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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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第138回開催のご案内

日時:11月23日()15:00 
  ※通常、日曜日に開催しておりますが、今回は勤労感謝の日にあたる木曜日です。

会場:オンライン(Zoom)
タイトル:

日本に於いてミイラはいかに捉えられたか

発表者:杉山和也

 要旨:
 本発表ではミイラ、引いてはエジプトが、特に前近代の日本でどのように捉えられてきたか、という問題について、ミイラがどこでどのようにできるのかを説明する説話を中心に考察する。これは現代でもよく知られる「ミイラ取りがミイラになる」ということわざの成立と深く関わる説話であるが、従来、研究が乏しい。
 ミイラという日本語は17世紀のキリシタン関係の文献に現れ、没薬という樹脂の薬品を意味していた。17世紀後半頃からは錯誤が生じてか、舶来の枯骸の薬を意味するようになる。偽薬が横行するほど、この洋薬は流行した。こうした時代性を背景に上述の説話が諸種の文献に見られるようになる。どの文献に所載の説話でも、ミイラができる地域に関する地理的情報と、ミイラができる場として砂漠について語られるが、いずれについても、〈想像〉と〈創造〉を織り交ぜつつ、遥か遠方の未知の世界の砂漠、ミイラ、引いてはエジプトが描かれているのである。

※来聴歓迎!
 初めて参加する方は
  @NarazakeMiwa
 までDMを。

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タイトル:
魚と野菜の大合戦
 ー『献立合戦笑草』を読むー

発表者:
伊藤 慎吾


要旨:
 寛文 8 年(1668)刊行『軍舞』所収の「うおがせん幷しやうじんもの」は『精進魚類物語』の影響下に成った小編である。これに類する伝本に、『魚類精進合戦』(写 1 冊)及び『魚類扣』(写 1 冊)がある。これらの関係性については旧稿「魚類扣考」(『日本文化研究(國學院大學栃木短期大学)』第5号)で論じた。本発表では、新たに見出した伝本2種を加え、近世における精進魚類物の展開を再検討した。
 その2種はともに上田市立図書館所蔵の写本で、1つは『献立合戦笑草』、もう1つは『魚類合戦』という。検証の結果、天明3年(1783)書写になる『献立合戦笑草』(あらすじは下記参照)は、安永3年(1774)書写の『魚類合戦』を改作したものと考えられる。その改作には信州地方の色合いが見られ、異本形成の実態が窺われる。
 元となった『魚類合戦』はすでに知られている『魚類精進合戦』に近い本文を持つもので、『魚類扣』や『軍舞』の「うおがせん并しやうじんもの」のような謡曲の符号はなく、読み物として流布した系統と思われる。


◆あらすじ◆
 天明元年8月15日の夜、鮭の将軍長尾(ながびれ)は精進方への恨みを晴らすべく、諸国の魚たちを集める。貝たちも与力として参戦することにする。これを聞いた精進方の大将畑山の薯蕷(ながいも)は諸国の野菜たちを招集する。かくて両陣から武将が出て相争い、煮物となったり、向付(むこうづけ)になったりしたのだった。
(文・伊藤慎吾)

※これは10月29日(日)
にオンラインで開催された第135回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。

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第137回開催のご案内

日時:10月29日()15:00
会場:オンライン(Zoom)
タイトル:
魚と野菜の大合戦
ー『献立合戦笑草』を読むー

発表者:伊藤慎吾

 要旨:
 野菜たちのせいで思いのままに権勢を振るえないことに不満をもつ鮭の将軍が戸棚ヶ城に諸国の魚類を結集し、一方、それを伝え聞いた野菜たちは大将畠山の薯蕷(ながいも)の号令で同じく城に集まる。その結末やいかに…。
 魚と野菜の合戦物語は、食文化の歴史を背景に、室町時代の『精進魚類物語』に端を発し、幕末明治まで展開し、一つのジャンルを形成します(精進魚類物)。
 最近、上田市立図書館所蔵の『献立合戦笑草』という江戸時代後期の写本もその一つだと気付いたので、今回、これを紹介し、その特色を考えてみます。


※これに近い作品を以前紹介しました。
 下記URLからダウンロードしてください。
 →「魚類扣考」『日本文化研究(國學院大學栃木短期大学)』第5号
   https://www.kokugakuintochigi.ac.jp/tandai/etc/nihonbunka/pdf/05/03.pdf

