異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
伊藤慎吾
紀南のネコマタ瞥見その他
ネコマタは一般的に山中に現れる怪猫、飼い猫が年経てなるものと考えられている。また、カマイタチも一般的に地上にいて負う裂傷の原因と考えられている。
ところが水中で同様の裂傷を負った場合にも、カマイタチを原因とする事例がわずかながら青森や福島、和歌山で見られた。そうした中で、海中に現れるカマイタチについては、和歌山県南端のすさみ町・串本町に限って確認されるところであった。当地ではネコマタがカマイタチ同様に人間に裂傷を与える妖怪として認識されていた。南方熊楠が1913年に聞き書きした記録と同様の事例はその後採集されることがなかったが、今夏、江住に取材に行くことで、水中でカマイタチのごとく裂傷を与えるネコマタの伝承の残存を見出すことができた。それと同時に、熊楠の記述に見える「江住村荒指」が隣村の「和深村安指」の誤解である可能性が高いことが分かった。
ではなぜカマイタチとネコマタが合成されたのか。これについては今後の課題としたい。
※次回は10月13日(土)14時開催です。詳細は追って告知します。
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