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異類(人間以外のキャラ)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・同人誌などジャンルを越境する会です。
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日時:11月10日(土)14時~
会場:國學院大學若木タワー14階打ち合わせ室

発表者:林京子氏
題目:異類出現の霊地下野岩船山

要旨:
 栃木県栃木市の岩船山は中世以来の霊山で現在も連綿と信仰されている。しかしその内実は似て非なる信仰の連続体であり、混沌の中から聖なる異類が立ち上がる霊地である。
 岩船山の聖性はこの場所の景観に由来する。北を指す船型の巨石(岩船)は、古代はカミの依代である磐座として、中世はそこに地蔵と言う死後世界のカミが顕現する場と考えられた。「伯耆大山の僧が夢告で岩船山に至り、山に住む貧しい法師が村人の頼みに応じて分身するのを見、翌日岩船の上で法師の躰を割いて出現する〈生身の地蔵〉を見て、地蔵から増える不思議なお米を貰う」という説話が中世の地蔵菩薩霊験記や大山寺縁起にも見られる。この物語は「米」を巡る宗教思想大系の一つとも考えられる。山内の夥しい板碑群があり、この山が高名な霊場であったことを示唆する。岩船山上は1584年戦火で焼失した。
 近世初期、寛永寺のテコ入れで山上に高勝寺が創建され、きわめて戦略的な「下野州岩舩山縁起」(漢文)が天海の弟子によって製作された。ところがわずか74年後には、先行する縁起とは異なる華麗な縁起絵巻「岩船山地蔵菩薩縁起」(かな)が作られ、中世の垂迹聖人と似て非なる〈新しいカミ〉が死者を救済する場として参詣者を誘引するようになった。聖なる石は子授けの陰陽石と見なされ、高勝寺は地蔵の持つ死者供養と子授け祈願の機能を持つようになった。
 近現代に入ると岩船山は「換金可能な石の山」と見なされ人々は容赦なく山を破壊した。すると破壊された山の中に中世とは似て非なる異類が顕現するようになった。さらに岩船山には天狗伝承がある。現在も高勝寺が頒布しているお札に描かれた異類は、中世のダキニ天信仰との関連が感じられる。
 発表者は山上の蓮華院高勝寺縁起類のデジタル複本作成と解題事業を行っている。本発表ではその過程で得られた知見の一部である。絵巻の未公開画像や岩船山の景観、天狗信仰などを紹介し、早急な修復が必要な高勝寺の一助になることを願うものである。

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発表者:沼賀健一郎氏
題目:伝説研究の意義――赤城山男体山神戦伝説・俵藤太百足退治伝説を例に――

要旨:
群馬県と栃木県には「赤城山の神と男体山の神がそれぞれ百足と蛇に変じて戦い、男体山は猟師小野猿丸の助けを得て勝利した」という神戦伝説が存在するが、実際その内容は一様ではない。また、滋賀県には「俵藤太秀郷が蛇を助け百足を退けた」というよく似た伝説がある。
・赤城山男体山神戦伝説の形成過程はどのようなものだったのか。特に、百足退治譚が発生するのはいつ頃か。
・離れた地域にある赤城山男体山神戦伝説と俵藤太百足退治伝説を結びつけるものは何か。両伝説の構成要素を成す「秀郷流」の歴史的展開から明らかにすることはできないか。
発表では、秀郷本人と子孫である「秀郷流」の歴史的展開と『吾妻鏡』における秀郷故実の記事を紹介し、鎌倉時代までには「秀郷流」の都周辺での活動の蓄積が各家に継承され、具体的な兵法(書)として機能していた可能性、頼朝の指示で「秀郷流」小山氏のもとで兵法の体系化が行われた可能性について述べた。
俵藤太百足退治伝説の形成過程について、園城寺の鐘の縁起説話として特に『古事談』『寺徳集』『園城寺伝記』『寺門伝記補録』を取り上げ、この中では少なくとも百足退治譚は描かれず、『補録』では、世間で流布している百足退治関連の内容を「奇怪の説」と記していることを示した。
一方、園城寺の縁起以外のものとして『俵藤太草子』『太平記』、また、伊勢神宮所蔵の太刀「蜈蚣切」への研究成果を挙げ、本伝説の百足退治譚は南北朝時代ごろには流布していた可能性を示した。
赤城山男体山神戦伝説の形成過程について、『神道集』『拾菓集』『山立根本巻』諸「二荒山神社縁起」のほか先行研究の成果により、「シンプルな神戦譚」→「男体山ではマタギの物語と融合」→「百足退治譚」へと変化していったのではないかと推測した。
以上、両伝説の形成過程をたどっていくと、百足退治譚の発生・流布の時期はともに南北朝時代であることがわかる。この事実を明らかにする一つの可能性としては、秀郷流などの武士勢力が媒介となった点を挙げた。小山氏は南北朝時代においても秀郷故実を利用したようで、近江国の百足退治譚が上野下野国へとほとんど時間をおかずに伝わったのは故実への関心の高さが関係しているのではないか。
また、両伝説を構成する要素には金属冶金に関連する事象が見え隠れしていることに言及した。
そして、中世という時代はこれまで蓄積された歴史が盛んに再編成・再生産された時代であり、両伝説の変遷をこのような大きな時代の流れに応じたものと位置づけることはできないかという点を今後の展望とした。

