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異類(人間以外のキャラ)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・同人誌などジャンルを越境する会です。
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鷹の家とされる西園寺家については、鎌倉~南北朝期以降の様相について明らかにされてきたが、芸道伝授が多く行われる中世後期についてはあまり取り上げられていなかった。本発表では、立命館大学図書館西園寺文庫に蔵される鷹書、特に『尋申条々』を手がかりとして、西園寺家における鷹の伝授について検討した。
本書は天文三年(一五三四)仮名暦の裁断した下半の紙背に、礼法記載を主として記される。同時期に行われた小笠原の弓馬故実の伝書などとの比較をふまえて、本書が大内氏被官弘中興勝よりの質問に対する返答を作成する際の草稿あるいは、手控えとして作成された書と位置付けた。また、本書には西園寺実宣による同時期の奥書を持つ『鷹百首』(「たかやまに」類)と連関する記載も見られ、西園寺家が『鷹百首』と合わせて、書面によって鷹の伝授を行っていたと指摘した。(文・発表者大坪舞氏)

以上、異類の会第40回例会(8月24日・国学院大学)発表の要旨です。

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 『おおかみこどもの雨と雪』(以下「おおかみこども」)は大学生の花と「彼」と呼ばれるニホンオオカミの血を引く男が出会い、二人の間に雪と雨という子供が生まれ、そしてその二人の子供たちがそれぞれ自立しハナの手元を離れていくまでの13年間の物語である。

 本研究のねらいは物語としての「おおかみこども」に注目し、話型の解釈や、登場人物の姿を民俗学的・文化人類学的に解釈するものである。

まず確認しておきたいのは、この物語は異類婚の話型をもつことである。異類婚の話型とは昔話の「魚女房」を基準とすると以下の六つの法則がある。

第1法則 異類と人間とが出会う。

第2法則 異類が人間となり一方的に人間に求婚し両者が結婚する。

第3法則 結婚後のタブーがある。

第4法則 人間がタブーを犯し異類の本性が発覚する。

第5法則 本性が発覚すると結婚が破綻し両者は離別する。

第6法則 後日譚がある。

 「おおかみこども」では、第1法則は、花の夢の中で、実現される。第2法則は逆になっていて、花という人間の女が積極的に異類に接近し結婚する。第3・第4法則はないが、第5・第6法則はある。特に「おおかみこども」の物語はこの第6法則である後日譚が異様に長いものになっている。言わば、異類婚の話型の後日譚が異様に膨らんだ物語といってよい。ただし、上記の異類婚の法則は異類女房譚をもとにしているため、「おおかみこども」の彼は異類婿であるから、本来は異類婿譚をもとに法則を考えなくてはならない。しかし、異類婿譚の場合、猿婿入りや犬婿入りの多くは異類婿は殺され、子孫が残される話ではない。その点を考えると、三輪山神話をもとに異類婚の法則を作り直し、改めて「おおかみこども」と照らし合わせる必要があろう。

次に「おおかみこども」の物語を読み解くうえで重要なのは花の人物像である。

筆者は花を巫女であると位置づけた。なぜなら、花は巫女的な特殊な能力をいくつかもつことが彼女のしぐさや精神性に確認できるからである。

 彼女の特殊能力の一つは他界とつながることができることである。例えば物語の中で花の夢が三回描かれる。イ)オープニング、ロ)彼の死後の直後、ハ)息子の雨が山へ行ってしまったとき。イは予知夢。これから出会うであろう彼をシルエットで見る。ロは死んだ彼を他界の境界まで追う。ただし、花は彼には追いつけず、そのままこちらの世界へ戻ってくる。ハは死者である彼と会う。この死者と会うというのが重要である。すると、彼女は憑依型の巫女ではなく、脱魂型の巫女に近いのではないか。つまり花は他界とこちらの世界を夢の中ではあるが行き来できる特殊な能力をもつ女性なのだ。

 彼女の特殊能力のもう一つは〈笑い〉である。彼女の〈笑い〉は呪術的な行為である。例えば、パプアニューギニアのカルリ族の歌合戦「ギサロ」では、聴衆が対戦相手側の歌い手たちを笑わせるという行為があるが、なぜなら、笑いによって、相手側の歌に引き込まれないようにするためである。ここでは、笑いが歌のもつ呪力に対抗する行為として、つまり、相手の歌の力に抗う行為として存在する。〈笑い〉は呪力に抗う行為である。すると、花の〈笑い〉は、このカルリ族のギサロにおける笑いのはたらきと同じように思われる。なぜなら、困難極まりないとき、或いは、悲しみの絶頂のとき、花は〈笑う〉のだが、〈笑う〉ことによって、花はその困難さや悲しさに抗っていると思われる。花の〈笑い〉は、苦しみや悲しみを無化しようとする行為であり、これはリアリズム的な行為ではなく、むしろ呪術的と言える。

 以上のように花という女性は巫女的な特殊能力をもつ人物であるのだが、問題は、なぜ「おおかみこども」の物語に花という巫女が呼ばれたのかということである。特に、この物語は子育ての物語であるとされており、なぜ子育ての物語に巫女なのか、また、なぜ異類婚なのか。今後はこれらの問いを明らかにしていく必要がある。



以上、飯島奨氏「『おおかみおとこの雨と雪』を読む」(2013年2月例会)の発表要旨でした。

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本発表では古典作品に登場するネコを取り上げ、
上代から中世初期までのネコの認識を時代ごとに追究した。

