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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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第162回開催のご案内

日時:12月27日(土)14:00開始
会場:オンライン(Zoom)


タイトル:
 妖怪を芸術でくくる試み


発表者:永島大輝氏


要旨:
本発表が芸術の語を使用しているのはひとえに現代で妖怪と呼ばれるものが現れるメディア、たとえば絵巻や漫画やアニメやお祭や話芸を芸術と読んで差し支えなかろうという動機がそこにあるわけです。つまり、それらをまとめて芸術を冠した本などを出してもよかろうと考えている訳です。
それは芸術とは何ぞやということを書く本ではないわけですが、もしかすると妖怪を通じてある程度芸術について語る必要があるのかもしれません。
本発表では娯楽作品つまりは大衆芸術にフォーカスを当てていきます。
そして、限界芸術。
もちろん、妖怪と芸術としてしまうことで拾えなくなる分野もあり、そこについても言及しますが、今回こうした試みをしてみることで、ここまではできる、ということも見えてくるかもと期待しています。
また、文章にする上で、どういうところを読者は求めているのかをみたい気持ちもあります。

※来聴歓迎! 
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タイトル:
 『岩舩山略縁起』と高勝寺の卒塔婆供養
発表者:林京子氏
要旨:

・高勝寺が所在する角礫凝灰岩の岩山である岩船山(172M)は、下野国、下総国、上野国、常陸国(現群馬県・埼玉県・茨城県)の国境近くに位置する。岩船山の北端には「岩船」と呼ばれる船型の巨岩がありにはその上に生身の地蔵が出現したとされる戦国末期1570年ごろから徐々に供養霊場化し、近世に入り日光東照宮の再造営と共に天台宗寺院高勝寺が整備された。春秋の彼岸には多くの人が塔婆供養に訪れる。塔婆を本堂脇に置く=「建てる」のは山の高い所の石地蔵の前に置くのが良いとされ、高ければ高いほど後生が良いとされ、人々は争って裏山の高いところに登った現在は危険なので卒塔婆を下に置く。


・享保4年(1719)岩船地蔵は流行神となり関東各地を巡行し、その後享保8(1723)年には下総銚子で、享保17年(1732)延享元年(1744)明和三年(1766)寛政6年(1794)に江戸で出開帳


・高勝寺には『下野州岩舩山縁起』と『下野州岩船地蔵菩薩縁起』以外に『下野國岩舩山畧縁起』(以下『略縁起』)が知られ、九州から東北まで版本写本10本が現存。出開帳や居開帳で配布と推測される。これは『仮名縁起絵巻』から生身の地蔵出現の物語と2回の出開帳での御利益を抄出して版行したもの。延享元年4月12日までの記事があるので、それ以降に作成。明和三年の三回目の江戸出開帳のために準備作成されたか。


・『略縁起』は生身の地蔵の出現の話と、享保17年、延享元年の江戸出開帳での霊験が6紙に書かれている。生身の地蔵の出現は金色の光を放つ地蔵に変身と淡々と記述され、再び岩船山に来た明願が見出した自然湧出の霊像
これこそが出開帳の本尊=明願が拝した生身の地蔵である略縁起のクライマックス


・塔婆は経年劣化してしまうので石塔の悉皆調査を行う→十八世紀末の死者から石塔が建立され、建立者は近隣住民→岩船山は周辺住民による石塔建立・経木塔婆供養の場であることが確認された。


・近代以降交通インフラの整備で参詣者地域が拡大し、敗戦後は戦死者遺族の思いを受け止める場となり高勝寺のバブル期到来→祖霊説をとる学者が来山して高勝寺は死者の霊魂の集まる場所とする通説が形成。


近世の岩船地蔵尊の現世利益の喧伝の契機は出開帳でありそれを普及したのが『略縁起』。


しかし近隣住民にとっては死者を供養する場であり、彼岸限定のエンタメランドでもあった。


【今回の発表で気が付いた点】


明願の木像は開帳の宝物として作成されたものと考えるべきで、岩船山で死者を供養するのは


「生身の地蔵」でよいのではないか。


【今後の課題】


石塔の再悉皆調査を行い、年号と建立者地域の相関を考察したい。


(文・林京子氏)





*これは2025年11月23日(日)にオンライン(Zoom)で開催された第161回の要旨です。
*上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
*次回は12月27日(土)15時にオンライン(Zoom)で開催予定です。

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第161回開催のご案内

日時:11月23日(日)15:00開始
会場:オンライン(Zoom)


