異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
鷹の家とされる西園寺家については、鎌倉~南北朝期以降の様相について明らかにされてきたが、芸道伝授が多く行われる中世後期についてはあまり取り上げられていなかった。本発表では、立命館大学図書館西園寺文庫に蔵される鷹書、特に『尋申条々』を手がかりとして、西園寺家における鷹の伝授について検討した。
本書は天文三年(一五三四)仮名暦の裁断した下半の紙背に、礼法記載を主として記される。同時期に行われた小笠原の弓馬故実の伝書などとの比較をふまえて、本書が大内氏被官弘中興勝よりの質問に対する返答を作成する際の草稿あるいは、手控えとして作成された書と位置付けた。また、本書には西園寺実宣による同時期の奥書を持つ『鷹百首』(「たかやまに」類)と連関する記載も見られ、西園寺家が『鷹百首』と合わせて、書面によって鷹の伝授を行っていたと指摘した。(文・発表者大坪舞氏)
以上、異類の会第40回例会(8月24日・国学院大学)発表の要旨です。
本書は天文三年(一五三四)仮名暦の裁断した下半の紙背に、礼法記載を主として記される。同時期に行われた小笠原の弓馬故実の伝書などとの比較をふまえて、本書が大内氏被官弘中興勝よりの質問に対する返答を作成する際の草稿あるいは、手控えとして作成された書と位置付けた。また、本書には西園寺実宣による同時期の奥書を持つ『鷹百首』(「たかやまに」類)と連関する記載も見られ、西園寺家が『鷹百首』と合わせて、書面によって鷹の伝授を行っていたと指摘した。(文・発表者大坪舞氏)
以上、異類の会第40回例会(8月24日・国学院大学)発表の要旨です。
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日時:8月24日18:00~
場所:國學院大學若木タワー10F打ち合わせ室
・アクセスマップ
http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/access_shibuya.html
・構内図
http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/campus_shibuya.html
大坪舞氏
「西園寺家の鷹伝授」
要旨:
西園寺家は鎌倉期以降、公家の鷹の家であったという認識をされ、鎌倉~南北朝期以降の様相について明らかにされてきたが、芸道伝授が多く行われる中世後期についてはあまり取り上げられていない。
本発表では、鷹書を手がかりとして、室町後期以降、西園寺家が鷹を伝授した様相を検討したい。
場所:國學院大學若木タワー10F打ち合わせ室
・アクセスマップ
http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/access_shibuya.html
・構内図
http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/campus_shibuya.html
大坪舞氏
「西園寺家の鷹伝授」
要旨:
西園寺家は鎌倉期以降、公家の鷹の家であったという認識をされ、鎌倉~南北朝期以降の様相について明らかにされてきたが、芸道伝授が多く行われる中世後期についてはあまり取り上げられていない。
本発表では、鷹書を手がかりとして、室町後期以降、西園寺家が鷹を伝授した様相を検討したい。
奥浄瑠璃の滑稽物の一種である『虫合戦』を通して、滑稽物と異類合戦物との関わりなど諸問題を取り上げた。
東北の奥浄瑠璃や九州の琵琶説経には短編の異類物が語り物として、また歌として伝承されている。奥浄瑠璃では『雑具合戦』『虫合戦鳥獣の助太刀』『餅合戦』などが主要なものである。
戦前の芸能研究者宮本演彦のノートに記される「虫合戦」は現在確認されるものとは異なるものだったようである。
聞書が残る『虫合戦鳥獣の助太刀』は浮世草子『虫合戦物語』を改作したものと思われる。一方『大寄席噺尻馬』収録の同題作品はその後の改作本ではないかと想像される。
寄席との関わりはまだ明確に指摘できないが、石井研堂が『万物滑稽合戦記』収録の『世帯平記諌略巻』末尾に講釈師が口演したものともいうという付言をしている点に注目し、おどけ講釈や豆蔵講釈において、軍談や軍書咄のパロディとしての異類合戦物の口演の可能性を説いた。(文・発表者 伊藤慎吾)
以上、異類の会第39回例会(7月26日・青山学院大学)発表の要旨です。
東北の奥浄瑠璃や九州の琵琶説経には短編の異類物が語り物として、また歌として伝承されている。奥浄瑠璃では『雑具合戦』『虫合戦鳥獣の助太刀』『餅合戦』などが主要なものである。
戦前の芸能研究者宮本演彦のノートに記される「虫合戦」は現在確認されるものとは異なるものだったようである。
聞書が残る『虫合戦鳥獣の助太刀』は浮世草子『虫合戦物語』を改作したものと思われる。一方『大寄席噺尻馬』収録の同題作品はその後の改作本ではないかと想像される。
寄席との関わりはまだ明確に指摘できないが、石井研堂が『万物滑稽合戦記』収録の『世帯平記諌略巻』末尾に講釈師が口演したものともいうという付言をしている点に注目し、おどけ講釈や豆蔵講釈において、軍談や軍書咄のパロディとしての異類合戦物の口演の可能性を説いた。(文・発表者 伊藤慎吾)
以上、異類の会第39回例会(7月26日・青山学院大学)発表の要旨です。
小野不由美のホラー小説『屍鬼』が浮き彫りにしたように、日本の民間信仰においては、祖霊の帰還を期待する一方で、死体の帰還は期待していない。人間の体は死を境にして、生者とは別種の存在、いわば異類に変じてしまうのである。本発表では死者を、「死体」と、「死体以外の要素によって構成される死者観念」(この世の霊魂や幽霊、あの世の亡者など)との二種類に分けて、両者の弁別を試みた。その上で、近世期に描かれた妖怪の図像に見られる死者の要素を抽出し、これまで漠然と論じられるに留まってきた、妖怪と死との関わりについて考えてみた。
