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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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 本発表では、室町後期の公家である持明院基春と、その周辺にあったと考えられる『似則似鳩抄』を検討した。
 持明院家は西園寺家とともに鷹の道を家業とする家柄として知られる。しかし、鎌倉期以来鷹狩を好む家柄として認識されていた西園寺家に対して、持明院家の人物が鷹狩を行った記載は史料上見出し得ない。同家が鷹を家業とする家として広く認知されるのは室町後期以降であるが、その契機として、持明院基春・基規による鷹書の収集・書写・編纂活動が考えられる。
 持明院家の鷹書研究においては、従来群書類従に所収される鷹書が検討の対象の主であった。しかしこれらは近世期の写本が主で、室町期の写本は限られている。本発表では、基春・基規周辺での鷹書の蒐集・編纂により迫るため、基春自筆本などが多く確認される尊経閣文庫に所蔵され、基春周辺での編纂と考えられる『似則似鳩抄』を取り上げた。
 持明院基春・基規は鷹の道のみではなく、入木道・郢曲道の家を確立している。『似則似鳩抄』第四十条では、鞠道・歌道と郢曲道、あるいは歌道と入木道の関わりについても記載する。この記載は基春が書写した蹴鞠書(内閣文庫蔵甘露寺家旧蔵本『蹴鞠抄物部類』所収『蹴鞠条々大概』)、あるいは近世持明院流の入木道の書(『入木道相伝事』)などと共通する部分がある。
 基春は歌道・蹴鞠道あるいは衣紋道なども視野に入れた幅広い伝書蒐集・書写活動を行っており、持明院家の鷹書の編纂活動、ひいては鷹の家業化はこれらの書写活動の中に位置づけるべきではないかと考察した。
 以上のように、同書は持明院家の芸道を考える上でも重要であると同時に、室町後期の公家の芸道観の一端を明らかにするための資料として期待されるものであり、今後も検討を続けたいと考えている。


以上、発表者大坪舞氏による要旨でした。

なお、次回は12月26日(月)午後4時から青山学院大学で開催します。
詳細は近々ご案内します。
初めて参加ご希望の方はご一報ください。

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