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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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タイトル:
神仏による「祟り方・罰のあて方」

発表者:
羽鳥佑亮氏


要旨:
  本発表では、神仏の祟り方・罰のあて方そのものに注目した。論じるにあたっては神仏による「祟り」や「罰」と表記されるものに加え、神仏の意に反したと記載、またそのようによみとれるものを術語として「祟り・罰」とし、その中から特に、似た傾向をもつと思われた、対象が疾病を患うもの、対象が事故に遭遇するものを俎上にあげ、「祟り・罰」の表現の変遷の大きな潮流を確認した。
  まず、対象が疾病を患うものについては、平安時代から室町時代にかけては、対象がどのような「祟り・罰」の原因とされる行為をとったにしろ、おおよそは、ただ疾病を患うのみであり、際立った特徴はなかったようだった。しかし、江戸時代からは、対象がとった「祟り・罰」の原因とされる行為から連想される疾病を患うものが増加する傾向にある。
  さらに、対象が事故に遭遇するものについても同様の傾向が認められ、平安時代から室町時代にかけては、対象がどのような「祟り・罰」の原因とされる行為をとったにしろ、おおよそは、ただ何らかの災難に遭遇するのみであり、際立った特徴はないようだが、江戸時代からは、対象がとった「祟り・罰」の原因とされる行為から連想される疾病を患うものが増加する傾向にある。しかしそれだけではなく、対象が事故に遭遇するものについてはさらに、江戸時代から、普通に生活していては遭遇することのない、いわゆる怪異や妖怪とされるものへ遭遇する、というものがみられ、これもひとつの潮流となるようである。
  こういった潮流が江戸時代に出現した要因としては、神仏や宗教施設の周辺で起きたことを「祟り・罰」であるとする認識の強まりや、「因果応報」として説明されたものが「祟り・罰」とされたことが考えられるものの、いずれも推測に留まる。しかし、これらの新しい潮流からは、どうやら「祟り・罰」の説話は、それまで霊験譚とされていたものから、耳を驚かせる怪奇譚として享受されるようになったあらわれであるといえそうであり、人々の興味が霊験から怪奇に移るという、さらに大きな流れの一端であろうと考えられる。

  質疑応答では、発表でとりあげた「神仏」の指す範囲について、形而上のもののみで権化を扱うかどうかについての御指摘や、とりあげられた事例についての補足の御意見があった他、プレ発表であったこともあり、発表の体裁や御指導も様々にいただいた。
  御指摘の箇所については応答ができなかった箇所もあり、今後の課題としたい。御意見に感謝を申し上げる次第である。

※これは2022年5月29日(日)にオンラインで開催された第121回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
※次回は6月26日(日)15時00分オンライン開催です。

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