忍者ブログ
異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21 
第105回 異類の会

日時:1月31日(日)15時開始

場所:Zoom


発表者:大坪舞氏
タイトル:はとや説話考
     ―鷹と鳩との異類婚姻譚―

要旨:
「はとや」(鳩屋・鳩也)という鷹が親のかたきである鷲を討つ説話は、 鎌倉時代には
石清水八幡宮の宝物「鳩屋鈴」の由来譚を始原として確認されるが、時代がくだるにつれ、天皇の名鷹の一つとして鷹書説話に取り込まれる。当初は単に鷹の名であった「はとや」の説話は、鳩とともに鷲にかたきを討つ、果ては鷹と鳩との異類婚姻譚へと展開する。本発表では、「はとや」説話の展開を確認し、鷹と鳩との異類婚姻譚が生成された背景を探る。

〈参考文献〉
益田勝実 「鳩屋の鈴―ひとつの伝説の滅びかた」『論纂 説話と説話文学』笠間書院、1976年
黒木祥子「平賀の鷹」『伝承文学研究』35、1988年

※参加希望の方は、@NarazakeMiwa(TwitterID)
 もしくは「異類の会広報用」(@iruinokai)にDMを。


拍手

PR
タイトル:オーサキのいなくなった日常
      ―群馬県南西部における人間と
動物の関係

発表者:間所瑛史氏


要旨:
 群馬県南西部ではかつてはオーサキと呼ばれる憑き物の話を聞くことができる。本発表で筆者は群馬県南西部のとある町で調査した際に偶然2名の住民から聞いたオーサキの事例を報告した。更に吉田禎吾の調査や東京学芸大学の調査報告書などから当該地域におけるオーサキの特徴を紹介していった。

 群馬県南西部におけるオーサキの特徴から、住民はオーサキをヤマネやオコジョのような小動物として捉えており、オーサキに憑依されると食べ物を欲しがったり神職を避けたりするなどの行為をおこなうようになると過去の報告から見て取れる。またオーサキモチの家は隣家から繭や小麦粉などを盗むとされており婚姻差別などがおこなわれるなど社会的緊張をもたらす存在であった。

 発表者の聞き取った事例からは過去の報告書と同様のオーサキの特徴のほか、オーサキ除けとしての山犬の歯を加工した根付の実物やコックリさんをオーサキとして捉えている事例を報告した。そして過去のオーサキの存在していた時代を人々と動物との関係性などから考察をおこなった。

 質疑応答では筆者の撮影した山犬の歯の根付はツキノワグマの歯の可能性が高いこと、民間宗教者の存在などがあげられた。群馬県南西部は隣接する埼玉県の三峰山や両神山で修験が盛んにおこなわれており、そうした修験者が山犬の歯の加工に携わっていた可能性がある。また、現代の憑き物の事例なども質疑応答で出され、現在は地域的な文脈を離れてインターネット上でスピリチュアルとして憑き物が受容されている。他にも質疑応答ではオーサキに限定されない様々な憑き物の情報があげられた。(文・間所瑛史氏

これは2020年12月26日(土)にオンライン開催された第104回の報告です。



拍手

第104回 異類の会

日時:12月26日(土)15時
会場:Zoom
※参加希望の方は、@NarazakeMiwa(TwitterID)もしくは「異類の会広報用」(@iruinokai)にDMを。


発表者:間所瑛史氏
題目:
オーサキのいなくなった日常―群馬県南西部における人間と動物の関係


要旨:
群馬県南西部は狐憑きやオーサキなどの憑き物信仰が存在しており、時に差別の問題となり社会的緊張を孕むものであった。1970年代に同地域を社会人類学者の吉田禎吾が調査したことでも知られている。
本発表では、発表者が2019年に群馬県南西部の自治体を調査した際に聞き取ったオーサキの事例を報告するものである。同時にオーサキだけではない住民と動物との関係を絡めながら発表していきたい。



