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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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「UFO現象の文化的研究について 円盤搭乗員の分析を中心に」
発表者:小山田浩史氏


本発表は、1947年以来世界各地で目撃報告がなされるようになった「空飛ぶ円盤(UFO)」とその搭乗員(宇宙人)に関する語りが文化的・社会的にどのような意味をも
つのかを考察したものである。
まず「空飛ぶ円盤」という言葉の誕生とUFOに関するヴァレやメウストの見解を整理した。ついで『マゴニアへのパスポート』におけるイーグルリバー事件(1961年)を分析し、西洋の妖精伝承と関連付ける説を紹介する。そして1957年のソ連のスプートニク2号打ち上げに連動する目撃事件と考えられるエベリッツタウン事件、ノックスビル事件に言及した。
これらを踏まえて、
1)「宇宙人」概念の発生と変遷
2)フィクションなどにおける「宇宙人」と報告された目撃事例の相互作用
3)円盤搭乗員の奇妙な振る舞いにはどこまで文化的な意味があるか
といった課題・展望を提唱した。(文責:S・I)



上記は2019年6月29日(於・武蔵大学)で開催した会の報告です。
次回は7月27日(於・國學院大學)での開催を予定しております。

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日時:6月29日(土)14:00
会場:武蔵大学3号館2階3201教室(院生GS)
   ※最寄り駅=西武池袋線江古田駅/西武有楽町線新桜台駅/都営大江戸線新江古田

発表者:小山田浩史氏
「UFO現象の文化的研究について 円盤搭乗員の分析を中心に」

要旨:
1947年以降世界各地で「空飛ぶ円盤」とその搭乗員の目撃が報告されるようになったが、一見荒唐無稽と思われるこれらの語りが持つ文化的・社会的な意味とは何なのだろうか。
今回の発表では、UFO現象の文化研究史を紹介するとともに、個々の事例の中から特に円盤搭乗員(いわゆる「宇宙人」)の不可解な振る舞いや奇怪な外見といった特徴を対象にし、それらが我々のどのような想像力から立ち現れてきたものなのかを考察してみたい。


来聴歓迎!

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「お伽草子を中心とした鼠にみる擬人化の特徴」
発表者:中山恵那̪氏


鼠は、古くから日本人の生活に密接に関わってきた。
多産な事から目出度いものとされ、中世以降は大黒天と結び付けられた。一方、食害をもたらす存在でもあり、とりわけ都市が発展していく近世以降は、中世までのイメージを引き継ぎ、ペットとしての飼育の流行もあったものの、駆除対象にもされていた。
生活に身近な存在である鼠は、数多くの物語に取り上げられており、お伽草子でも鼠が登場する話が数点存在する。それらは擬人化されたものが多く、様々な形で描かれている。
鼠が擬人化で描かれる際には、人間の世界と鼠の住処において姿の使い分けがされている。更に、同族間でも場合によっては擬人化の程度に差を付けられる。
『鼠草子』や『弥兵衛鼠』では、より動物的な行動をとる場合に本来の姿、或いは本来の姿に近い姿で描かれている。また、色によって身分の上下、性別が描き分けられており、それは、吉祥の鼠か害獣の鼠かという違いのみならず、擬人化にも人間を描く際の細かい規範が用いられている事を示している。
物語中には、擬人化される動物とされない動物が存在する。人目につくものの生活の全貌が掴めない鼠は比較的擬人化の対象として選ばれ易かったと考えられるが、人間にとって道具や食料として使用される動物やそれらに似た形状の動物は擬人化されることが少なく、役割によって描かれ方が異なることが分かる。
これらの挿絵に描かれている擬人化の様子は、本文中に記述されていない情報が非常に多く、物語の世界観を説明する上で大きな効果を発揮している。(文・発表者)


先月の会の要旨をお送りします。
なお、次回は今月29日(土)14時から先月同様、武蔵大学で開催します。
詳細は近日中にお知らせします。

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今週の土曜日開催の異類の会のご案内です。
皆さま、よろしくご参加ください。