タイトル:
 『岩舩山略縁起』と高勝寺の卒塔婆供養


発表者:林京子氏


要旨:
発表者は「生身の地蔵霊地」岩船山高勝寺の宗教文化史研究をしている。
今般高勝寺が所蔵する縁起二種類『下野州岩舩山縁起』(漢文)
『岩舩山地蔵菩薩縁起』全五巻(仮名絵巻)の翻刻解題を終えることができた。
高勝寺は大正14年に本堂が全焼して古文書などがほとんど焼失し信仰史の解明もされないまま、台風や震災被害を受けてしまっている。
今回は、高勝寺が発行したとみられ現存が多い『岩舩山略縁起』についてその内容と作成者、作成時期などについて発表者の考えを話して、参加者のみなさまにいろいろご教示いただければと思っている。
また高勝寺は卒塔婆供養で有名だが、卒塔婆供養はいつから始まっているのか、なぜここで卒塔婆供養を行うのかを考えるために4月に行った石塔悉皆調査速報を紹介し、重層的な岩船山の信仰を解説する。
よろしくお願いします。


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日時:10月19日(日)15:00開始
会場:オンライン(Zoom)
タイトル:
 橘正一、佐藤清明と妖怪研究ネットワーク
発表者:神川隆氏
要旨:
 発表者は伊藤慎吾氏・氷厘亭氷泉氏『列伝体 妖怪学前史』(勉誠社、2021年)を数年前に読んで妖怪研究のネットワークに関心を持った。その後、民俗学成立期に発行された様々な雑誌を調べる過程でこのネットワークが当時の民俗・方言研究のネットワークに含まれていることに気が付いた。本発表では本書であまり取り上げられなかった橘正一と彼の発行した『民間信仰』(『化け物研究』)、当時の同好者・研究者ネットワークを佐藤清明『現行全国妖怪辞典』(中国民俗学会、1935年)を例にして紹介した。
 今回の発表の前提となる近年の民俗学史の研究動向も紹介した。民俗学成立期には小さな雑誌(リトルプレス)が各地域で発行されており、同好者・研究者がこれらの雑誌に集まっていた。特定の地域で発行されていた雑誌にも全国に読者・投稿者がいた。これらの雑誌上のネットワークの形成・離散、別の場所での再形成が民俗学史の一面であった。今回紹介した雑誌や同好者・研究者ネットワークもその一部である。
 橘の『民間信仰』は『化け物研究』として広告が出されのみで実際に発行されていないとされていたが、発表者が調査して実際に発行されていたことが分かった。この雑誌は1931年7月1日に発行され佐藤清明も投稿していた。しかしながら、橘が期待していたよりも読者が集まらず1号で廃刊となってしまった。
 また、橘は方言調査カードを全国の同好者・研究者に送付して方言研究に協力してもらっていた。その調査結果は橘の雑誌『方言と土俗』に発表されていた。この形式の共同研究は愛知県の加賀紫水の『土の香』や杉山正世の『愛媛県周桑郡郷土研究彙報』でもおこなわれていた。これらの報告には方言、地域名ではなく協力者の名前も記載されているという特徴があった。ここから当時の方言蒐集・研究の同好者・研究者ネットワークの広がりを明らかにでき、地域名から協力者をある程度推測することができるようになった。
 その例を近年顕彰・研究が進められている佐藤清明『現行全国妖怪辞典』を例にして紹介した。この書籍には妖怪名と地域名が記載されており、岡山県外の妖怪名を提供した可能性のある協力者を推測した。しかしながら、今回協力者が推測できなかった地域も多く今後の課題である。
(文・神川隆氏)

*これは2025年10月19日(日)にオンライン(Zoom)で開催された第160回の要旨です。
*上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
*次回は11月23日(日)15時にオンライン(Zoom)で開催予定です。

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第160回開催のご案内

日時:10月19日(日)15:00開始
会場:オンライン(Zoom)


タイトル:
 橘正一、佐藤清明と妖怪研究ネットワーク


発表者:神川隆氏


要旨:
伊藤慎吾・氷厘亭氷泉編『列伝体妖怪学前史』(勉誠社、2021年)に発表者の関心を持っていた民俗学研究者が多く取り上げられていたため、きわめて興味深く読み妖怪研究のネットワークがあったことを知った。その後、発表者の関心である民俗学・郷土研究者と彼らの発行していた雑誌の調査を進める過程で発行されていないと考えられていた橘正一の『化け物研究』(『民間信仰』)を発見したり、当時の方言蒐集・研究ネットワークと妖怪研究のネットワークが一部重なっていることに気がついたりした。
今回の発表では『妖怪学前史』で取り上げられなかった先行者の仕事と妖怪研究ネットワークを紹介する。特に橘正一と彼の発行していた『化け物研究』(『民間信仰』)、佐藤清明『現行全国妖怪辞典』に寄与したと考えられる同好者・研究者のネットワークに注目する。
(敬称略)

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プロフィール
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異類の会
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16
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非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。

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