異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
タイトル:
現代における「牛鬼」表象とその成立について
発表者:
加藤嵩人氏
要旨
「牛鬼」という名で呼び表される妖怪について、 民間伝承や伝説の中に語られるものから絵画上に描かれるもの、 あるいは南予地方の祭礼行事に登場する練物やそれを象った民芸品 まで、多種多様に存在する。特に伝承における「牛鬼」 は出没地域や形態などの要素もさまざまであり、 異なる怪物伝承が「牛鬼」という統一された名称を与えられ、 それぞれ異なる地域において伝承されてきたのではないかと考察を 行った。
また現代における「牛鬼」 の表象については上記のさまざまな要素(複数の伝承、 絵巻物のビジュアル)が組み合わせられ、「牛鬼」 という一個の妖怪として確立しており、 こうした背景には水木しげる『ゲゲゲの鬼太郎』「牛鬼」( 1968年)の影響も多分に存在していると考えられる。
このほか、 国立国会図書館の全文検索機能を用いて1945年から70年まで の「牛鬼」に関する言及を取りまとめ、 南予地方における牛鬼祭礼の観光資源としての全国的な扱われ方や 、児童文学・演劇での「牛鬼」の取り沙汰され方など、その後の「 牛鬼」 受容に対してどのような下地が作られていたのかについて提示し、 また参加者との意見交換を行った。
今後は議論にて得られた情報や知見を基に、 今回の発表ではあまり触れられなかった70年代以降の「牛鬼」 展開や近世資料に現れる「牛鬼」など、 更に研究とそれを成立させるに足る説得力を深めていきたい。
(文・加藤嵩人氏)
※これは2023年3月26日(日) にオンラインで開催された第131回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、 必ず発表者名を明記してください。
現代における「牛鬼」表象とその成立について
発表者:
加藤嵩人氏
要旨
「牛鬼」という名で呼び表される妖怪について、
また現代における「牛鬼」
このほか、
今後は議論にて得られた情報や知見を基に、
(文・加藤嵩人氏)
※これは2023年3月26日(日)
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、
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タイトル:
見えない来訪神:首切れ馬再び
発表者:
永島大輝氏
2022年の大晦日から2023年の元日にかけて下甑島の手打地
来訪神行事であるトシドンをみるためである。
首切れ馬に乗ってやってくる、
トシドン行事で来る来訪神が、
栃木県で間々田のジャガマイタを見ていたときに「蛇祭り」
確か別の呼び名を見た覚えがあったが、その場では答えられず、
トシドンは餅を子どもに渡すが、
また、首切れ馬との関係で、
長期的には、異類(の会としては伝説、世間話、
(文・永島大輝氏)
※これは2023年1月22日(日)
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、
タイトル:
ヤロカ水の広がり~地理・時間・内容~
発表者:
怪作戦テラ氏
「ヤロカ水」について、水木しげるの図鑑類、柳田国男の『 妖怪談義』に取り上げられていることもあって、知名度は高い。
しかし、一般によく知られた内容だけに留まらず、 実際にはもっと様々な広がりを持った伝説である。
地理的には、岐阜の太田、愛知の犬山での事例が知られるが、 川からある程度南に離れたエリアにも伝播している。
ただ、主に「犬山扇状地」 近辺より離れたエリアでは今の所確認できず、 岐阜側でも太田以外では確認出来ていない。
つまり、「木曽川流域一帯に広く伝わっている」とは言えない。
時間的には、資料としては1824年の『犬山里語記』 まで遡る事ができ、時代設定としては、 貞享四年とされる例が多いものの、「六百年前」 とされているものまであり、一定してはいない。
(木曽川の洪水自体は、数限りなく何度も起きている)
内容としては、広く知られた「応答の結果、急な増水で決壊した」 という話だけでなく、「ヤロカ水の際に〇〇が流れ着いた。 このようなご利益があった。ヤロカ水で消失した」 といった内容も少なくない。
(増水も、急に決壊したとは限らず、 何日もかけて増水して決壊する描写もある)
また、応答の際、返答文句の初出は「ヲコサバヲコセ」とあり、 趣旨としては「ヨコサバヨコセ」 と同じではないかと考えられるが、あくまで推測ではあるので、 要注意事項と思われる。
このように、ヤロカ水は様々な広がりを持った伝説といえる( 執筆:怪作戦テラ氏)
