物の見取り図」と題する話をした。
その際は、異類合戦物の歴史的展開の大枠を捉えることがメインであったが、今回は前回の議論を踏まえて『酒煙草合戦』という小品を取り上げる。
さしあたり、内容理解につとめ、また成立背景についての若干の所見を提示する程度のものになる。
未だ暗中模索の状況なので、参加者には、色々な角度から意見や感想を出していただければ幸いである。

※来聴歓迎!
初めて参加する方は
 TwitterID: @iruinokai
にDM等でご一報ください。

 

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タイトル:
見えない来訪神:首切れ馬再び
発表者:
永島大輝

 2022年の大晦日から2023年の元日にかけて下甑島の手打地区に泊まった。
 来訪神行事であるトシドンをみるためである。
 首切れ馬に乗ってやってくる、というそれは現在も観光化もされず、宣伝もされずに行われており、今回の異類の会ではその報告を行なった。
 トシドン行事で来る来訪神が、トイトイ様と名乗っていたことを話題にした。
 栃木県で間々田のジャガマイタを見ていたときに「蛇祭り」と口に出した議員を「今はジャガマイタっていわなきゃなんないのに」と言っていた地元の方や、栃木のある郷土料理をスムツカリといっていたのに次第にシモツカレというようになっていったことなどを思い出した。そんなことも発表し、質疑応答で他の地域でもトシドン以外の名前で呼ばれている例はないかと聞かれた。
 確か別の呼び名を見た覚えがあったが、その場では答えられず、あとで調べてみると永吉慶子「「トシドン」の伝承形態」(國學院大學伝承文化学会「伝承文化研究」5号)に正月どんという呼び名があった。また、種子島にもトシドン行事は伝わっており、トシトイドンと呼ばれるともあった。
 トシドンは餅を子どもに渡すが、自分も一歳の時に餅を背負わせられて歩かされた写真があり、餅を背負うという関連から紹介したりした。
 また、首切れ馬との関係で、現在の徳島県三好市のヤギョウサンについても少し報告。
 長期的には、異類(の会としては伝説、世間話、昔話などの発表が多かった)が祭礼や年中行事や民俗芸能の発表者との交流の呼び水に今回の発表がなればよいと思った。
(文・永島大輝氏)

※これは2023年1月22日(日)にオンラインで開催された第129回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、
必ず発表者名を明記してください。


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第129回開催のご案内

日時:1月22日()15時00分
会場:オンライン(Zoom)開催
 
タイトル:
見えない来訪神:首切れ馬再び

発表者:

永島大輝氏

要旨:
 来訪神は、異類だ。
 見方によっては人生儀礼であり、年中行事だ。祭礼でもあり、口承文芸、俗信、あるいは食事や身にまとうものや歌なども関わってこよう。まれびとだとか妖怪だとかそんな言葉でもあらわしてみたくなる。そういう雑多なジャンルの「萃点」にもなるだろう。
 今回は下甑島の調査報告から、いくつかの考えを述べる。


※来聴歓迎!
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第128回のご案内

今回は年末の談話会ということで、色々な話題を5~10分くらいで出していきます。

日時:12月18日(日)15:00
会場:オンライン(Zoom)

⬛️古典部門
斉藤竹善:『雑譬喩経』の中の鬼の宝物について
池上保之:『吉野拾遺』の『徒然草』利用について
杉山和也:(録画)ポルトハイム財団民族学博物館蔵『舌切雀絵巻』について
      ――嶺田楓江と舌切雀説話――
伊藤慎吾: 江戸後期異類合戦物の新出資料―『世帯平記看略巻』の版木―
 
~10分休憩~
 
⬛️歴史・民俗部門
羽鳥佑亮: 貧乏神はなぜ団扇をもつのか?
林京子:(録画)孫太郎の探索
磯野康孝: 金井観音小考 -昨今の歴史整備事業の問題点など-
間所瑛史:足立区の蛇橋伝説について
怪作戦テラ:船幽霊と柄杓 柄杓で水を求める事例詳細、漁業と船幽霊について
 
