異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
第116回開催予告
日時:12月19日(日)15時
場所:オンライン開催(Zoom)
タイトル:
菌類妖異考―ハドリアヌスタケ,天狗の麦飯,七面山の珪藻土―
発表者:糟谷大河氏
要旨:
菌類とは,きのこ,カビ,酵母などを含む生物群を指す。 演者は菌類学を専門とし,菌類の中でも, 特にきのこ類の系統進化,分類,多様性, 分布などを明らかにするための研究を続けている。そのため, 日本列島の各地で野外調査(つまり「きのこ狩り」) を行っているが,その過程で,菌類がかかわる何とも奇妙で, 不思議な現象・対象に遭遇する機会を得た。ここでは, 菌類がかかわる3つの「妖異」について話題提供を行いたい。
(1)ハドリアヌスタケ: 和歌山県白浜町の公益財団法人南方熊楠記念館には,「 ハドリアヌスタケ」と称される液浸標本が収蔵・展示されている。 この標本は,インドより輸入され, 倉庫の中に保管されていた綿花の塊から南方熊楠が発見・ 採集したもので, スッポンタケ科のきのこの一種ではないかと推測されている。 しかし,標本の写真や,南方熊楠の描画記録を見る限り, これがそもそも,本当にきのこの仲間なのか否かも判然としない。 そこで演者は「ハドリアヌスタケ」の実体を解明するため, その標本を実際に調査・観察し, いくつかの科学的手法で分析を行ったので,その結果を報告する。
(2)天狗の麦飯:長野県の黒姫山や,長野・群馬県境の浅間山, 湯ノ丸山周辺の土壌中には,「天狗の麦飯」 と称される微生物の塊が産生する場所がある。「天狗の麦飯」は「 食べられる土」とも呼ばれ,長野県の北信・東信地域では,「 飯砂」あるいは「謙信味噌」などとも称され, 修験者が山岳修行の際に食用としていたとか, 飢饉の際の食糧とした,といった言い伝えが残されている。この「 天狗の麦飯」の実体を明らかにするため, 明治中期より様々な生物学者が研究に取り組んできた。近年では, 「天狗の麦飯」 は10種以上の細菌類からなる微生物の集合体であるとされている が,その生成に関わる生物群集や, 生成機構の全容解明には至っていない。そこで演者らは, 黒姫山産「天狗の麦飯」標本中に存在する菌類の調査を行った。 また,湯ノ丸山でも野外調査を行い,「天狗の麦飯」 中に存在する菌類群集の解明を進めている。 ここでは現在までに得られた調査結果を報告する。
(3)七面山の珪藻土:山梨県身延町の敬慎院脇に「無熱池( 一の池)」と呼ばれる池がある。池の底泥は白く, 洗って乾燥させたもの(白土)が切り傷や腫物などの皮膚の傷に, また,熱さましに効能があるとされ, 約500年前から利用されていた。甲州庶民伝によれば, マラリアで苦しむ兵士たちにこの妙薬を飲ませたところ, 百人近い病人が元気を取り戻したという。この白土は, 植物プランクトンの一群である珪藻類の殻が, 長年にわたり池の底に堆積して形成された珪藻土である。 演者らは,マラリアに効くと言い伝えられる「無熱池」 の白土の実体を菌類学の視点から,そして, 池の形成年代や地形発達史について,地形学・ 地質学の視点から明らかにする計画である。
※来聴歓迎!
初めて参加する方は
TwitterID: @iruinokai
にDM等でご一報ください。
日時:12月19日(日)15時
場所:オンライン開催(Zoom)
タイトル:
菌類妖異考―ハドリアヌスタケ,天狗の麦飯,七面山の珪藻土―
発表者:糟谷大河氏
要旨:
菌類とは,きのこ,カビ,酵母などを含む生物群を指す。
(1)ハドリアヌスタケ:
(2)天狗の麦飯:長野県の黒姫山や,長野・群馬県境の浅間山,
(3)七面山の珪藻土:山梨県身延町の敬慎院脇に「無熱池(
※来聴歓迎!
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