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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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本書は、源頼光の酒顛童子退治譚で、裏表紙に文化二年十二月、信州神之原村にて写されたとある写本である。
青本に同名の作品があるが、そちらは『太平記』巻三十五から三十八を題材としたものであり、内容には本書との関わりは見られない。
本書は六段構成になっており、第一段には謡曲「羅生門」と『平家物語』剣の巻の一条戻り橋の鬼女伝承を下敷きに、渡辺綱と茨木童子の腕をめぐる争いが描かれる。第二段では上総国住人藤原友春という人物が中納言国高の姫君に懸想するも果たせず、姫をさらうために軍をおこす。その機に乗じて虎熊童子が姫をさらうが、藤原友春の仕業と勘違いした池田中納言も軍をおこし、藤原友春と対峙する。そこに頼光四天王の一人である定光が仲裁に入るという内容となっている。第三段から第六段までは大江山系の酒顛童子説話であるが、酒顛童子を退治して都に戻る途中で終わっている。頼光と酒顛童子の和歌などから、こちらの本文は渋川版に近いものと考えられる。
六段に分けられた構成、酒顛童子退治譚の後日談として作られた「羅生門」を一条戻り橋の鬼女説話とつなげて冒頭に配置し、藤原友春なる人物を登場させているところに本書の特徴があると考えられる。特に藤原友春については来歴不明で、青本の『鬼神太平記』にも関わりはなく、本書の親本が製作された場所と何らかの関わりがるのではないかとのご指摘をいただいたが、現在のところ詳細は不明である。
今回は資料紹介であったので、引き続き内容を詳細に検討し、後日改めて調査結果を報告する。

以上、発表者塩川和広氏による要旨でした。

3月例会につきましては、近々お知らせします。

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第17回例会のご案内です。

日時 2月25日(金曜日) 18時
場所 国学院大学

※待ち合わせ場所は次の通りです。
 学術メディアセンター(図書館が入っている建物)
 1階ラウンジ
http://www.kokugakuin.ac.jp/content/000007812.pdf

塩川和広氏
資料紹介 架蔵『鬼神太平記』

文化二年の奥書をもつ写本であるが、国書総目録に記載のある同名の青本とは内容が異なり、源頼光による酒顛童子退治譚である。
本発表では本書がどのような性格を持つ写本なのか考えるため、翻刻して資料紹介を行う。

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お伽草子『伊吹童子』は酒呑童子が誕生して大江山に至るまでを描いた物語である。
伝本はいずれも絵巻物である(ただし赤木文庫旧蔵本は奈良絵本を絵巻に仕立てたもの)。
本文の系統はA類(国会図書館所蔵本他)、B類(赤木文庫旧蔵本他)の2系統に分類できる。
さて、今回新出本として紹介したものは幕末~明治大正期(恐らく近写本)の巻子本である。
しかも後半のみの残欠本である。
ところがその本文はB類本の赤木文庫本と同系統であった。
この系統はほかに個人蔵の絵巻が1巻あるが、もともと赤木文庫本のツレである。
したがって、赤木文庫本のみの孤本と言ってよいものであった。
今回、それと同系統の伝本が出てきたことは、赤木文庫本の本文(『室町時代物語大成』2所収)校訂や性格を見る上で有益であろうと考える。
本文をつぶさに比較するに、若干の異同が認められる。
また、新出本の親本もしくは祖本にあったであろう挿絵の位置(改行部分を挿絵料紙挿入箇所と判断)と異なる。
したがって両者は直接的な親子関係にあるものではなく、また姉妹関係にあるものでもないと思われる。

以上、発表者伊藤慎吾による要旨でした。

次回は2月25日18時から、国学院大学で開催します。

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第16回例会のご案内です。

日時 1月28日(金曜日) 18時
場所 国学院大学

※待ち合わせ場所は次の通りです。
 学術メディアセンター(図書館が入っている建物)
 1階ラウンジ
http://www.kokugakuin.ac.jp/content/000007812.pdf

伊藤慎吾
お伽草子『伊吹童子』新出本の紹介

『伊吹童子』は酒呑童子が誕生し、大江山に〈鬼が城〉を築くまでを描いたお伽草子である。
系統は2つに大別される。
新出本は江戸末~明治期のごく新しい写本であるが、巻末に絵が一図見られるから一種の絵巻と看做される。
今回は本資料の本文を翻刻して、参加者から種々の意見を賜りたく思う。

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本発表では、日本の古典作品に登場するクジラに関する認識の諸相を概観した。従来、古典文学に見られるクジラは現実の生物の問題のみに還元して考えられがちであったが、必ずしもには現実のクジラの問題のみには還元できない問題を多く孕んだ存在であったということが確認できた。
 漢籍の「鯢」字の解釈の問題に端を発して、空想的存在としてしか説明のつかない四つ足の大魚としてのクジラ像も生み出された例に顕著なように、日本に於けるクジラの認識、ひいては日本に於ける自然認識というものは、必ずしも日本人が実見できる自然環境との対話のみから育まれた訳ではなかったことが窺える。漢籍や仏典の情報、或いは日本の古典の知識に基づいて再解釈され、また読み替えられることによって、在来の自然認識が多分に異なった、新たな自然認識が創成されていったものと思われる。

以上、発表者杉山和也氏による要旨でした。

次回は1月28日18時、国学院大学にて開催します。

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