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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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タイトル:
 最強の薬を手に入れたと思ったら戯文だった件。
 ― 薬に模した教化戯文における表現の方法に関する小攷 ―


発表者:
 羽鳥佑亮
要旨:

 江戸時代の雑多な戯文のうち、薬の喧伝に模したもの、殊に何らかの教化の方便となす戯文に注目し、いかなる表現によって薬の喧伝らしくしているかを、こころみに考察した。


 愚考には、大きく、「枠組」、「内容」、「語感」とにその表現を分け、さらに、「枠組」のなかに、「形式」(形式に文言をあてはめる)、「構成」(構成に文言を羅列する)を、「内容」のなかに、「連想」(喧伝の文言から連想される教化の文言の配置)、「音韻」(喧伝の文言に適した音韻の教化の文言の配置)を、「語感」のなかに、「掛詞」(喧伝の文言と教化の文言を同じ音にする)、「譬喩」(喧伝の文言と教化の文言を同じ音にする)を、それぞれ設け整理した。


 質疑においては、片仮名での名称を用いた場合や、それぞれの文言がいずれも「らしさ」をもっていないが組合わせてはじめて「らしさ」が漂う場合をいただいたが、今回とりあげた薬の喧伝に模したものでは応用がきかず、答えを導くことができず心残りである。今後の課題としたい。また、薬の喧伝に模した戯文を集めたものとして、江戸時代後期『視薬霞報條』を御教示いただいた。感謝を申し上げる。


 こころみの論としたが、現状においては、いずれの分野の俎上にも載せ難い。今後、論の位置づけを整備していきたい。

(文・羽鳥佑亮氏)

*これは7月28日(日)にオンライン(Zoom)で開催された第145回の要旨です。
*上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
*次回は8月31日(日)17時にオンライン(Zoom)で開催予定です。

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第145回開催のご案内
日時:7月28日(日)16:00 
会場:オンライン(Zoom)

タイトル
最強の薬を手に入れたと思ったら戯文だった件。
― 薬に模した教化戯文における表現の方法に関する小攷 ―


発表者:羽鳥佑亮
要旨:
 江戸時代の雑多な戯文には、しばしば薬の喧伝に模したものが散見される。これを享受した人々は、戯文ながらも、実際の薬の広告と共通する、いわば「薬の喧伝らしさ」を感じとったであろう。実際、実際の薬の広告とともに伝承された戯文もある。では、その「薬の喧伝らしさ」の正体は何だろうか。
 本発表では、
戯文のなかでも、比較的にどこが戯文としての箇所であるか判断のつきやすい、何らかの教化の方便となす戯文(「教化戯文」と定義)をとりあげる。これらから薬の喧伝に模したものを用い、何をもって「薬の喧伝らしさ」を醸しだし漂わせているかを考察する。
※来聴歓迎! 初めて参加する方はX(舊Twitter)
  @NarazakeMiwa
 までDMを。
 

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タイトル:
 2023年浅草寺歳の市にみられる『藤娘』の羽子板について

発表者:
 平井優香
要旨:

 江戸時代東海道沿いの宿場、大津追分で製作・販売されていた大津絵は土産物として買い求められてきた。そして後に人形浄瑠璃、歌舞伎の演目に採用されさらに人気を博していった。


 その大津絵の中でも「藤娘」は主要な画題であった。黒の塗笠を被り藤の花房を担いだ着物姿の若い女性という姿は歌舞伎舞踊の演目や人形、羽子板に描かれており現在も知られている。


 本発表は2023年に東京都台東区浅草寺において12月17日から19日まで開かれていた浅草寺歳の市(通称羽子板市)で確認した167事例の「藤娘」を描いた羽子板を分析し、その造形の多様さを示すことを目的としている。


 衣裳の面では、大津絵「藤娘」は黒を基調とした柄もわずかな着物姿であるのに対し、歌舞伎舞踊「藤娘」は藤模様が施された華やかで色彩に富んだ衣裳である。羽子板の事例においては歌舞伎舞踊「藤娘」と共通した色彩、模様の衣裳が多く、大津絵ではなく歌舞伎舞踊「藤娘」から直接的影響を受けた造形と言える。


