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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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蛇に祟られた家―伝説と世間話の接合の事例―

発表者:
間所瑛史氏 

 本発表では群馬県の某町で聞き取った蛇の伝説とある特定の家の盛衰にまつわる世間話から話の位相を考察した。雨乞いの由来となっている池の大蛇の伝説が、一方でその大蛇を殺したとされる子孫の家に起こった不幸の理由として解釈され話されていた。伝説では蛇聟入りなどのモチーフを取り込んだ話が伝承されているが、一方で雄の蛇が猟師に撃ち殺され、雌の大蛇が寺の僧に血脈を求める話もある。世間話では蛇を殺した猟師の子孫に障害が発生し、没落したとされる。この世間話と同様の話を記載した文献には、口寄せが「先祖が大蛇を殺した祟り」と言ったと書かれている。同じ大蛇を殺したという点で一致する伝説と口寄せの解釈が結びつき、このような世間話が生れたと考えられる。



 質問などでは伝説を管理する寺に関するものが多かった。伝説が龍女成仏譚であり、伝説に登場する寺の宗派である曹洞宗が深くかかわっている点、寺の創建年代が応永ではなくもう少し早い年代まで遡る可能性、藩政資料や縁起、俗伝などを探す必要などの意見が出て来た。



 今後はフィールドワークの継続とともに文字資料などから歴史的な裏付けなどをとっていきたい。


※10月28日に発表したものです。


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日時:10月28日14時開始
会場:國學院大學若木タワー14階打ち合わせ室

発表者:間所瑛史氏
題目:蛇に祟られた家―伝説と世間話の接合の事例―

要旨:
群馬県X町では戦後直後まで雨乞いが行われていた。そしてその雨乞いにまつわる由来譚として蛇にまつわる伝説が語られてきた。
しかし、8月の調査でこの伝説とはまた違う、ある家にまつわる世間話をたまたま聞くことが出来た。本発表ではその話の報告と、伝説とその家の話がどう関係しているのかを考察してみたい。

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「イベントにおけるケモナー向けジャンルの現在とケモナーについての調査の経過報告」

近年、人外系の作品が増え、「ケモナー」という言葉自体もまた一般に知られるようになってきているが未だ誤解も多い。しかし、私自身もただのケモミミや動物に対して性愛を向けることをケモナーではないと断言することはできるものの、ケモナーとは何であるかもいうのを突き詰めて行くと、はっきり言葉にすることは難しいと感じたということもあり、オンライン上の百科事典やイベントなどの調査通じて「ケモナー」とは何であるかをひとまず定義してみようと試みた。
そもそもケモナーとは何を指すのかということでオンライン上の百科事典を参照したところ、ケモノ好きの人々を指すとのことであったがそもそも、「ケモノ」が何を指すかということ自体に対してケモナー間で論争があると言及されていたこともあり、そもそも「ケモノ」とは何かというのを探るため、実際のイベント(今回はけもケットとコミックマーケットに参加した)での扱われ方を参照してみたところ、そもそもマズル(口吻のこと)、もしくはケモノ鼻(犬猫の鼻のような逆三角形の鼻のこと)が必須であるということ、また頭部においてもう一点必ず動物要素が必要であるのではないかという結論に至った。
また、オンライン上の百科事典では獣人はよりリアルな動物の頭部を持つ人型を指すとのことであったが実際にはリアルな頭部を持つ獣人のイラストが獣人・ケモノオンリーイベントであるけもケットでのサークルカットに使われることはなく、こうしたオンラインで得られる情報が実状とそぐわない可能性が出てきた。
また、イベントでは男性が非常に多く、コミックマーケットでの扱い等を見る限り男性向けジャンルとして扱われているということも判明した。
今後はその他のイベントにも参加し、ケモナーの定義を進めていくと同時に、ケモナーの発祥や、今回の調査範囲には含まなかった着ぐるみや海外のfurriesについて、女性が多いという擬人化ジャンルとの違いなどの調査もしていきたい。(文・発表者)

※2017年9月30日(土)に國學院大學で発表されたものです。

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日時:9月30日(土)14時~
会場:國學院大學若木タワー14階打ち合わせ室
(開場は13時)

発表者:野中くれあ氏
タイトル:イベントにおけるケモナー向けジャンルの現在とケモナーについての調査の経過報告

要旨:
近年、『けものフレンズ』や『セントールの悩み』など、人外をメインに据えた作品が次々とアニメ化を果たし、人外もの自体が一つのジャンルとして注目をあびている。
その流れゆえか同時にケモナーという存在について言及される機会も増えた。
しかし、現状ケモナーについての理解は低く、ケモナー自身も日本においては積極的に表に出ることは少ない。
今回の発表においては実際のケモナー向けイベントでの調査をメインに据え、改めてケモナーとは何かについて考察したい。

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原辰吉氏「「歩兵の髪切り」と髪切り」

 江戸期の随筆に記録された髪切りや絵画や狂歌に描かれた髪切りの表象を辿り、岡本綺堂「歩兵の髪切り」(『半七捕物帳』)・澁澤龍彦「髪切り」(『うつろ舟』)といった髪切りが登場する文学作品の分析を試みた。
 綺堂の「歩兵の髪切り」では髪切りの手触りとして「天鵞絨か獣の毛のように」という文がある。これは歌川芳藤作の浮世絵『髪切の奇談』に「恰も天鵞絨のごとくなりしとぞ」という記述を意識したものである可能性がある。また作品内で、正体不明の髪切りに対しての解釈が転移していくが、これらの解釈は江戸期の随筆に書かれているものと重複するところがある。従来の髪切りにない要素の付け加えとして、作品の最後に髪切り事件の被害者が死亡するという記述がある。これは理屈のわからない怪談を目指した綺堂の意識のあらわれであろう。
 澁澤龍彦の「髪切り」においては、髪切りが修験者のしわざであるとされる。朝川善庵『善庵随筆』や喜多村信節『嬉遊笑覧』といった随筆において髪切りの正体が修験者と示唆される部分と重複する。澁澤龍彦の「髪切り」においては、髪とそれを切られるという被害を通して、主人公であるお留伊の女性の自覚が描かれていると考えられる。
 文学作品内に描かれる怪異を、その怪異の背景を含めてテキストに還元することによって、明らかになる創作意識もあるのではないだろうか。
 今後の課題としては、映像化資料の分析、髪切りに対する細かな調査(髪切虫との関連、海外で同様の怪異があるか)等があげられた。(文・原辰吉氏)

以上、8月8日例会の要旨でした。

※次回は9月30日(土)14時開催です。

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