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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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第106回 異類の会

日時:2月28日(日)15時開始

場所:Zoom


発表者:林京子氏
タイトル:下野岩船山高勝寺奇譚
     ―怪奇・天狗・霊験―

要旨:
栃木県栃木市の岩船山高勝寺は謎の多い寺院である。岩船山は室町期には霊験記などにも記載される生身の地蔵出現の霊地であった。
人々を往生に導く生身の地蔵は、江戸時代の享保4年に突如流行神となって関東平野を西に進軍し、広い範囲に熱狂的な巡行の痕跡を残している。(福田アジオ『歴史的探索の手法―岩船地蔵を追って』)
現在の高勝寺は死者供養霊地として関東一円の信仰を集めているが、寺宝の縁起類(漢文の真名縁起全一巻、かなで描かれた絵巻全五巻)にはそのことはまったく書かれていない。
また大正末に本堂が全焼し古文書類がない。
発表者は高勝寺の縁起類の解読を進めているが、ここにはいわゆる「霊場」につきもののディープな世界が展開している。
本発表では、高勝寺にまつわる知られざる様々な怪奇譚、岩船山の天狗、現在の霊験譚などを、実地調査した画像を交えて紹介したい。

※参加歓迎。
 初めて参加希望の方は、@NarazakeMiwa(TwitterID)

 もしくは「異類の会広報用」(@iruinokai)にDMを。

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タイトル:はとや説話考
      ―なぜ鷹は鳩の名を持つのか―


発表者:大坪舞氏

要旨:
「はとや」(鳩屋・鳩也)という鷹が親のかたきである鷲を討つ説話の展開を追い、それぞれなぜ「はとや」の名を持つとされるかを確認しながら、背景にある鷹と鳩に対する解釈を探った。
はとや説話については鎌倉時代初期「石清水文書」において、石清水八幡宮の宝物「鳩屋鈴」の由来として確認される、鳩の名を持つ穏やかな印象の鷹が力で勝る鷲に知恵で以て仇討ちするものである。「石清水文書」でははとやの帰還を祈り天皇が奉納した鈴が、鎌倉時代後期の『八幡愚童訓』でははとや自身が仇討ちを祈念して奉納することとなり、同時に八幡の霊験として鳩が登場する。
一方で、八幡発信以外の言説においても、名鷹の一つとして、あるいは『新撰和歌六帖』「出羽なる」歌、その解釈などではとやの鷹説話が広まっていく。八幡の霊験を示す存在だった鳩は、『六花集注』『藻塩草』にて仇討ちの協力者となり、室町後期の雑書『塵荊鈔』では、協力した鳩と鷹が契る筋立てになる。
一見奇異に思われる鷹と鳩の婚姻譚が生じた背景として、『礼記』以来日本でも七十二候の一つとして広く知られる「鷹化為鳩」の解釈の変遷を取り上げた。『和漢朗詠集古注釈』の中に鷹化為鳩の解釈に鷹と鳩との混血の鳥を挙げることを指摘し、室町時代において「鷹化為鳩」が、その難解さゆえに、鷹と鳩との婚姻が前提となる解釈が生じており、「はとや」の名を聞き、鳩との混血の鷹を想起するものがおり、同じく一条院の名鷹として語られる「みさご腹」の鷹説話と併記されることにより、鷹と鳩との混血の鷹とする異伝が生じるまでに至ったと考察した。
質疑応答では、『八幡愚童訓』と同時代成立の『八幡宇佐宮御託宣集』にある八幡の化身である鷹が鳩に変じる類話について検討するべきであると提起された。
また、異類婚姻譚とは本来、人間と異類との婚姻を意味し、異類同士の契りについて適切な枠組みを考えるべきではないかという疑問が出された。その中で、S.
Thompson. Motif-index of folk-literatureではAnimal
Weddingと分類されることが紹介され、「婚姻譚」が意味するところは制度的婚姻か、あるいは単なる性交も婚姻譚に含めてよいか議論が交わされた。また、鷹と鳩、鷹と雎鳩を大きくは鳥類あるいは猛禽類に属している以上、「異類婚」と呼べるほどの距離がないのでは、という疑問が呈された。
発表者は本説話で鷹が鷹以外と契り混血になることにより、鷹の中でも優れた存在となる点に注目しているが、同類の事例の調査を進めていきたい。
この他、仇討ちの類話、霊験譚の定義などについても議論が交わされた。
(文・大坪舞氏)

