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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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 本発表では、古典文学に登場するサメを取り上げ、時代時代でどのような認識を以て捉えられていたかを追究した。結果、中世以前に於いては、サメという語は多くの場合「人を襲うことの稀なエイなどの魚類」を指していると推察された。ただし、近世に入ると、サメは「人を襲う恐るべき存在」として捉えられることが多くなった。この認識の変質については、近世以降、江戸が文化的に影響力を高めて行く過程で、江戸における魚類の呼称もその影響力を増していったことを、その要因として考えた。
 以上、サメの認識の通史的な概観を踏まえて、朝比奈三郎義秀が「鮫三喉」を捕獲した説話が、原拠となる『吾妻鏡』以来、曲亭馬琴『朝夷巡嶋記全傳』に至るまでの諸作品の中でサメがどのような役割、或いは表現効果を果たし得ているのかを考察した。すなわち、『吾妻鏡』の段階では、むしろ朝比奈の「長時間の潜水」に焦点のあたった語りであり、「鮫三喉」も飽くまでも長時間に亘る潜水を表すための指標に過ぎなかったと考えられる。ところが、サメの認識が変質したことが要因となって、近世以降の諸作品では鰐鮫を倒す場面に重点が置かれるようになり、専ら武勇譚として語られるようになった。説話の構成要素(サメ)の認識が変質したことにより、説話の在り方そのものが変転したといえる。(文・発表者 杉山和也氏)

以上、異類の会第48回例会(2014年12月27日・於大東文化大学)発表の要旨です。

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 四国を中心に首の無い馬が走るという伝承は多く見られ、ある決められた時や道に音を伴い現れるといった特徴がある。その異類は松山大学七不思議などの「学校の怪談」でも語られ、愛媛県の小学校では、学校教員も積極的に生徒に首無し馬の話を伝えようとしていることがホームページなどから分かる。このように人気の異類であるが、近似の事例である夜行さんや首だけの馬などに対し造形化されることが少ない。これは、首が無いというキャラクターは造形化が難しいためと指摘し、また、このことから口承で伝えられることに特化した異類であると述べた。
 現在は首が無いと伝承されるが、その特徴が幕末や明治初期の文献では見られないものがあると「予陽塵芥集」や「愛媛面影」と愛媛県松山の伝承を比較し指摘。また、類似の事例として首の無い騎馬武者として福井に伝承されるものも、『真雪草紙』の中では頭部欠落の記述はない。これらの馬に乗った怨霊という怪異はある時から「首無し馬になった」のだということができる。
(文・発表者 永島大輝氏)

以上、異類の会第47回例会(2014年10月24日・於青山学院大学)発表の要旨です。

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日時:12月27日(土)14時~
会場:大東文化大学・板橋キャンパス3号館2階 0201教室(詳細は下記参照)

発表者:杉山和也氏
題目:日本に於ける鮫の認識
要旨:
日本の古典作品に登場する鮫を取り上げ、その認識の変遷を通史的に概観する。それを踏まえて鮫が各作品の中で鮫がどのような役割、或いは表現効果を果たし得ているのかを考察する。


■会場のご案内

注意点:スクールバス運休。
板橋キャンパスへのアクセス
http://www.daito.ac.jp/access/itabashi.html

◎電車を利用する場合↓
東武東上線
 ・東武練馬駅北口下車
  ※当日、無料スクールバスは運行しておりません。
  (板橋SATY前の乗り場からタクシーで8分)
 
 ・都営三田線西台駅西口下車 徒歩12分

◎路線バスを利用する場合↓
東武東上線
 ・東武練馬駅北口下車
  浮間舟渡駅行高島六の橋バス停下車
 ・成増駅北口下車
  赤羽駅西口行または志村三丁目駅行大東文化大学バス停下車
JR
 ・赤羽駅西口下車
  成増駅北口行約20分大東文化大学バス停下車

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日時:10月24日(金)19時~ (18時半から入室可)
会場:青山学院大学14501教室(14号館[総研ビル]5階)

発表者:永島大輝氏
題目:「首無し馬になった怪異たち」
要旨:
 四国を中心に伝承される首の無い馬の怪異。これを分類すると武者の怨霊が馬に跨り徘徊する型が多く見られる。
 明治42年7月25日から『愛媛新報』に掲載された話も首の無い馬に怨霊が跨り、附近の街道を乗り回す。しかし、それ以前の同地域の怪異の記述がある『予陽塵介集』では怨霊が跨がる馬の首はついているようである。

 このような首無し馬に変化した怪異の事例をいくつかあげ、考察したい。

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近世後期の「件(くだん)」に関する文献資料六点と、『ホキ抄』の「件(ケン)」説話との比較を行った。「くだん」と「ケン」の関係性は、常光徹(『うわさと俗信』高知新聞社 1997年)で指摘されていたが、これまで検証が行われたことはなかった。

江戸時代後期の資料における「くだん」には、「山中で遭遇する」、「人語を解し、病気の流行を予言する」、「姿を図写した者は病難から逃れられる」、「記事には「くだん」の絵が添えられている」という共通点が見受けられる。しかし、それ以外の記述は、資料によって差があり、「件(くだん)」という名称や、姿に関する記述はかならずしも一致しない。

『ホキ抄』の「ケン」は、龍宮から現れた人面牛身の人語を解す異類として記されている。釈尊に、その身が狙われている事を告げ、釈尊は「ケン」の進言通り、「ケン」の皮を張った太鼓を叩くことで難から逃れた。その後、釈尊は「ケン」を第一の弟子として認めた。また、漢字の「件」が、人偏に牛をつくるのは、「ケン」の姿によるものであるという。

江戸後期の資料に見える「くだん」と、『ホキ抄』の「ケン」には、いくつか共通する特徴が見受けられる。「名が「件」である」、「人面牛身」、「人語を解し、危機を予言する」、「漢字の「件」は、「ケン」の姿による」点である。しかし、「名が「件」である」、「人面牛身」、「漢字の「件」は、「ケン」の姿による」という点は、江戸後期「くだん」資料の一部のみに見える特徴である。「山中で遭遇する」、「人語を解し、病気の流行を予言する」、「姿を図写した者は病難から逃れられる」という異類の伝承に、「ケン」説話の要素が混ざり、「くだん」と呼ばれるようになったのではないだろうか。
(文・発表者 中野瑛介氏)

以上、異類の会第45回例会(2014年9月26日・於青山学院大学)発表の要旨です。

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