※これは2022年8月20日(土) にオンラインで開催された第124回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、 必ず発表者兼執筆者の名を明記してください。
※次回は9月25日(日)15時00分オンライン開催です。
ヤロカ水の広がり~地理・時間・内容~
発表者:
怪作戦テラ氏
「ヤロカ水」について、水木しげるの図鑑類、柳田国男の『
しかし、一般によく知られた内容だけに留まらず、
地理的には、岐阜の太田、愛知の犬山での事例が知られるが、
ただ、主に「犬山扇状地」
つまり、「木曽川流域一帯に広く伝わっている」とは言えない。
時間的には、資料としては1824年の『犬山里語記』
(木曽川の洪水自体は、数限りなく何度も起きている)
内容としては、広く知られた「応答の結果、急な増水で決壊した」
(増水も、急に決壊したとは限らず、
また、応答の際、返答文句の初出は「ヲコサバヲコセ」とあり、
このように、ヤロカ水は様々な広がりを持った伝説といえる(
※これは2022年8月20日(土)
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、
※次回は9月25日(日)15時00分オンライン開催です。
タイトル:
「隠れ蓑笠」は誰のものか? ―姿を隠す鬼と天狗―
発表者:
齊藤竹善氏
要旨:
身に着けた者の姿を隠す不思議な道具である「隠れ蓑」、「 隠れ笠」についての記述は、古くは平安時代からみられる。 そして、この「隠れ蓑笠」は、歴史的には鬼との結びつきが深く、 古くは鬼の宝物の一つとしてよく知られていた。
しかし、隠れ蓑が登場する民話として有名なものは「隠れ蓑笠」 型民話であり、この民話類型における「隠れ蓑笠」 の所有者はほとんどが天狗として語られている。 歴史的には鬼と結びつきが強かった「隠れ蓑笠」が、 なぜ天狗の持ち物としてイメージされたのだろうか。
本発表では、天狗と隠れ蓑笠とが結びつくまでの、「隠形」 という性質、及び隠れ蓑笠をめぐる諸相を鬼と天狗に着目し、 概観していった。
『和名類聚抄』などからわかるように、初期の鬼は、 目に見えない存在としてイメージされていた。そして、 その鬼の衣装としては蓑笠がイメージされており、 目に見えない鬼と、その衣装である蓑笠から、「隠れ蓑笠」 が鬼の衣装・宝物としてイメージされはじめた事が推定される。
しかし、時代が下るにつれて、鬼のイメージは変化し、「隠形」 という属性は本質的なものではなくなっていった。また、 鬼の宝物である「隠れ蓑笠」を、 鬼が有効に用いる物語は少なかった。多くの物語での鬼の役割は、 人間に対して「隠れ蓑笠」 を提供する入手経路としての役割が殆どであった。 それらの事から、鬼のイメージの変化に伴い、「隠れ蓑笠」 が鬼の宝物である必要性がなくなった可能性が考えられる。
そして、中世の頃から、 天狗は様々な術を用いる存在としてもイメージされ始めた。 その中には「隠形の術」が存在し、天狗は鬼に代わり、 姿を隠す性質を付与されたと考えられる。 こうして成立した姿を隠す天狗のイメージによって、「隠れ蓑笠」 型民話において江戸時代頃に天狗と隠れ蓑笠との結びつきが成立し ていったのでないかと発表者は考えている。
質疑応答では、 鬼と天狗の扱いの差異に関する諸言説が宗教者らによって故意に形 成された可能性や、兵法を含む、様々な術の系譜から「隠形の術」 が如何に捉えられたかなど、様々な観点からのご指摘を頂いた。 また、日本以外の諸外国、特にユーラシア大陸における「 姿を隠す衣服」 にまつわる民話についての調査の必要性が提示された。今後、 より広い資料収集を行っていき、研究を進めていきたい(執筆: 齊藤竹善氏)。
※これは2022年7月30日(土) にオンラインで開催された第123回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、 必ず発表者兼執筆者の名を明記してください。
※次回は8月20日(土)15時00分オンライン開催です。
「隠れ蓑笠」は誰のものか? ―姿を隠す鬼と天狗―
発表者:
齊藤竹善氏
要旨:
身に着けた者の姿を隠す不思議な道具である「隠れ蓑」、「
しかし、隠れ蓑が登場する民話として有名なものは「隠れ蓑笠」
本発表では、天狗と隠れ蓑笠とが結びつくまでの、「隠形」
『和名類聚抄』などからわかるように、初期の鬼は、
しかし、時代が下るにつれて、鬼のイメージは変化し、「隠形」
そして、中世の頃から、
質疑応答では、
※これは2022年7月30日(土)
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、
※次回は8月20日(土)15時00分オンライン開催です。
タイトル:
勘五郎火、二つに見るか?一つに見るか?
