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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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明日です!

日時:7月22日(金)14時
会場:國學院大學若木タワー10階打ち合わせ室


発表者:伊藤慎吾
タイトル:ライトノベルの中の妖怪

要旨:
ライトノベル作品には、ゼロ年代以降、日本の妖怪が登場するものが多くみられるようになった。
マンガやビデオゲームに比べ、歴史は浅く、ジャンルも多様化しているとはいえないライトノベル作品であるが、そこに描かれる妖怪にはどのような傾向が読み取れるだろうか。
本発表では、その基礎となるデータを示し、問題点を指摘し、議論に供したい。

参考:伊藤慎吾「ライトノベルの妖怪像」『ユリイカ』2016年7月号「特集・ニッポンの妖怪文化」


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 コンピュータゲーム作品における〈妖怪〉や想像上の存在のデザイン方法は大きく
分けると三つある。
 1◆見ただけで〈妖怪〉とわかるデザイン(天狗・河童・鬼・ろくろ首・狐・狸・
からかさおばけ・ちょうちんおばけなど)
 2◆妖怪図鑑や書籍・美術書などにおさめられている〈妖怪〉を素材としたデザイ

 3◆あらたにつくられたデザイン
 3のなかには、足利・徳川期の作品郡にもひろくつかわれているデザイン手法が見
られる。器物や無生物にそのまま目や手足をつけただけのデザインしたもの(黒本な
どにある主人公を襲う器物の妖怪と非常に近い)連想・地口・鞄語など言葉の上での
かたちをそのままデザインしたもの(「くちぐるま」=「人間のくち+車」といった
絵にするというやりかた)などである。

 ゲームに登場する〈器物の妖怪〉にはからかさおばけやちょうちんおばけ、器物に
目や手足がついたものが多かった(文字が画面上に表示されないというゲームが古く
は機器の制限などから多かったという点も考えられる)また、鳥山石燕『百器徒然
袋』から登場する〈器物の妖怪)の名前やデザインの使用(それとからんでくる付喪
神という解説なども併せて)が1990年代中頃から目立ってゆく過程と、3の手法であ
らたにつくられた〈器物の妖怪〉とのバランス関係などについてをまとめた。

 以上のことから、おおまかにゲームにおける〈妖怪〉をまとめると次のようなもの
である。
 甲◆画面に登場する敵キャラとしてのデザイン・動きの要素が高い妖怪(妖怪であ
るという情報の提示の重要性が低い)
   アクションゲームやシューティングゲームなど
   ロールプレイングゲーム(3の手法も多く含む 数多く登場する敵キャラのバ
リエーションとして)
 乙◆ストーリー上・画面表示上で出される設定情報や名前としての要素が高い妖怪
(妖怪であるという情報の提示の重要性が高い)
   ノベルゲームや、ロールプレイングゲームのイベント的なもの
   伝承に基く必要性が濃厚 バリエーションの豊富さは必要ではない
 丙◆キャラクター数の豊富さの引き出しのひとつしての妖怪(特に蒐集性を前提と
したゲーム)
   一般の情報環境で引き出せる妖怪の〈名前〉が年ともに増えてきたことによる
   伝承に基く必要性が濃厚である バリエーションの豊富さ(しかし〈名前〉の
ない石燕以外の〈器物の妖怪〉はこの分野で増えづらい)

 ゲーム作品については変遷を深くたどるための作品把握や情報や開発についての証
言資料などの蓄積が万全であるといえない部分も多い。今後もその点に注意しつつ、
把握や保全につとめていきたい。
(文・発表者 氷厘亭氷泉氏)


※次回は7月22日2時(於・國學院大學)からとなります。
発表者:伊藤慎吾
タイトル:「ライトノベルの妖怪について(仮)」

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南方熊楠はしばしば、怪異・妖怪の伝承に対して、自然科学の知識を用いてその「正体」を合理的に解釈している。
こうした書きようは、博覧強記で世界各地の伝承を数多く知識として持ちつつ、植物採集により鍛えられた冷静な観察眼と自然科学の知識を併せ持つ、文理相持つ熊楠ならではといえる。
熊楠はそうした「正体」を、大きく3つの類型で説明する。

①自然界に存在する事物や事象で説明
例:天狗の爪→サメの歯の化石 セントエルモの火→静電気
②人間の誤解や思い込み
例:スッポンはバラバラにするとその肉片から生まれる→スッポンの肉を食うタガメの誤認
③古代の制度や慣習の残存
例:千匹狼の伝承→獣に扮して凶事を働いた人間の仕業

こうした熊楠の「自然科学の知識を用いて民間伝承をとらえなおす」姿勢は、ネイチャー誌上から発した、ロシア人投稿者のオステン=サッケンとのブーゴニア(ミツバチは牛の死体から化生する、という古代の伝説)をめぐるやりとりにその初発があると思われる。
こうした熊楠の多角的な視点を重要視する姿勢は、学問のシステムが整えられ、専門性が重視されるようになるにつれて、扱いかねるものとなっていく。
(ネイチャー誌への投稿があまり採択されなくなっていく、など)
しかし熊楠の多角的な視野は、
怪異・妖怪のような伝承を考えるにあたって、参考になるものと思われる。
(文・発表者 飯倉義之氏

※以上、第63回発表(2016年4月27日 於國學院大學)の発表要旨です。

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本発表は南方熊楠が集めた南紀熊野地方の妖怪情報にどのようなものがあり、またどのようなところから収集したのかを主に考察したものである。
熊楠の聞書資料として、日記巻末への書き込みや抜書類(『課余随筆』『ロンドン抜書』『田辺抜書』)への書き込みがある。
まず日記巻末や『田辺抜書』から妖怪資料を整理して示し、それらから論考上の進展があることを指摘する。
ついで熊楠の妖怪研究の継承者として雑賀貞次郎、宮本恵司を挙げ、その実績を紹介する。


※以上、第62回の会(2016年3月23日)の広川英一郎氏「南方熊楠と紀南の妖怪」の発表要旨です(文責・伊藤慎吾)。

※次回の異類の会は4月27日18時から同じ会場で行います!

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南方熊楠(1867-1941)は民俗学のうちでも、特に信仰や民間説話について種々の論考を書いている。
妖怪については直接テーマとすることはあまりないが、論考中に言及することは少なくなかった。

執筆期間は明治44年の『東洋学芸雑誌』への寄稿を発端に、柳田國男との交流を経て、『郷土研究』を主たる投稿先とする。しかし、昭和8年以降は妖怪を取り上げる論考を書かなくなる。
対象としては、一本ダタラ、カシャンボ、キツネ、天狗、栗鼠などを主に取り上げる。これらは和歌山県の特色ある妖怪であり、また熊楠自身、身近に見聞したものだったと思われる。
事例は身近に見聞した事柄・話から諸外国の文献や見聞譚まで並べて比較分析する。主に日本の事例の起源として大陸の事例を位置づける。
ただし、日本各地の事例を並べることなしない。あくまで、自分の見聞したことを主としている。
傾向として、妖怪をそれ自体というよりも、説話として捉え、分析しているようである。また関連する生物もしくは植物を扱うこともある。

柳田國男や江馬務が妖怪の全体的把握を試みたのに対して、熊楠はどこまでも個別的な事例の分析に終始したということができるだろう。

(文・伊藤慎吾)

以上、第61回異類の会(2016年2月24日)の発表要旨です。

※次回は3月23日(水)14時、國學院大學にて開催予定です。

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