飼いネコは、奈良時代に大陸から日本に渡ってきたとされる。平安中期頃まではまだ希少な動物であったと目され、『枕草子』、『源氏物語』、『狭衣物語』、『更級日記』などの中古の古典作品には、貴族達に寵愛される愛玩動物として登場しており、紐で繋いで飼われるなどしている。

平安末期以降になると、ネコの生息数が増えたと目される。『今昔物語集』に於いてもネコが希少な動物であるという認識は希薄になっている。またこの時期、「のらねこ」という言葉も出現しており、野生化したネコの発生も推察される。
ところで、実は「猫また」などのネコの怪異譚が出現する時期は、「のらねこ」の発生した時期と重なっている。このことを受けて、ネコが希少な動物であった時代とは異なって、ネコに関して人々の眼の届かない側面が生じてきたことがネコの怪異譚が出現の要因の一つとして指摘した。
現実に於ける人とネコの関わりの在り方の変遷が、ネコにまつわる認識や表現、言説にどのように連関しているか。
今後は考古学の成果にも眼を向けつつ明らかにして行きたい。


以上、平成25年1月28日開催(於・青山学院大学)の第33回例会における発表要旨です(発表者:杉山和也氏)。

※次回は2月25日14時に開催します。

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本発表においては『女郎花物語』所引の鷹説話の背景を探索することで、鷹書の知の領域を検討した。
『女郎花物語』では、『金葉集和歌集』(三奏本)(五六五)に基づく心変わりした男に、鷹の道を心得た和歌を詠じる桜井の尼の話、天竺摩訶陀国にて鷹を遣い始めた長水仙人の死後、その妻の夢で天女が錦の袋に入った薬の書を与え、これを国王に伝授したことにより俸禄に与った話、仁徳朝に来朝した高麗国の鷹飼が、孤竹という女と契り、三年を経て帰国する際に鷹の秘術を伝授したという鷹の伝来説話の三つの鷹関連説話が記される。
この説話の背景として鷹書の世界を想定し、以下三つの観点から検討した。

1、政頼の「思ひ妻」説話
『金葉集』歌は天下無双の鷹飼として喧伝されていたせいらいに関わる説話として鷹百首注に取り込まれ、鷹百首注を取り込む『藻塩草』により連歌の知として浮上した。

2、「こちく」説話
鷹の伝来説話における「こちく」は鷹書のみではなく、連歌や庭訓往来注の世界でも影響が確認された。

3、鷹の薬水
鷹の薬水に関する説の背後にこちくを読みとくことによって、『女郎花物語』長水の妻に通じる女による鷹の療治に関する伝承を検討した。

秘伝とされ、独自の知を築いてきたようにみられる鷹書の世界であるが、和歌・連歌の学のもとで説話を生成し、そこで生成された知は再び連歌の知にも投入され、一方で枝分かれした形で鷹書独自の秘伝・秘説に結実していく。鷹書という知のありようは多様な展開を遂げる中世最末期の知の基盤を解く鍵となるのではないか。


以上、発表者大坪舞氏による要旨でした。
なお、本発表内容は近刊の学術誌に掲載されます。
刊行されましたら、本ブログ上でもご報告します。

さて、次回は今月下旬に開催します。
詳細は近々ご案内します。
初めて参加ご希望の方はご一報ください。
歓迎します。

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 本発表では、室町後期の公家である持明院基春と、その周辺にあったと考えられる『似則似鳩抄』を検討した。
 持明院家は西園寺家とともに鷹の道を家業とする家柄として知られる。しかし、鎌倉期以来鷹狩を好む家柄として認識されていた西園寺家に対して、持明院家の人物が鷹狩を行った記載は史料上見出し得ない。同家が鷹を家業とする家として広く認知されるのは室町後期以降であるが、その契機として、持明院基春・基規による鷹書の収集・書写・編纂活動が考えられる。
 持明院家の鷹書研究においては、従来群書類従に所収される鷹書が検討の対象の主であった。しかしこれらは近世期の写本が主で、室町期の写本は限られている。本発表では、基春・基規周辺での鷹書の蒐集・編纂により迫るため、基春自筆本などが多く確認される尊経閣文庫に所蔵され、基春周辺での編纂と考えられる『似則似鳩抄』を取り上げた。
 持明院基春・基規は鷹の道のみではなく、入木道・郢曲道の家を確立している。『似則似鳩抄』第四十条では、鞠道・歌道と郢曲道、あるいは歌道と入木道の関わりについても記載する。この記載は基春が書写した蹴鞠書(内閣文庫蔵甘露寺家旧蔵本『蹴鞠抄物部類』所収『蹴鞠条々大概』)、あるいは近世持明院流の入木道の書(『入木道相伝事』)などと共通する部分がある。
 基春は歌道・蹴鞠道あるいは衣紋道なども視野に入れた幅広い伝書蒐集・書写活動を行っており、持明院家の鷹書の編纂活動、ひいては鷹の家業化はこれらの書写活動の中に位置づけるべきではないかと考察した。
 以上のように、同書は持明院家の芸道を考える上でも重要であると同時に、室町後期の公家の芸道観の一端を明らかにするための資料として期待されるものであり、今後も検討を続けたいと考えている。


以上、発表者大坪舞氏による要旨でした。

なお、次回は12月26日(月)午後4時から青山学院大学で開催します。
詳細は近々ご案内します。
初めて参加ご希望の方はご一報ください。

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