異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
第158回開催のご案内
日時:8月31日(日)15:00開始
会場:オンライン(Zoom)
タイトル:
『日本擬人名辞典 お伽草子編』を作ってみたい
発表者:伊藤慎吾
要旨:
一般に擬人名というと、名無しの権兵衛や助兵衛、土左衛門、坂東太郎といった、慣用的に社会で用いられる名詞を指す。
戦前に宮武外骨が『日本擬人名辞書』を、戦後に鈴木棠三が『通名・擬人名辞典』を編み、それらを網羅した。
ところで室町時代以降の短編物語(=お伽草子)の中には人間ならざるものを擬人化し、中でも個体名(キャラクター名)を付けるものが見られるようになった。
しかし、宮武・鈴木の擬人名辞典にはそれらが対象外となっている。
擬人化キャラクターはしばしば「名は体を表す」ことを体現しており、それゆえに、鳥獣虫魚をはじめ、万物にどのようなイメージが込められているのか考えるヒントになることが少なくない。
擬人名はその重要な手がかりだ。
そこで、様々なお伽草子に描かれる擬人化キャラクターの個体名を辞典の形式で整理することはできないかと考えてみた。
が、個人研究の備忘にとどめるのではなく、一般の利用に耐えうるものにするにはどうしたらいいか。
これがよく分からない。
そういうわけで、今回は研究発表ではなく、参加者の皆さんから様々なご意見・アイディアを頂戴したいと思う。
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タイトル:
発表者:
羽鳥佑亮氏
要旨:本発表では、『耳袋』巻之二「貧窮神の事」などにおいて、当時の世間話とし記録された、牛天神に関わるところにおいて貧乏神を祭祀したとする言説を、仮に「牛天神貧乏神祭祀伝承」として俎上に載せた。先行研究においては、『耳袋』当該話を、何らかの災厄をもたらす神格を祀り福徳を得ようとする事例として引用がなされてきた。これには、『耳袋』当該話と類話とされ、また、牛天神貧乏神祭祀伝承を記す、『兎園小説』第九集「窮鬼」も、いわばこの論を補うかたちで用いられてきた。
牛天神貧乏神祭祀伝承に関する再攷
発表者:
羽鳥佑亮氏
要旨:
しかし、『兎園小説』当該話には引用元の提示がある。『四方のあか』巻上「日ぐらしの日記」だが、これについては言及されることがなかった。
そこで、『四方のあか』当該話を確認すると、貧を追うために祀るもので、貧乏神を祀り福徳を得ようとするものではなかった。しかも、これを言いだしたのは狂歌を専らとする千里亭白駒という人物であり、信用に値するか疑問で、戯れに述べたとも想像できる。
これとともに、牛天神別当泉松山竜門寺により、貧乏神を「黒暗天」とし、御影を描いた護符が出されていた。明治の神仏分離にともない別当泉松山竜門寺が廃絶し、北野神社となると、これにともない、「黒暗天」祠は「太田神社」となる。当時の雑誌などからは、このときから北野神社では、牛天神貧乏神祭祀伝承を積極的に公言しないさまがみてとれた。
これらから、牛天神貧乏神祭祀伝承は、江戸時代後期の戯れや世間話をもとに、牛天神別当泉松山竜門寺による関与が濃厚であると考えられる。
ひとつの発表としてはひろえなかった、断片的な記事も多い。今後の課題としたい。
(文・羽鳥佑亮氏)
*これは2025年7月27日(日)にオンライン(Zoom)で開催された第156回の要旨です。
*上記の文章を直接/間接に引用される際は、 必ず発表者名を明記してください。
*次回は8月31日(日)15時にオンライン(Zoom)で開催予定です。
*次回は8月31日(日)15時にオンライン(Zoom)で開催予定です。
第157回開催のご案内
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日時:7月27日(日)15:00開始
会場:オンライン(Zoom)
タイトル:
牛天神貧乏神祭祀伝承に関する再攷
発表者:羽鳥佑亮氏
要旨:
貧乏神について、概説書や主だった先行研究をみてみると、江戸時代後期に編まれた随筆『耳袋』巻之二「貧窮神の事」にしばしば触れられる。