発表者は、二〇一二年度日本文学協会研究発表大会において、「中世の仏教画から近世の妖怪画へ ―宗教的モチーフの継承と変容―」と題した口頭発表を行った。この発表においては、鳥山石燕『画図百鬼夜行』シリーズ、竹原春泉作・桃山人画『絵本百物語』などに収録された近世の妖怪画の一部が、中世以来の仏教画に材をとりながらも、その宗教的コンテクストからは脱却していたことを論じた。本発表ではさらに、これらの妖怪画が仏教画における死者(この世の死体、あの世の亡者)の図像的要素を借りて妖怪を表現していることに関して考察を加えた。(文・発表者今井秀和氏)
以上、異類の会第38回例会(6月28日・青山学院大学)発表の要旨です。
なお、当初予定していた三浦億人氏「お伽草子『鼠のさうし』の形成について」は、発表者急病につき、延期することになりました。
発表者は、二〇一二年度日本文学協会研究発表大会において、「中世の仏教画から近世の妖怪画へ ―宗教的モチーフの継承と変容―」と題した口頭発表を行った。この発表においては、鳥山石燕『画図百鬼夜行』シリーズ、竹原春泉作・桃山人画『絵本百物語』などに収録された近世の妖怪画の一部が、中世以来の仏教画に材をとりながらも、その宗教的コンテクストからは脱却していたことを論じた。本発表ではさらに、これらの妖怪画が仏教画における死者(この世の死体、あの世の亡者)の図像的要素を借りて妖怪を表現していることに関して考察を加えた。(文・発表者今井秀和氏)
以上、異類の会第38回例会(6月28日・青山学院大学)発表の要旨です。
なお、当初予定していた三浦億人氏「お伽草子『鼠のさうし』の形成について」は、発表者急病につき、延期することになりました。
日時:5月25日(火)19:00~21:00
場所:青山学院大学 総研ビル5階 14502教室
※正門を入ってすぐ右手にある建物
三浦億人氏
「お伽草子『鼠のさうし』の形成について」
要旨:
お伽草子(室町物語)には、「鼠」を主人公とする作品が少なくない。お伽草子の時代を生きた人々にとって、数多くの<異類>の中でも、「鼠」が特別な存在であったことは明らかである。試みに『お伽草子事典』(徳田和夫編)を繙いてみると、「鼠の草子」として登録されている作品が3種も存在する。中でも、もっとも知られているのは、サントリー美術館や東博に絵巻として蔵せられている『鼠の権頭(絵巻)』であり、これに次ぐのが、フォッグ美術館に寄託され、『新修日本絵巻物全集・別巻』にも紹介されている異類怪婚譚のものであろう。
今回私が取り上げる、ケンブリッジ大学図書館所蔵の『鼠のさうし』は、3種の中でも、もっとも認知度の低いものと思われるが、その内容をみると、前2者に劣らず興味ふかく、物語草子と「鼠」の問題を考える上で、重要なテキストであることがわかる。
発表者は、平成22年度説話文学会大会(於:奈良女子大學)において、本作品を論じる機会を得たが、今回の発表では、さらにこの論を深め、作品の形成や成立背景について考察を加えてみたい。また、説話文学会の折には、時間的制約からほとんど論じることのできなかった、挿絵(全5図)についても、ケンブリッジ図書館から取り寄せたマイクロフィルム資料を用いて、他の<鼠物>の物語草子の挿絵等と比較・検証してみたい。
※どなたでもご自由にご参加いただけます。
初めて参加を希望される方は、一応、下記にご一報くださるとありがたいです。
本ブログ右側のプロフ記載の連絡先、もしくは@NarazakeMiwa(ツイッターID)
場所:青山学院大学 総研ビル5階 14502教室
※正門を入ってすぐ右手にある建物
三浦億人氏
「お伽草子『鼠のさうし』の形成について」
要旨:
お伽草子(室町物語)には、「鼠」を主人公とする作品が少なくない。お伽草子の時代を生きた人々にとって、数多くの<異類>の中でも、「鼠」が特別な存在であったことは明らかである。試みに『お伽草子事典』(徳田和夫編)を繙いてみると、「鼠の草子」として登録されている作品が3種も存在する。中でも、もっとも知られているのは、サントリー美術館や東博に絵巻として蔵せられている『鼠の権頭(絵巻)』であり、これに次ぐのが、フォッグ美術館に寄託され、『新修日本絵巻物全集・別巻』にも紹介されている異類怪婚譚のものであろう。
今回私が取り上げる、ケンブリッジ大学図書館所蔵の『鼠のさうし』は、3種の中でも、もっとも認知度の低いものと思われるが、その内容をみると、前2者に劣らず興味ふかく、物語草子と「鼠」の問題を考える上で、重要なテキストであることがわかる。
発表者は、平成22年度説話文学会大会(於:奈良女子大學)において、本作品を論じる機会を得たが、今回の発表では、さらにこの論を深め、作品の形成や成立背景について考察を加えてみたい。また、説話文学会の折には、時間的制約からほとんど論じることのできなかった、挿絵(全5図)についても、ケンブリッジ図書館から取り寄せたマイクロフィルム資料を用いて、他の<鼠物>の物語草子の挿絵等と比較・検証してみたい。
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プロフィール
HN:
異類の会
年齢:
15
性別:
非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。
連絡先:
gijinka☆way.ocn.ne.jp
(☆を@にかえてください)
連絡先:
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