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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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 中世の寺院芸能である延年に開口がある。そこに登場するキャラクターのモティーフとなるものは、鳥や山川草木、花、名所、『源氏物語』五十四帖などである。鳥や植物は室町期お伽草子においても擬人化されている。しかし、名所や物語作品の各巻が擬人化するということは珍しい。『付喪神絵巻』『百鬼夜行絵巻』において経巻の妖怪化の例があるから、『源氏物語』の巻々のキャラクター化は例がないとはいえ、状況的には生まれてしかるべきものであったと思う。しかし、名所という抽象的なものさえもキャラクター化されている点に興味が惹かれる。物語草子においてはまだそれらは誕生していなかったからである。その意味で、「開口名所相撲之事」など注目するに値するものである。
 こうした自由なキャラクター化を可能にしたのは、モティーフを宗教的心意から精霊化したからではなく、あくまで言語遊戯の中で生み出したからではなかったかと解したい。つまり万物の精としてではなく、物尽しに物語要素を取り込む中でキャラクターとしての精を仮想したのである。その背景には和歌的な名寄・文飾の知識と技術とを窺うことができるだろう。(文・発表者 伊藤慎吾)

以上、異類の会第42回例会(10月30日・於青山学院大学)発表の要旨です。

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擬人化のキャラクターがどのように描かれていったのか。
この問題を巨視的に論じた。
大枠としては5種類に整理される。
1)異類型…異類の姿のままのもの
2)獣人型…基本的に異類のままだが、二足歩行をし、また人間の骨格に近い体型をしているもの
3)頭部異類型…頭部が異類で胴体が人間のもの。
4)異類着装型…人間の姿で異類を示すものを身につけているもの
5)異類背景型…姿は完全に人間でその背景に正体を描くもの

歴史的には次のように展開される。
古代―1)異類型、2)獣人型
中世前期―1)異類型、2)獣人型
中世後期―1)異類型、2)獣人型、3)頭部異類型、4)異類着装型
近世―1)異類型、2)獣人型、3)頭部異類型、4)異類着装型、5)異類背景型、6)異類象徴型

補足。
5)異類背景型は4)異類着装型から派生したもの。
同様に4)異類着装型から派生したものに、服飾の文様に象徴化されたもの、紋(文字)に象徴化されたものの2種類が派生する。
これらを6)異類象徴型と名付けて区別したいと思う。

以上、発表者伊藤慎吾による第4回例会発表の要旨でした。
※予告では「2009年同人誌擬人化本の概要」でしたが、都合により変更しました。

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