発表者:
怪作戦テラ氏
勘五郎火、二つに見るか?一つに見るか?
発表者:
怪作戦テラ氏
要旨:
「勘五郎火」に関する資料を確認していくと、当初は「一つの火」であったものが、「母と子の魂魄なら二つだろう」というイメージからか、徐々に「二つの火」が出るものとして扱われ、現在ではすっかり地域住民の認識や郷土資料上も「二つの火」が出る話として扱われていることが分かる。「勘太郎火」という呼称については、地元の資料からは確認できない。石井研堂の改変が元ではないかと考える。また「岐阜のアリマサ婆が語った」とされる部分は省かれることが多い。徳授寺は現存しており、特に現地で「勘五郎火」のアピールはされていないが、『徳授寺史』(出版元は徳授寺)でも勘五郎火について扱われており、太陽和尚による供養自体は事実ではないかと考えられる。初出である『雑話犬山舊事記』の記録者は太陽和尚の同世代人で、地域行政の責任者も勤めていた。勘五郎氏自体は「四百年前にあった話」という占い師の証言に出てくる名なので、架空の人物と思われる。しかし、岩倉や東春日井郡にも、犬山とは別の「勘五郎火」があったとすれば、尾張北部で「勘五郎火」という呼称で、母が子を探す怪火の文化があった可能性は考えられる(犬山の影響を受けて拡がった可能性もある)。
「勘五郎火」に関する資料を確認していくと、当初は「一つの火」であったものが、「母と子の魂魄なら二つだろう」というイメージからか、徐々に「二つの火」が出るものとして扱われ、現在ではすっかり地域住民の認識や郷土資料上も「二つの火」が出る話として扱われていることが分かる。「勘太郎火」という呼称については、地元の資料からは確認できない。石井研堂の改変が元ではないかと考える。また「岐阜のアリマサ婆が語った」とされる部分は省かれることが多い。徳授寺は現存しており、特に現地で「勘五郎火」のアピールはされていないが、『徳授寺史』(出版元は徳授寺)でも勘五郎火について扱われており、太陽和尚による供養自体は事実ではないかと考えられる。初出である『雑話犬山舊事記』の記録者は太陽和尚の同世代人で、地域行政の責任者も勤めていた。勘五郎氏自体は「四百年前にあった話」という占い師の証言に出てくる名なので、架空の人物と思われる。しかし、岩倉や東春日井郡にも、犬山とは別の「勘五郎火」があったとすれば、尾張北部で「勘五郎火」という呼称で、母が子を探す怪火の文化があった可能性は考えられる(犬山の影響を受けて拡がった可能性もある)。
※これは2022年2月27日(日)にオンラインで開催された第118回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
※次回は3月13日(日)16時30分オンライン開催です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、必ず発表者名を明記してください。
※次回は3月13日(日)16時30分オンライン開催です。
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プロフィール
HN:
異類の会
年齢:
15
性別:
非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。
連絡先:
gijinka☆way.ocn.ne.jp
(☆を@にかえてください)
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