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異類(人間以外のキャラ)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・同人誌などジャンルを越境する会です。
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 室町時代以降、急速に信仰の広がりを見せた福神信仰は、お伽草子の中にも取り入れられ、その姿を変容させた。本発表では主に『大黒舞』『梅津長者物語』における大黒天と貧乏神の描写について考察した。
両作品において、大黒天は白い面相で描かれ、打出の小槌をふるって戦い、また舞の道具として用いる。儀軌に黒い肌とされる大黒天が白く描かれるのは『豊国祭礼図屏風』に描かれるような、芸能民が被る面とのつながりが想像される。打出の小槌は本来鬼の持ち物とされ、大黒天と鬼のイメージの連絡が注目される他、宝物を打ち出す小槌を武器として使用することも特徴的である。『渓嵐拾葉集』に記される盗賊避けの大黒天や、『犬筑波集』に収録された俳諧がこの大黒天像の形成に影響を及ぼしていると考えられる。『今昔物語集』16-32の小槌で叩いて病を起こす疫病神の姿も、鬼と打出の小槌との関わりから重要であるが、打出の小槌という宝物を武器として用いるというのは、二作品から見られる特徴的な姿である。
 大黒舞という芸能を大黒天自身が舞うという趣向も含めて、ここに描かれる大黒天には芸能民の姿が投影されており、なおかつ宝物を単なる武器や舞の道具として用いる姿には、福を授ける存在という信仰からの解離が見える。これは福神が、信仰から切り離されて人と同じ存在にまで引きずり下ろされていくという、お伽草子における福神描写の流れに則ったものであり、『大黒舞』から福神の擬人化が生み出されていったということができる。また大黒天に芸能民の姿が重ねられていたように、『梅津長者物語』に描かれる貧乏神の姿にも、特定の階層の人々が投影されていたようである。柿帷子などに象徴されるその姿は、ライ病者や犬神人などの姿と共通し、中世末から近世初期にかけての、人々の被差別民を見る眼差しを考える上でも、この作品は重要であると言えよう。


以上、発表者塩川和広氏による要旨でした。
※この内容は第22回例会(7月22日・於青山学院大学総研ビル3階1135教室)での発表に基づくものです。

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