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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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日時:5月25日(日)15:00 
会場:オンライン(Zoom)

1. タイトル:
 現代「子取り」談義
  -
口承世界の妖怪たち

発表者:伊藤龍平氏
要旨:
 口承文芸研究者で、「口裂け女」研究で知られる野村純一は話された妖怪」の研究の重要性を説いていた。「書かれた妖怪」「描かれた妖怪」の研究が全盛である現在、野村の提言は今後の妖怪研究の方向性の一つを示唆しているといえよう。本発表では、授業時レポートの学生のコメントと聞き取りをもとに、21世紀の口承世界に息づく妖怪たちを、子取りを中心に取り上げ、一石を投じてみたい。

※来聴歓迎! 初めて参加する方はX(舊Twitter)
  @NarazakeMiwa
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日時:3月30日(日)15:00 
会場:オンライン(Microsoft teams)

1. タイトル:
 殺生石の破損を巡るSNS上の言説

発表者:森下陽向

要旨:
 2022年3月5日、栃木県の那須に存在する殺生石が割れていることが発覚した。この事象はその物珍しさからか連日多くの憶測が飛び交い、またその話題の注目の高さからニュースなどでも取り上げられるまでに至った。その一連の流れの中でも特に興味深かったのが、TwitterなどのSNSを通じて拡散された、「殺生石に封じられていた狐が出て来た」という、従来の伝説とは異なる物語が付与された事だ。このような既存の伝説の変容、新たな物語性の付与にどのような傾向があり、またそこから何を読み取ることができるのか、噂の伝播など研究を参考に考察していく。


2. タイトル:
 「霊魂を感じてしまう人」たちのライフヒストリー 
  ー出産・宗教・地域性からルーツを探るー

発表者:野村美緒

要旨:
 私の母方家系には5名、霊魂を感じてしまう。5名の共通点は全員が女性であること。この五名のライフヒストリーを基に、祖母の怪火の話から死を悟る、虫の知らせを感じることへの真偽を事例や母方家系の信仰宗教などから仮説・立証していく。また、女性という共通点から妊娠・出産の関与について民俗的観念から調査を行った。祖母や曾祖母の実家がある地域の民間宗教なども調査し、なぜ遺伝したのか、経緯やルーツを探る。

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タイトル:
 異類の造形:たとえば大蛇、あるいは獅子

発表者:
 永島大輝

要旨:
 祭礼の中の造形物や図像におけるいくつかの共通項から、現在では失われたその「お約束」の意味を捉える。具体的には今回の発表では、主に雨乞い(「脚折雨乞い」「ジャガマイタ」)での大蛇の造形をもとに共通項を見ていく。そうしてある類型を見出すと蛇に耳があり、尾に剣がついていることが言える。
 まず、ただの蛇ではない大蛇には耳があることだが、伝説や世間話として報告や研究できる。伊藤龍平『ヌシ』や南方熊楠の『十二支考』でも言及があり、従来の通り、俗信や口承文芸として研究できる。
 次に、力のある異類の尻(尾?)に剣が造形されることである。現在、何故かはわからないが造形されている。事例から異形とくに力を持っていることが想定される。言葉というより造形による伝承。四国の牛鬼の尻にも剣があるほか、尻に剣のようなものが見える獅子舞についても紹介した。
 近世期には共通の理解があったものと思われる。近世の怪談本の『諸国百物語』一の十三/越前の国永平寺の新発意が事や『新御伽婢子』三の一則身毒蛇などには尾に剣のある蛇の挿絵がある。ただしこれは、一つ目のものと違い俗信として研究できるのだろうか。少なくとも本文では記述されず、民間伝承でも巨大な蛇に剣が生ずるようなことは見られない。もちろんヤマタノオロチと剣など、蛇と剣は無縁のものではないはずではあるが、芸能レベルの知識が生活の中まで下りてきているとは言えないと思われる。どう扱っていくべきか、今後の課題としたい。
 質疑では妖怪@老中さんより大本敬久「牛鬼論 妖怪から祭礼の練物へ」の論文をご教示いただいた。牛鬼の尾の剣は、折れると人が死ぬなどの俗信をともなうことがあるようだ。
(文・永島大輝氏)

*これは10月20日(日)にオンライン(Zoom)で開催された第148回の要旨です。
*上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
*次回は11月23日(土)15時にオンライン(Zoom)で開催予定です。

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タイトル:
 最強の薬を手に入れたと思ったら戯文だった件。
 ― 薬に模した教化戯文における表現の方法に関する小攷 ―


発表者:
 羽鳥佑亮
要旨:

 江戸時代の雑多な戯文のうち、薬の喧伝に模したもの、殊に何らかの教化の方便となす戯文に注目し、いかなる表現によって薬の喧伝らしくしているかを、こころみに考察した。


 愚考には、大きく、「枠組」、「内容」、「語感」とにその表現を分け、さらに、「枠組」のなかに、「形式」(形式に文言をあてはめる)、「構成」(構成に文言を羅列する)を、「内容」のなかに、「連想」(喧伝の文言から連想される教化の文言の配置)、「音韻」(喧伝の文言に適した音韻の教化の文言の配置)を、「語感」のなかに、「掛詞」(喧伝の文言と教化の文言を同じ音にする)、「譬喩」(喧伝の文言と教化の文言を同じ音にする)を、それぞれ設け整理した。


 質疑においては、片仮名での名称を用いた場合や、それぞれの文言がいずれも「らしさ」をもっていないが組合わせてはじめて「らしさ」が漂う場合をいただいたが、今回とりあげた薬の喧伝に模したものでは応用がきかず、答えを導くことができず心残りである。今後の課題としたい。また、薬の喧伝に模した戯文を集めたものとして、江戸時代後期『視薬霞報條』を御教示いただいた。感謝を申し上げる。


 こころみの論としたが、現状においては、いずれの分野の俎上にも載せ難い。今後、論の位置づけを整備していきたい。

(文・羽鳥佑亮氏)

*これは7月28日(日)にオンライン(Zoom)で開催された第145回の要旨です。
*上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
*次回は8月31日(日)17時にオンライン(Zoom)で開催予定です。

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第142回開催のご案内

日時:3月31日(日)15:00 

会場:オンライン(Zoom)

タイトル:近世噺本と笑い話
     ―鬼と天狗を中心に―


発表者:齊藤 竹善氏
 
要旨:
 「噺本」は、近世において活発に出版された笑い話集である。これらの噺本は民間伝承との関係も深い。特に、「噺本の祖」と位置付けられる『醒酔笑』は、談義僧であった安楽庵策伝が、「小僧の時より、耳にふれておもしろくおかしかりつる事」を書き残したものと述べているように、当時(特に、談義僧の説教話として)流布していた説話・世間話の記録、という側面がある。また、新たに噺が創作されるにせよ、そうした噺が口承の笑い話となり、地方へと持ち込まれることもあった。
 それらの噺の舞台の多くは、庶民の日常生活の場であり、
そこには近世の庶民の生活感覚が根付いている。今回は噺本の中に創作・記録された噺の中からとくに鬼と天狗が登場する噺をいくつか見ていき、そこで示されるイメージから、近世庶民が如何に「異類」を笑いものにしたかを考えていく。また、そうした噺が全国的に広まり、民話化した例を挙げ、近世における噺と笑い話をめぐるネットワークを考察する。


※来聴歓迎! 初めて参加する方はX(Twitter)
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プロフィール
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異類の会
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非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。

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