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タイトル:
刷物・書写本〈伝来薬「心躰安樂丸」〉処方箋一覧
 ―極楽からの御薬の効能―



発表者:
羽鳥 佑亮

要旨
 本発表は、伝承文学研究会令和五年(二〇二三)度大会研究発表会で発表予定の「刷物・書写本〈伝来薬「心躰安樂丸」〉の展開と通俗教訓先行公開、乃至、プレ発表としてった。時間は気にせずにその内容を〈伝来薬「心躰安樂丸」〉諸本の画像を適宜に提示しつつ位置づけを示し、いくつかの系統への分類をこころみたものである。

 質疑応答ではまず、氷厘亭氷泉氏の御所蔵のうちに新たな伝本を御教示いただき、有難くも御提示をいただいたうえ利用の御許可を頂戴した。簡略ながら篤く御礼を申し上げる。氷厘亭氷泉氏蔵伝本、本発表で提示した基本的な体裁から外れているが、むしろそれだけに、〈伝来薬「心躰安樂丸」〉が江戸時代後期頃に広く膾炙していたことを示すものであった。


 ついで、〈伝来薬「心躰安樂丸」〉の位置づけとしては、戯文に散見される御薬の体裁にされたもののひとつであるという見解がなさた。また、近接のものとして落書の提示がなされ、〈伝来薬「心躰安樂丸」〉は風刺をきかせるものではないために異なるものでありながらも、いわば同床異夢がごとく、同じ観念のもとに成立しと考えられ、江戸時代前期頃から大きな流れのうちにあとする御意見を頂戴した


各系統の特徴よりそれらを頒布した動機や団体に関する事項については発表で示したが、主に頒布を行っていた地域についても考慮の余地があることを御指摘いただき、殊に仏門において出されたと推測されるものには特定の地域と関わりそうであることが質疑応答のうちにいだされた。さらに、となる内容とはずれるが、〈伝来薬「心躰安樂丸」〉諸本のひとつに「弘法大師十種無益歌」と題する弘法大師が六字名号を賞賛する和歌が付されることから、弘法大師と六字名号の結びつきにも広りをみせた。主とする研究とは異なるものの、弘法大師と六字名を結びつける文献は管見に他にもいくつか散見されるため、気にしつつ解明を課題としたい。


〈伝来薬「心躰安樂丸」〉の内容としては、この御薬を調合したとされる「其身野德成」という擬人名についても話題となり、異類の会主催の伊藤慎吾氏により、構想段階ながら「擬人名辞典(仮)」のお考えが提示された。〈伝来薬「心躰安樂丸」〉をはじめとする教訓を示した戯文にはこの類も多いことから、御力になればと思う次第である。また、〈伝来薬「心躰安樂丸」〉のかい内容の分析は今後の課題とし、まずは前述した、伝承文学研究会大会での発表を成功させたい。


同時刻に怪異怪談研究会シンポジウムが開催されていたため集まりに不安があったが、新しい伝本の発見を主とし思いの外収穫があったように思える。御所蔵の伝本を御提示のうえ利用を御許可いただいた氷厘亭氷泉氏には、簡略ながら重ねて御礼を申し上げる

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第136回開催のご案内

日時:8月27日()15:00
会場:オンライン(Zoom)
タイトル:
刷物・書写本〈伝来薬「心躰安樂丸」〉処方箋一覧
―極楽からの御薬の効能―
発表者:
羽鳥佑亮氏
 要旨:
  江戸時代には、御薬そのものに、乃至、御薬の広告に見たてた体裁で、処世訓や俚諺を羅列したり、ある考えを平易に記したりとした、刷物や書写本が散見される。管見に入るものには、例えば『家運長久修身元』や『人心儉約長榮丹』、『三國相傳他力念佛丸』がある他、江戸時代前期の井原西鶴による『日本永代蔵』には「長者丸」の記述があり、同様の趣向である。
 これらの類のひとつに、「極樂傳來心躰安樂丸」と名付けられることの多い伝本がある。この極楽伝来の御薬は、江戸時代後期から戦前期頃までは広く享受されたようだが、現在では忘れ去られていよう。この類は他にも雑多にあり、著名な作品ではないために学術からも看過され、研究はほとんど行われていない。
 そこで、この極楽伝来の御薬に注目し、表記の揺れにより統一書名を〈伝来薬「心躰安樂丸」〉としてとりあげ、実態把握と系統整理、各々の特徴の確認を行う。

※来聴歓迎!
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プロフィール
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誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。

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