拍手

タイトル:
 少年少女の日の思い出:
 偶然記録されたフォークロア
発表者:永島大輝氏
                                         
要旨:
 柳田国男は偶然記録という言葉を用いた。「記録には必ず計画がある。之を他の目的に利用すれば乃ち我々のいふ偶然記録となるのである。(柳田国男『民間伝承論』第三書館1986)」とのことで例えば、聞き書き調査などで民俗学の研究のために集められたデータではなく、別の目的で集められたデータを研究のために使うということだ。柳田は問題点として「杜撰多く、固有名詞の間違い、計数の不精確、内容の誇張等のあることは、普通に我々の経験するところである。是を直ちに資料として採用することの危険は甚だ多いのである。」と述べている。しかし偶然記録にはかなり魅力的なものがある。今回はいくつかのエッセイから拾った。例えば、中勘助『銀の匙』の「異国の切支丹が日本人を殺してしまおうと思って悪い狐を流してよこしたからコロリがはやつたので、一コロリ三コロリと二遍もあつた。」などは、『静岡県史』にある、流行病の原因ともいわれた千年もぐらやアメリカ狐と呼ばれる異類と似ている。
 また、河童の見世物の事例は、かつてはよく見世物としてあったものだ。
 さらに「ぽっぽどりは悪い鳥でひと声に蚊を千匹つ吐くげな。あすは蚊がえらいぞよ」という話がある。  ヤマバトかキジバトの鳴き声を聞いて、ぽっぽどりといっているのを発表者は聞いたことがあるが、蚊を吐くという鳥の話は類例が管見では口承の中に見つかっていない。偶然『和漢三才図会』に蚊を吐く記述がある鳥がいたのを見つけた。蚊母鳥(ぶんもちょう)というのがそれだが、探せばこうした鳥の話はあるのかもしれない。
 このように類例で補強すれば、ある程度研究にも耐えうるものになろう。
 変遷が分かる可能性もある。たとえば、失せ物を探す習俗として「いろりのカキツルサマ(鍋などを吊るす自在鍵のこと)に半紙などを切って巻き付け、見つかりますようにと拝むと見つかる。」というものを聞いたことがある。ものを無くしたときに自在鍵に何かをしばる俗信は各地に見られるものであるが、これに関連するかもしれない例に、さくらももこ『ちびまる子ちゃん』4(集英社 1989)にハサミに糸を巻き付けて失せ物を探すまじないがある。また、「なくしたものを心に思いながらハサミの刃に輪ゴムをグルグル巻き付けて机の上に置いておく」というのを学研の本から知ったというエッセイ(「学研のおまじない」近藤聡乃『近藤聡乃エッセイ集 不思議というには地味な話』ナナロク社 2012)など少し似た例も見つかる。こうした事例を集め研究に生かしていきたい。
 一方で、個人的な悪夢など類例を探せないものの、興味深い体験が『銀の匙』には出る。質疑応答では夢の内容など類型化しにくい個人的な体験をいかに研究の訴状に上げられるかなどの議論がなされた。また、SNSなどで偶然記録がたくさんあふれる時代であり、それを無視することはこれからの研究者はできないであろうことも参加者の意見の一致するところであったように思う。
 
追記
発表者は今回の内容を異類の会参加者の式水下流の発行する同人誌(「ましらだま」という名前らしい)に投稿する予定である。(文・永島大輝氏)
 
※これは11月29日(日)にオンライン開催された第103回の報告です。


拍手

先日、本会の公式Twitterを作りました(@iruinokai)。
フォローをお願いします!

拍手

カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
[10/24 浅井悠太]
[10/24 木下 誠]
[09/26 永島大輝]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
異類の会
年齢:
14
性別:
非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。

連絡先:
gijinka☆way.ocn.ne.jp
(☆を@にかえてください)
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
異類の会 Produced by 異類の会  AD :忍者ブログ [PR]

SimpleSquare 和心 ver.2 Edit by : 飛雄