おおまかには、牛天神にできた祠は、小石川のある旗本があまりに貧しく、貧乏神を祀ったところ少しは幸いもあり、これを移したもの、という筋である。
上記、貧乏神に触れる概説書や先行研究は、当該話から、貧乏神は丁重に祀れば福神とも転じ福徳を授けることを示す事例とし、いわゆる両義性を、読みとり論ずる。だが、当該話そのものの変遷はほとんど触れられてこなかった。さらにいえば、本当に貧乏神を祀り福神と転ずる事例として良いのだろうか。また、貧乏神を論ずるに際して普遍化できる事例といえるだろうか。
本発表では、牛天神に関わるところにおいて貧乏神を祭祀したとする言説を、「牛天神貧乏神祭祀伝承」とし、俎上に載せ、その信仰のさまの変遷を改めて確認する。ここから、当該伝承が貧乏神を論ずるうえで、どの程度に普遍化できるか再攷する。
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タイトル:
発表者:
増田こころ氏
要旨:本発表では、安政地震地に爆発的な流行を見せた「鯰絵」の、 特にその表現形式に注目し、受容やその来歴について考察をした。
発表にあたっては、鹿島明神や人間が武器をもって鯰を攻撃する「 退治型」、鯰が神仏と対峙した姿が描かれ、 鯰の申し開きと地震よけとされる梵字が書かれる「護符型」、 人間が鹿島明神や鯰を拝みながら願いや感謝を口にする「祈願型」 、地震によって儲け遊び歩いた職人や、 施行を渋ったため揶揄された金持ちが描かれる「諷刺型」、 歌舞伎の台詞や御品書きを捩ったり、 浮世絵をトレースしたりと思しき「模倣型」と大きく分類した。
これらは、それぞれが別の来歴をもち、 安政地震以前からたびたび発行されていた出版物の形式に則って作 成されていると考えられる。
また、受容を明らかにすることを発表目的としたものの、 想像にとどまり、 改めて各々の形式ごとに鯰絵という枠を超えて検討する必要がある 。今後の課題としたい。
質疑では、「護符型」も護符を模しているという意味で「模倣型」 に含まれるだろう、という分類についてのご指摘や、 麻疹流行時の錦絵や教化戯文である「心躰安樂丸」 の受容との関連、また調査方法についても様々ご教示いただいた。
受容の問題も含め、直近の課題は「護符型」に類する一群である。 先述の通り、 災害時の出版物に留まらず広くこれを集め検討の材料としたい。
また、皆さまからの、ご指摘ならびにご教示へ、 この場をお借りして感謝申し上げます。
(文・増田こころ氏)
鯰絵も繁殖する
-地震錦絵の表現形式-
-地震錦絵の表現形式-
発表者:
増田こころ氏
要旨:
発表にあたっては、鹿島明神や人間が武器をもって鯰を攻撃する「
これらは、それぞれが別の来歴をもち、
また、受容を明らかにすることを発表目的としたものの、
質疑では、「護符型」も護符を模しているという意味で「模倣型」
受容の問題も含め、直近の課題は「護符型」に類する一群である。
また、皆さまからの、ご指摘ならびにご教示へ、
(文・増田こころ氏)
*これは2025年6月29日(日)にオンライン(Zoom)で開催された第156回の要旨です。
*上記の文章を直接/間接に引用される際は、 必ず発表者名を明記してください。
*次回は7月27日(日)15時にオンライン(Zoom)で開催予定です。
*次回は7月27日(日)15時にオンライン(Zoom)で開催予定です。
日時:6月29日(日)15:00
会場:オンライン(Zoom)
1. タイトル:
鯰絵も繁殖する
-地震錦絵の表現形式-
-地震錦絵の表現形式-
発表者:増田こころ氏
要旨:
鯰絵は、安政二年の地震時に爆発的な流行をみせたとされ、これまで「地震の表象」として一括的に扱われてきた。
しかしこれらは、当然ながら構図や詞書においていくつかの差異が認められ、それぞれの来歴も異なるようである。
本発表では、改めて鯰絵の構図や詞書など、表現上の特徴に基づく分類を通し、なぜ鯰絵はあれほど多様になったのか、人々は鯰絵をどのように受容していたのか考察する。
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