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異類(人間以外のキャラ)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・同人誌などジャンルを越境する会です。
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全国の社寺にある絵馬や竜の彫刻が抜け出し、田畑を荒らしたり、河川の水を飲んだりするために絵馬に手綱を描く、彫刻の目をつぶすなどの対処をしたという伝説を全国から集め、整理した。

その結果、①動き出すものは馬や竜が多く、竜の引き起こす行為はいずれも水を飲んだり洪水を引き起こすなどの水にまつわることに関わっている。②動き出す動物への対処として、絵馬へは手綱を描き替えることが多く、彫刻に対しては目を潰すなどの物理的に部位を破壊する行為が多い。③絵の制作者には狩野法眼元信が多く、彫刻の制作者には左甚五郎が多く、その地域でその分野に対して代表的な人物とみなされていたことが分かる。④地域によっては郷土の偉人ともいうべき地元出身の画家や彫刻家が制作者の場合もあり、せいさくしゃは置換可能であることを指摘した。

発表者は伝説の要素々々が置換可能であると考え、井上善博が「繋馬図絵馬をめぐるでんせつについて(『名古屋市博物館研究紀要』3号、1980年)」でつくった票を参考に伝説を抽象化してその構造を考えることにした。〈人物による創作〉→〈欠乏の発生〉→〈原因の捜索〉→〈原因の発見〉→〈欠乏の解消〉という結果から、井上が二次展開に位置づけた〈伝承人物〉の存在を冒頭に置き、モチーフが欠落した伝承が散在すると指摘した。

その他に、青森県で『奥南新報「村の話」集成』(1998年)に掲載されている昔話化した伝説に「猫絵と鼠」などの昔話との習合を指摘したほか、田畑を荒らされる・水がなくなるといったことへの説明装置として伝説が機能していたのではないかと指摘した。


質疑応答・フリートークでは、事物にまつわるという伝説の性格から〈人物による創作〉よりも先行して事物としての絵馬・彫刻の存在が指摘された。さ、に収集された伝説の中からケーススタディとして実際に調査を行い、地域や寺社でその伝説がどのように伝承、管理されてきたのかを明らかにする必要も出て来た。また出席者から実際に伝説地の自社の彫刻の写真提供もあった。


今回の発表では、口頭伝承を中心に扱ったが、近世期の随筆や地誌などに記載されている伝説など、書承をみていく必要もあるなどの検討すべき課題も多く見つかった。今後は現在の伝承と書承の両面から伝説を考察していきたい。
(文・間所瑛史氏)


以上、4月22日開催の第72回例会の発表要旨です。
次回は5月27日(土)14時、國學院大學若木タワーにて開催予定です。

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 近年、早物語4種を収録する幕末明治期の写本が現れた(個人蔵)。今回はその翻刻、釈文を作成し、また関連資料を提示した。

1、蚤虱地方争い

これは従来早物語としては知られて来なかったもの。
板倉政談のパロディでもある。

2、和尚蜂合戦(仮題)

これは従来から知られている「清盛蜂合戦」に基づくものと思われる。
鎌倉建長寺の和尚と蜂たちの戦いを描く。

3、蓼地蔵(仮題)

これは菅江真澄『ひなのひとふし』に見える早物語と同根と思われる。
ただし、真澄採録の物語が化け地蔵の所作の滑稽さに重きを置いているのに対し、こちらは地蔵霊験として語られている点に違いがある。

4、酒餅論(仮題)

これは仮名草子『酒餅論』の酒造之丞(擬人化された酒)の言動を抜き出した語り物。『酒餅論』の影響が早物語に及んでいたことを示すのみならず、文字テクストが語り物化した実例である点も貴重。

総じて、早物語のみから成る写本(幕末明治期)は例がなく、且つ、以上のように従来知られていなかったもの、また知られていても異なるモティーフをもつものが出現してきたことで、早物語の伝承の広がりを窺う新たな材料を得たことになる(文・伊藤慎吾)

以上、異類の会第58回例会(2015年11月14日)の発表要旨です。

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艶笑譚は大きくわけて性器や精力の大小を話題の中心とするもの、知恵を以て不倫を行うもの、言葉や物を性的なものと掛けるものに分けられる。
性器・精力の大小は格外能力者のテーマと、不倫は狡智譚のテーマと重なることから、同じ話の場である閉じられた同性集団において語られ易い興味の方向であった。
また、話の主人公としては男性・女性ともに特定の職業者であることが多く、不可侵のものであるからこそ破りたくなる禁忌の侵しの話でもある。
口承資料においては、獣姦譚の報告は少ないが、精力旺盛や巨根といった興味の方向は同一であり、より効果的に話を伝える技術であった。


以上、発表者堀口祐貴氏による要旨でした。

次回の例会は予定では来月10月29日夕方6時から国学院大学にて開催となります。
内容は擬人化の研究史。
詳細は追ってお知らせします。

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前回取り上げた、人魚(エイ、ジュゴン)を漁師が磯で犯すという伝承を大正十二年の沖縄採訪時のノートに折口信夫も書き留めてり、翌大正十三年『三田評論』「信田妻の話」に祖先祭祀における動物始祖伝承を考察する中で儒艮を「先祖の儘の姿で居るといつた骨肉感を抱く様にな」ったものと位置付けている。
この他、南方熊楠が汎アジア的な前記伝承の記述を見出した“支那志”(『Tratados Historicos Politicos Etnicos y Religiosos de la Monarquia de China』1676 マドリッド)について、熊楠の摘記した「ロンドン抜書」の内容と照らし、グーグルブックスがPDF化したスペイン語原書と極めて近い版であると考える事が出来る。


以上、発表者広川英一郎氏による要旨でした。

今月の例会は21日夕方6時からとなります。
詳細は追ってお知らせします。

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口承文芸研究史において、異類と人との性的な接触は異類婚姻譚として扱われてきた。
それは柳田國男の性的な事例を排除するという姿勢とともに、「幸福な結婚」を日本人の重要な人生目標とする。
彼の学問的仮定に根ざしており、以降の昔話の話型の選定にも大きく影響を及ぼしてきたと言える。
無論、異類婚姻譚というタームの正当性は否定できないが、「犬婿入」や、河童聟入りから排除された「遠野物語」の不思議な力で無理矢理娘に通ってくる河童など、「婚姻」譚とするには整合性を欠く説話も多い。
人間の不快感に訴えるような刺激そのものが求められるサスペンス性や、淫靡性に価値が見出されていた部分は排除されてきた結果と言える。
『奇異雑談集』の当該話は、漁師がエイ(鱗を持つ魚よりも人に近い異類として描かれる)を劣情のままに犯し、人ならぬ子どもが生まれるという「奇異」な話であり、南方熊楠によれば東アジア的な広がりを持つことが予想される。
また、文字には残らないが海洋生物と性交渉を行うという実際的な習俗の存在が予想され、日本人の異類に対する感覚の新しい側面が見えてくる可能性がある。


以上、広川英一郎氏による第3回例会発表の要旨でした。

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誕生日:
2009/09/15
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新宿ミュンヘンで誕生。

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