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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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タイトル:
 鯰絵も繁殖する
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地震錦絵の表現形式


発表者:
 増田こころ

要旨:
本発表では、安政地震地に爆発的な流行を見せた「鯰絵」の、特にその表現形式に注目し、受容やその来歴について考察をした。

発表にあたっては、鹿島明神や人間が武器をもって鯰を攻撃する「退治型」、鯰が神仏と対峙した姿が描かれ、鯰の申し開きと地震よけとされる梵字が書かれる「護符型」、人間が鹿島明神や鯰を拝みながら願いや感謝を口にする「祈願型」、地震によって儲け遊び歩いた職人や、施行を渋ったため揶揄された金持ちが描かれる「諷刺型」、歌舞伎の台詞や御品書きを捩ったり、浮世絵をトレースしたりと思しき「模倣型」と大きく分類した。
これらは、それぞれが別の来歴をもち、安政地震以前からたびたび発行されていた出版物の形式に則って作成されていると考えられる。

また、受容を明らかにすることを発表目的としたものの、想像にとどまり、改めて各々の形式ごとに鯰絵という枠を超えて検討する必要がある。今後の課題としたい。

質疑では、「護符型」も護符を模しているという意味で「模倣型」に含まれるだろう、という分類についてのご指摘や、麻疹流行時の錦絵や教化戯文である「心躰安樂丸」の受容との関連、また調査方法についても様々ご教示いただいた。

受容の問題も含め、直近の課題は「護符型」に類する一群である。先述の通り、災害時の出版物に留まらず広くこれを集め検討の材料としたい。

また、皆さまからの、ご指摘ならびにご教示へ、この場をお借りして感謝申し上げます。
(文・増田こころ氏)


*これは2025年6月29日(日)にオンライン(Zoom)で開催された第156回の要旨です。

*上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
*次回は7月27日(日)15時にオンライン(Zoom)で開催予定です。




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