これは2021年1月31日(日)にオンライン開催された第105回の報告です。
※次回は2月28日(日)15時にオンラインで開催します。

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第105回 異類の会

日時:1月31日(日)15時開始

場所:Zoom


発表者:大坪舞氏
タイトル:はとや説話考
     ―鷹と鳩との異類婚姻譚―

要旨:
「はとや」(鳩屋・鳩也)という鷹が親のかたきである鷲を討つ説話は、 鎌倉時代には
石清水八幡宮の宝物「鳩屋鈴」の由来譚を始原として確認されるが、時代がくだるにつれ、天皇の名鷹の一つとして鷹書説話に取り込まれる。当初は単に鷹の名であった「はとや」の説話は、鳩とともに鷲にかたきを討つ、果ては鷹と鳩との異類婚姻譚へと展開する。本発表では、「はとや」説話の展開を確認し、鷹と鳩との異類婚姻譚が生成された背景を探る。

〈参考文献〉
益田勝実 「鳩屋の鈴―ひとつの伝説の滅びかた」『論纂 説話と説話文学』笠間書院、1976年
黒木祥子「平賀の鷹」『伝承文学研究』35、1988年

※参加希望の方は、@NarazakeMiwa(TwitterID)
 もしくは「異類の会広報用」(@iruinokai)にDMを。


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タイトル:オーサキのいなくなった日常
      ―群馬県南西部における人間と
動物の関係

発表者:間所瑛史氏


要旨:
 群馬県南西部ではかつてはオーサキと呼ばれる憑き物の話を聞くことができる。本発表で筆者は群馬県南西部のとある町で調査した際に偶然2名の住民から聞いたオーサキの事例を報告した。更に吉田禎吾の調査や東京学芸大学の調査報告書などから当該地域におけるオーサキの特徴を紹介していった。

 群馬県南西部におけるオーサキの特徴から、住民はオーサキをヤマネやオコジョのような小動物として捉えており、オーサキに憑依されると食べ物を欲しがったり神職を避けたりするなどの行為をおこなうようになると過去の報告から見て取れる。またオーサキモチの家は隣家から繭や小麦粉などを盗むとされており婚姻差別などがおこなわれるなど社会的緊張をもたらす存在であった。

 発表者の聞き取った事例からは過去の報告書と同様のオーサキの特徴のほか、オーサキ除けとしての山犬の歯を加工した根付の実物やコックリさんをオーサキとして捉えている事例を報告した。そして過去のオーサキの存在していた時代を人々と動物との関係性などから考察をおこなった。

 質疑応答では筆者の撮影した山犬の歯の根付はツキノワグマの歯の可能性が高いこと、民間宗教者の存在などがあげられた。群馬県南西部は隣接する埼玉県の三峰山や両神山で修験が盛んにおこなわれており、そうした修験者が山犬の歯の加工に携わっていた可能性がある。また、現代の憑き物の事例なども質疑応答で出され、現在は地域的な文脈を離れてインターネット上でスピリチュアルとして憑き物が受容されている。他にも質疑応答ではオーサキに限定されない様々な憑き物の情報があげられた。(文・間所瑛史氏

これは2020年12月26日(土)にオンライン開催された第104回の報告です。



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第104回 異類の会

日時:12月26日(土)15時
会場:Zoom
※参加希望の方は、@NarazakeMiwa(TwitterID)もしくは「異類の会広報用」(@iruinokai)にDMを。


発表者:間所瑛史氏
題目:
オーサキのいなくなった日常―群馬県南西部における人間と動物の関係


要旨:
群馬県南西部は狐憑きやオーサキなどの憑き物信仰が存在しており、時に差別の問題となり社会的緊張を孕むものであった。1970年代に同地域を社会人類学者の吉田禎吾が調査したことでも知られている。
本発表では、発表者が2019年に群馬県南西部の自治体を調査した際に聞き取ったオーサキの事例を報告するものである。同時にオーサキだけではない住民と動物との関係を絡めながら発表していきたい。



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異類の会
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15
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非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。

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