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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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タイトル:天狗尽くしの系譜
発表者:久留島元氏

要旨:
従来、『天狗経』に見られる天狗尽くしは、修験者の山入りにおける除災の修法という機能から呪的側面が注目される。『花月』『鞍馬天狗』などにあらわれる天狗尽くしにもこうした天狗祭文が影響を与えたと考えられる一方で、『梁塵秘抄』以来の伝統的趣向として物尽くしという文芸的性格も切り離せない。
本報告では、お伽草子や古浄瑠璃正本、絵本などに近世初期に集中して見える天狗尽くしの事例を紹介した。ここでは言葉遊びにもとづく名前なども多く、閉鎖的な秘法の類というより俗文芸と密接に関わるものであることを指摘した。
また、中世末に成立した『月庵酔醒記』にも天狗名や霊山を列挙する祭文が収載されている。『月庵酔醒記』研究では、天台宗系の山渡り祭文にも同様のものがあることをふまえ、中世に溯る除災の天狗祭文が中下層の宗教者によって担われ、謡曲にも取り込まれたこと、記録されたものとしては最も古い例であることが指摘される。首肯すべき見通しであるが、本報告では祭文の呪的側面だけでなく、物尽くし、言葉遊びの文芸的、娯楽的側面に注目し、修験だけでなく俗文芸のなかで天狗イメージが形成されてきたことを述べた。
質疑応答では、近世仏教における魔・天狗と信仰の問題、天狗物の謡曲が作られた年代と背景についての質問、謡曲や歌謡など芸能における物尽くしと、祭文や起請文における神さま尽くしを同列に考えて良いのかという問題などが指摘された。また、「いざなぎ流」の山渡り祭文や、上今道念節の詞章にも「天狗揃」「天狗尽くし」があるという指摘があり、趣向がもつ広がりが改めて明らかにされた。(文・久留島元氏)



※当発表は6月27日オンライン開催の第100回の例会で口頭発表したものです。
※上記文章を直接的、間接的に使用する際は、必ず発表者の説であることを明記してください。
※次回は9月13日(日)午後2時オンライン開催の予定です。

 よろしくお願いします。



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