~10分休憩~
 
⬛️現代部門
鳴海あかり:「丑の刻参りは見られたら効かない」は昔からの決まり?
伊藤龍平:釣瓶落としから口裂け女まで
笹方政紀:宝塚ファミリーランドの妖怪ランド
黄之瀬寛朗:新聞記者・竹節作太が見聞した異類を巡って

※来聴歓迎!
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タイトル:
いわゆる「丑の刻参り」はどこからきたのか?
発表者:
鳴海あかり

 中世以前においては、まず「丑の刻参り(丑の時参り・丑の時詣)」といった言葉が、あくまで単に丑の刻に参り祈願を行うだけの、呪詛も女の嫉妬も関係ない語として確認できる。そこに女の嫉妬などの要素を加えたのは宇治の橋姫説話である。代表的なのは『平家物語』剣の巻であるが、ここには丑の刻も人形も釘も登場しない。しかし謡曲『鉄輪』や御伽草子『かなわ』を見ると、橋姫が丑の刻参りを行っているところに示現があったという記述がみられ、橋姫説話と丑の刻参りの接続が読み取れる。
 一方釘打つ呪いというものは平城宮から出土した形代に既に確認できる。8世紀後半ごろのもので、釘が両目と胸部に刺さった木製のひとがたである。また『名例律裏書』にも「厭魅事」として似た内容の記述が確認できる。また『台記』には「天公像」の目に釘打つことが見えるが、これは神仏を責めることによって強引に願いを叶えてもらおうとする意味合いが読み取れる。一方『勝尾寺住侶等重申状案』には上下御霊神社や貴船神社に釘を打って呪いをかけたことがみえ、より近世的な形になっている。
 近世に入るころには女性が嫉妬により神社などに出向いて釘打って呪うことを「丑の刻参り」と称するようになる。また女性の嫉妬だけでなく、鉄輪にろうそくといったビジュアル要素も橋姫説話から取り入れられる。このころにはこのような意味での「丑の刻参り」はすでに常識となっていたようで、間抜けで現実的な、笑いの対象としての丑の刻参りが様々にみられる。
 しかしながら近世に入ってもまだ人形は出てこない。元禄頃になると紙人形や木の人形がみられるが、藁人形ではない。初めて丑の刻参りに藁人形が使われると明記されるのは1783年の『万載狂歌集』である。これ以降の事例では丑の刻参りと称して藁人形に釘を打つ記述や図像表現が散見される。また古典落語『藁人形』においては、元となった小咄には人形が登場しなかったのに対し、こちらでは当然のごとく藁人形が登場する。この間に丑の刻参りの「当たり前」が変化したのだろうと言える。
 最後に近現代の事例について少し触れた。明治に入っても丑の刻参りに使う人形は絶対に藁人形でなければならないというわけではなかったことが、事例数の集計によってわかる。明治時点で藁人形が使われると明記される割合は63%であるのに対し、平成以降では89%に上昇している。これについては藁人形というものが日常的な存在ではなくなり丑の刻参り以外で目にすることが少なくなったこと、商業化や各種メディアによる「丑の刻参りといえば」というイメージの固定という二点の要因が指摘できる。
 質疑応答では有難いことに多数の情報提供や、地域比較の問題、海外の事例、口に櫛を咥えるという作法がいつから存在するのかといった問題などについて様々に議論が発展した。また資料の読みについて指摘をいただいた。さらによく資料を読み込むと共に、提供された情報を踏まえて研究に反映させていきたい。また今後は近現代についてもまとめて考察していくつもりである。(文・鳴海あかり氏)


※これは2022年11月20日(日)にオンラインで開催された第127回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、
必ず発表者名を明記してください。



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15
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非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。

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