日時:5月25日(土)14:00
会場:武蔵大学3号館2階3201教室(院生GS)
   ※最寄り駅=西武池袋線江古田駅/西武有楽町線新桜台駅/都営大江戸線新江古田駅

発表者:中山恵那氏
タイトル:お伽草子を中心とした鼠の擬人化

要旨:
鼠は、人間にとって古くから身近な存在であり数多くの物語や絵画に登場している。また、それらの作品に登場する鼠は、時に害獣であったり縁起の良い存在であったりと様々な面で捉えられており、示すべき面によって異なる表現がとられる。
『鼠草子』、『弥兵衛鼠』、『かくれ里』等、お伽草子には擬人化された鼠が多く登場し、場面や役割によって描き分けがなされている。それらの色や形態などの表現に着目し、人間や鼠以外の擬人化された動物と比較しつつ鼠が擬人化される際の特徴を分析する。また、擬人化と本来の姿の別については文章で詳細に記述される事が少なく挿絵のみに表現される事が多いので、文章と挿絵の齎す効果がいかなるものかという事について考える。


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今井秀和氏
「平田篤胤『仙境異聞』にあらわれた「生物」観」

要旨:
江戸後期の文政年間、常陸国にあるという天狗の棲む世界と、江戸とを行き来していると自称する少年、寅吉が世間を賑わせた。国学者の平田篤胤による『仙境異聞』は、寅吉への聞き取りをまとめて著されたものである。そこには、寅吉が見聞きしたという「天狗」に関する詳細な情報などのほか、鉄を食う獣、四足を生やした鯉といった奇妙な生物をめぐる知識も記録されている。
昨年末に刊行された、平田篤胤著、今井秀和訳・解説『天狗にさらわれた少年 抄訳仙境異聞』(KADOKAWAソフィア文庫)に付した注釈では、紙幅の都合上、仙境における「生物」の関連情報について充分に述べることができなかった。そこで本発表では、『仙境異聞』に載せられた「生物」知識と、和漢の文献に記された情報との比較を通して、寅吉らが紡いだ仙境の「生物」観に迫ってみることとした。
具体的には、寅吉が語った鉄を食う獣、四足を生やした鯉などをめぐる知識のほか、狐・鳥・人などが天狗になるという寅吉の説を検討対象に据えた。また、前近代から近代初頭にかけて実際に広く信じられていた、無生物から生物が生じたり(いわゆる「自然発生説」)、生物Aが生物Bになったり(筆者の造語「異種変態説」)という、近世後期にも強い信憑性を有していた俗説と、寅吉の語る内容との比較を行った。
その結果、上記のような『仙境異聞』の「生物」観は、当時知られていた文献知識と必ずしもイコールではないものの、両者の間に強い類似性が認められることが判明した。つまり、寅吉の語る内容に、彼独自の想像だけではない、同時代的な知識体系からの影響が想定されることが明らかになったと言えるだろう。
また、天狗などが姿を変える、いわゆる「変化」(へんげ)と、生物が姿を変える「変態」との間に、イメージ上の重なり合いおよびズレがあることも分かってきた。ただし、こうした分析の枠組み自体が今日的な認識に基づくものであり、今後の研究の手つきとして、今日的な生物観・生命観と当時のそれとの違いをどのようなかたちで把握し、論述していくのか、という検討課題も浮き彫りになった。
これからの研究の展開としては、今回行ったような、『仙境異聞』にあらわれた「生物」観を腑分けしていく試みを踏まえた上で、寅吉の語る内容と和漢の文献知識との比較作業を通して、寅吉の語りを構成するであろう情報の諸相に迫っていく、という方向性を想定している。
(文・発表者)



※これは4月27日、大東文化会館で開催された第91回例会の報告です。
※次回は5月25日午後2時、江古田の武蔵大学で開催します。

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