発表後の質疑応答では、百足や蜘蛛、蟹、蛇蛸、ウミケムシといった多足の動物など、また、それらを倒す方法といった、関連する俗信等が話題にのぼった。また、熊野詣に伴う説話の内容の変遷の可能性が示され、「秀郷流」を媒介とするものとは別のアプローチで本題目に向き合う方法が指摘された。(文・発表者)


以上です。
次回は12月8日(土)14時から、國學院大學で開催します。
詳細は追ってお知らせします。

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日時:11月10日(土)14時~
会場:國學院大學若木タワー14階打ち合わせ室

発表者:沼賀健一郎氏
題目:伝説研究の意義――赤城山男体山神戦伝説・俵藤太百足退治伝説を例に――

要旨:
群馬県と栃木県には「赤城山の神と男体山の神がそれぞれ百足と蛇に変じて戦い、男体山は猟師小野猿丸の助けを得て勝利した」という神戦伝説が存在する。しかし、「小野猿丸」ではなく「俵藤太秀郷」の場合もあり、また、群馬県の一部地域には単に「二神が戦った」とする傾向も見られるなど、その内容は一様ではない。
また、滋賀県には「俵藤太秀郷が蛇を助け百足を退けた」というよく似た伝説がある。それぞれの形成過程を検討すると、離れた地域にも関わらず、中世のほぼ同時期に百足退治譚が登場したことがわかる。
「俵藤太秀郷」のモデルとなったのは、実在の人物であり、平将門を討ったことで有名な藤原秀郷である。両伝説の分布・変化の背景には、彼の子孫である「秀郷流」が、平将門討伐・百足退治の英雄譚をアイデンティティとして京都周辺や北関東で活動した歴史が密接に関わっている可能性がある。
本題目では、幻想的な伝説が実際の歴史の流れの中でいかに人々に取り扱われ、伝播していったのか、その様相の一端を考察する。さらに、歴史を明らかにする一つの方法としての伝説研究の可能性を検討する。

※来聴歓迎!

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発表者:アンダソヴァ・マラル氏
タイトル:カザフスタンにおける鬼

要旨:
本発表においてカザフスタンにおける鬼について考えてみた。鬼は以下のような言葉で表されている。Shaitan (シャイタン)、zhyn〈ズィン、ジン〉、Peri 〈ペリ〉、Dev〈デ ヴ〉、アルバスティなどである。Shaitan (シャイタン)はイスラム教義における悪魔であるが、カザフの伝承の中では楽器の作り方を教える存在として登場する。zhyn〈ズィン、ジン〉、Peri 〈ペリ〉、Dev〈デヴ〉はそれぞ れアラブ神、古代ペルシア神話やゾロアスター教の神だったが、体系的なイスラム教あるいはゾロアスター教が強まるにつれて格下げされた結果、悪神になった存在である。それらはカザフの伝承に登場するとともに、シャーマンが儀礼を行うに際して、使役される鬼神として登場している。
このように、カザフスタンにおける鬼神は多様な信仰世界の中で位置づけるべきであることがみえてきた。ゾロアスター教とイスラム教が伝播することによって、古代ペルシアの神やアラブの神、さらにイスラム教における神観念が入ってくる。それらと対立、または融合していく形でさまざまな伝承が生まれ、鬼神も様々な姿で登場する。
(文・発表者)
※以上は2018年10月13日例会発表の報告です。
※次回は11月10日(土)14時に武蔵大学で開催予定です。

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日時:10月13日(土)14時~
会場:武蔵大学3号館2階 院生GSルーム
※最寄り駅:西武池袋線江古田駅
https://www.musashigakuen.jp/access.html


発表者:アンダソヴァ・マラル氏
タイトル:カザフスタンにおける鬼
要旨:
中央アジアは古くから様々な宗教や信仰が流れていき、交差するところであった。シャーマニズム、ゾロアスター教、仏教、イスラム教やキリスト教などである。鬼に対する観念も、多様な宗教的世界観が交わった結果成立しており、各々の語り手によって伝えられてきている。
本発表では、カザフスタンの鬼に注目することによって、中央アジアの宗教世界の一端を考察する。

※異類の会初の中央アジアのお話です。来聴歓迎。

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