 また、藤の花については花房が描かれていない事例が複数見られた他、笠を被らず手に持つという事例も複数確認した。


 これらは、舞踊の最中に笠を被らず花房も持たない場面があることから、歌舞伎舞踊の演目に取り入れられたことで身体性を獲得した「藤娘」が見せた姿が多様化した故であると考えられる。さらに、笠に藤の模様が描かれた事例が多く、これは大津絵、歌舞伎舞踊の「藤娘」ともに見られない特徴である。


 最後に面相(藤娘の顔)についてであるが、丸顔のものが殆どであり、歌舞伎役者を連想させるような面長の面相を持つ事例は167件中わずか4件であった。


 文化・文政期に登場し、人気を博した押絵羽子板は役者のブロマイドとして作られていた歴史的背景が存在する。しかし、女性的な丸顔の面相をした事例、その中でも大きな目をした幼さを感じる面相も複数確認できたらことから、面相に対して需要の変化があったことが考えられる。


 本発表では、167件の「藤娘」の羽子板から衣裳、笠と藤の花、面相という点に注目して分析を行った。


 その結果、衣裳面と笠や藤の花の描かれ方からは歌舞伎舞踊の影響を受けているという結論に至った。また、笠に藤の花を描くという大津絵、歌舞伎舞踊には見られない特徴を確認することができた。 


 一方で、面相に関しては歌舞伎役者のブロマイドの影響は薄れて丸顔の顔立ちが殆どであった。


 このように、本発表では昨年の浅草寺歳の市における「藤娘」の羽子板における造形の多様さを具体的に示すことができた他、その背景に歌舞伎舞踊の影響が存在することまで言及するに至った


 今後は羽子板という造形物自体が持つ特徴や人々の認識、「藤娘」の羽子板に対する人々の需要に注目し研究を進めることを予定している。


(文・平井優香氏)

*これは6月30日(日)にオンライン(Zoom)で開催された第144回の要旨です。
*上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。

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第144回開催のご案内
日時:6月30日(日)16:00 
会場:オンライン

タイトル:
 2023年浅草寺歳の市にみられる『藤娘』の羽子板について

発表者:平井優香氏
要旨:
 江戸時代に、現在の滋賀県大津市追分で製作・販売された「大津絵」の画題「藤娘」は、歌舞伎舞踊演目として採用され、現在も定期的に公演されている。
 また、舞踊演目として人気を博したことで「藤娘」は人形、羽子板、絵画などの題材となり、造形化されている。
 本発表は2023年12月17日から19日にかけて浅草寺歳の市で確認した「藤娘」の羽子板全169事例を分析し、現在の羽子板に見られる「藤娘」像の多様性について考察する。
※来聴歓迎! 初めて参加する方はX(舊Twitter)
  @NarazakeMiwa
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タイトル:
 沖縄の幽霊譚と魔除け

発表者:
 鈴木慶一氏

要旨:
 沖縄の民俗が昔話などの伝承文学にどのように反映されているのかを幽霊譚を元に考察した。比較上、沖縄の幽霊と日本本土のそれとは同一とは言えないが、柳田国男は幽霊について「オバケは出現する場所は大抵定まっていた。幽霊は向こうからやってきた。遠くへ逃げても追いかけられる」などとしていた。沖縄ではその魔除け意識に注目すると、家への侵入を防ぐ豚小屋や呪具が存在し、それが幽霊出現に制限を加えていたことが明らかになった。


質問関係
〇柳田国男の幽霊の「定義」の妥当性、有効性について指摘あり。
 引き続き検討を進めるべき問題と思う。そのため幽霊や妖怪の定義が明確でない点が不明確な点に繋がっているのではないかと思われる。なお、当発表では幽霊と表現していたが、「霊的存在」でよいと考えている。
最近の日本各地の大震災の幽霊体験談と今回の沖縄の幽霊譚とは似ているとの感想。
 沖縄の幽霊関係の話は殆どが物語ではない実体験が多い為と思われる。体験談では差が少ないということは、物語風になると差が出て来るということになるとも言える。
(文・鈴木慶一氏)

*これは4月27日(土)にオンライン(Microsoft Teams)で開催された第143回の要旨です。
*上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
 

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新宿ミュンヘンで誕生。

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