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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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タイトル:
 絵馬友の会の小絵馬の図像と絵馬趣味


発表者:
 間所瑛史氏

要旨:

 日本絵馬友の会は1978年に日本絵馬協会によって結成された会である。協会の主催する絵馬展を見たコレクターからの要望で設立し、毎月会員に絵馬を頒布し、1993年まで活動していた。友の会は関東と関西に支部を持ち、講演会などのイベントをおこなっていたほか会報を発行し、会員との交流をおこなっていた。


 頒布された絵馬は各地の社寺のもののほか、協会に所属する絵馬師によって複製されたものが存在した。頒布される絵馬のなかで「古式」と呼ばれるものは各地に奉納された絵馬を複製したものである。「古式」絵馬の典拠は、石子順造の『小絵馬図譜』に掲載された絵馬が最も多く、次に岩井宏實の『絵馬』に掲載されたものが多かった。そのほか、北条時宗や西沢笛畝などが刊行した絵馬図集に共通する絵馬も存在した。頒布された絵馬には解説書も同封されていたが、初期は当時、大阪市立博物館の学芸員だった岩井が解説を執筆しており、解説の内容は『絵馬』の中の説明と一致した。また、七重浜海津見神社に残されていた資料からは、友の会の会員が複製してほしい絵馬のリクエストをおこなっていることがわかり、その際に過去に出版された研究者や有名なコレクターの本を参照した可能性を指摘した。


 これまで絵馬は信仰の文脈で研究されることが多かった。しかし、明治以降は郷土玩具とともに絵馬は収集の対象となっていった。友の会の頒布した絵馬からは信仰だけではなく、美術、趣味としての絵馬というもうひとつの側面が浮かび上がってくる。


 質疑応答では1930年代の趣味雑誌のコレクターの特徴との関連性や交換会についてのコメントがあった。現在の寺社でオリジナルな絵馬が販売されるようになった経緯や友の会が発行していた会報については今後の課題としたい。(文・間所瑛史氏)


*これは2025年2月24日(月)にオンライン(Zoom)で開催された第152回の要旨です。
*上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
*次回は3月30日(日)15時にオンライン(Zoom)で開催予定です。

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