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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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本発表では『平家物語』以前の資料に登場するヌエについて検討した。ヌエは上代に於いては、七夕の織姫星がひそかに心の内で泣く描写に付随して詠まれるなど(『万葉集』巻十・1997など)、哀調を帯びた声で夜に鳴く鳥として親しみを以て捉えられていた。しかし、中古以後においては、ヌエは不吉な存在として捉えられることが多くなる。
こうしたヌエの認識の転換には、フクロウなどの「夜に鳴く鳥」が、上代から中古にかけて漢籍の影響を受けて、その認識が転換していることが関わっている可能性がある。
また、平安時代中期以降の貴族社会における陰陽師たちの活動にも注意する必要がある。ヌエが出現すると陰陽師による占いが行われ、人々は凶事を恐れて物忌みした。当時の陰陽師達が怪異の占断の指標としていた陰陽道書の検討を今後の課題としたい。

以上、発表者杉山和也氏による要旨でした。

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本発表では、日本の古典作品に登場するクジラに関する認識の諸相を概観した。従来、古典文学に見られるクジラは現実の生物の問題のみに還元して考えられがちであったが、必ずしもには現実のクジラの問題のみには還元できない問題を多く孕んだ存在であったということが確認できた。
 漢籍の「鯢」字の解釈の問題に端を発して、空想的存在としてしか説明のつかない四つ足の大魚としてのクジラ像も生み出された例に顕著なように、日本に於けるクジラの認識、ひいては日本に於ける自然認識というものは、必ずしも日本人が実見できる自然環境との対話のみから育まれた訳ではなかったことが窺える。漢籍や仏典の情報、或いは日本の古典の知識に基づいて再解釈され、また読み替えられることによって、在来の自然認識が多分に異なった、新たな自然認識が創成されていったものと思われる。

以上、発表者杉山和也氏による要旨でした。

次回は1月28日18時、国学院大学にて開催します。

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