忍者ブログ
異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
67  66  65  64  63  62  61  60  59  58  57 
 本発表では、鰐(ワニ)と共に虎が登場する説話を取り上げ、鰐(ワニ)の認識の虎に対する認識との連関に着目しつつ、その諸相を検討した。
 『今昔物語集』・『宇治拾遺物語』や「月のねずみ」説話に見られる鰐(ワニ)と虎の説話からは、両者が対立関係にあるものとして捉える認識と、相互に近しい性質を持つ存在と捉える認識とが看取された。こうした認識は漢籍の知識に基づくものであったと思われる。ただし、『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』では、上代以来の海魚の認識で鰐(ワニ)を捉えながら、漢籍的な世界の描出を試みている。そのため、上代的な「ワニ」の認識と、漢籍的な「鰐」の認識の鬩ぎ合いが看取される。例えば、その表現空間が齟齬をきたして、不自然になっている点が幾つか認められる。また、虎と鰐(ワニ)が決闘をする説話に於いては、両者は最早、漢籍に見られたような山川の動物の争いではなく、対立関係の背後に「陸と海」という壮大な二元的世界観が付随するようになっている。
  ところで、発表者はこの度、ベトナム漢文小説の中に、『今昔物語集』・『宇治拾遺物語』所載の虎と鰐(ワニ)が決闘する説話の類話を見出した。双方の表現分析を踏まえ、この説話が近世に於ける朱印船貿易を通して、日本からベトナムへ伝播した可能性を指摘した。


以上、発表者杉山和也氏による要旨でした。

次回詳細は近々ご案内します。

拍手

PR
この記事にコメントする
名前
題名
文字色
電子手紙
ウェブサーバーの識別名
論評
合言葉   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フリーエリア
最新コメント
[10/24 浅井悠太]
[10/24 木下 誠]
[09/26 永島大輝]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
異類の会
年齢:
15
性別:
非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。

連絡先:
gijinka☆way.ocn.ne.jp
(☆を@にかえてください)
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
異類の会 Produced by 異類の会  AD :忍者ブログ [PR]

SimpleSquare 和心 ver.2 Edit by : 飛雄