異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
蛇に祟られた家―伝説と世間話の接合の事例―
発表者:間所瑛史氏
本発表では群馬県の某町で聞き取った蛇の伝説とある特定の家の盛衰にまつわる世間話から話の位相を考察した。雨乞いの由来となっている池の大蛇の伝説が、一方でその大蛇を殺したとされる子孫の家に起こった不幸の理由として解釈され話されていた。伝説では蛇聟入りなどのモチーフを取り込んだ話が伝承されているが、一方で雄の蛇が猟師に撃ち殺され、雌の大蛇が寺の僧に血脈を求める話もある。世間話では蛇を殺した猟師の子孫に障害が発生し、没落したとされる。この世間話と同様の話を記載した文献には、口寄せが「先祖が大蛇を殺した祟り」と言ったと書かれている。同じ大蛇を殺したという点で一致する伝説と口寄せの解釈が結びつき、このような世間話が生れたと考えられる。
質問などでは伝説を管理する寺に関するものが多かった。伝説が龍女成仏譚であり、伝説に登場する寺の宗派である曹洞宗が深くかかわっている点、寺の創建年代が応永ではなくもう少し早い年代まで遡る可能性、藩政資料や縁起、俗伝などを探す必要などの意見が出て来た。
今後はフィールドワークの継続とともに文字資料などから歴史的な裏付けなどをとっていきたい。
※10月28日に発表したものです。
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