異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
日時:8月21日(土)15時
会場:Zoom
タイトル:広告塔としての件(クダン)-『依而如件』の意義-
発表者 :笹方政紀氏
要旨:
広告とは、人々に関心を持たせ、商品を購入させるために、媒体を用いて宣伝をすることとされる。それは、商品の情報伝播活動であるともいえる。その商標や企業キャラクターは、他者のものと区分するための標識、いわば企業の顔であり、また企業のイメージでもある。そのように企業にとって重要な商標やキャラクターにもこの世に実存しない異獣が取り入れられ、広告塔としてその存在を知らしめるものがある。
明治時代(~現在)には懐中用薬「清心丹」が人魚を商標としたり、昭和30年前後の河童ブームにおいては、多くの企業がそのキャラクターとして河童を採用したりしている。
本発表では、大正から昭和にかけて人面牛身の異獣「件(クダン)」を商標として取り入れた広告について確認し、「件(クダン)」を商標とし広告塔とする意義について考えてみたい。
※来聴歓迎!
初めて参加する方はTwitterID: @iruinokaiにDM等でご一報ください。
会場:Zoom
タイトル:広告塔としての件(クダン)-『依而如件』の意義-
発表者 :笹方政紀氏
要旨:
広告とは、人々に関心を持たせ、商品を購入させるために、媒体を用いて宣伝をすることとされる。それは、商品の情報伝播活動であるともいえる。その商標や企業キャラクターは、他者のものと区分するための標識、いわば企業の顔であり、また企業のイメージでもある。そのように企業にとって重要な商標やキャラクターにもこの世に実存しない異獣が取り入れられ、広告塔としてその存在を知らしめるものがある。
明治時代(~現在)には懐中用薬「清心丹」が人魚を商標としたり、昭和30年前後の河童ブームにおいては、多くの企業がそのキャラクターとして河童を採用したりしている。
本発表では、大正から昭和にかけて人面牛身の異獣「件(クダン)」を商標として取り入れた広告について確認し、「件(クダン)」を商標とし広告塔とする意義について考えてみたい。
※来聴歓迎!
初めて参加する方はTwitterID: @iruinokaiにDM等でご一報ください。
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タイトル:
お伽草子の物の〈精〉について
発表者:伊藤慎吾
要旨:
室町時代から近世前期にかけられて作られた短編物語草子の一群で あるお伽草子には、人間以外のキャラクター(=異類) が夥しく登場する。
中でも、 人間不在で異類ばかりで成立している物語世界も少なくない。
キャラクターとしての異類は、 神の化身として登場することもあれば、 妖怪として登場することもある。
ところが、『花情物語』や『花の縁(姫百合)』 などに出てくる異類は、神でもなければ妖怪でもない。
そうした異類たちが物語世界に増殖した時代がお伽草子の時代であ ったといえるだろう。
本発表ではこうした有象無象の物の〈精〉 の性格や与えられたイメージを通して、 この時代の擬人化の特色を考えた。
まず、神としての異類/妖怪としての異類/神・ 妖怪以外の異類を示した上で、神仏の力によって(他力)、 あるいは年経た結果(自力)、 生物としての異類が人間的な外見を獲得するもののほか、 先天的に無条件で人間の姿で描かれる物の〈精〉 やそれに類するものがいること、 ついでそれらには対人的な干渉が限定的であることを確認した。
人間関係ということでいえば、物の〈精〉 は人間の文化に対する知識が豊富でありながら、 付かず離れずの距離を保つものとして描かれている。
本発表では神や妖怪として捉えられない異類を物の〈精〉 やそれに類するものとして把握しようとしたものである。
そうすることで、 人間や人間社会に干渉する神や妖怪としての異類ではなく、 人間に等しい存在としての異類がお伽草子の時代に発達していった 結果、擬人物が成長したことを見たかったからである。
今回は取り上げなかったが、謡曲に見られる物の〈精〉 も人間として具現化する。
お伽草子もまた物に宿った霊魂という観念を読み取ることができる 。
これがお伽草子の時代の擬人化キャラクターの特色だろうと考える 。
近世期に大いに発達した〈見立て〉 の趣向が純粋に類推に着想した遊戯だとすれば、 お伽草子のレトリック面ではすでに共通する発想があるが、 しかし、 キャラクター化された異類にはまだその趣向は物語文学の領域では 開拓されていなかったようである。
※第111回は7月18日(日)16時、 Zoomにて開催しました。
次回は8月21日(土)15時、Zoom開催
お伽草子の物の〈精〉について
発表者:伊藤慎吾
要旨:
室町時代から近世前期にかけられて作られた短編物語草子の一群で
中でも、
キャラクターとしての異類は、
ところが、『花情物語』や『花の縁(姫百合)』
そうした異類たちが物語世界に増殖した時代がお伽草子の時代であ
本発表ではこうした有象無象の物の〈精〉
まず、神としての異類/妖怪としての異類/神・
人間関係ということでいえば、物の〈精〉
本発表では神や妖怪として捉えられない異類を物の〈精〉
そうすることで、
今回は取り上げなかったが、謡曲に見られる物の〈精〉
お伽草子もまた物に宿った霊魂という観念を読み取ることができる
これがお伽草子の時代の擬人化キャラクターの特色だろうと考える
近世期に大いに発達した〈見立て〉
※第111回は7月18日(日)16時、
次回は8月21日(土)15時、Zoom開催
日時:7月18日(日)15時~
場所:Zoom
発表者:伊藤慎吾
タイトル:お伽草子の物の〈精〉について
要旨:
日本の中世後期の物語、いわゆるお伽草子群には、神仏の霊験や加護を描く物語が多く生み出された。その一方で、妖怪変化を退治する物語もまた多い。これらはいずれも人間あってこその超自然的な存在である。
人間に利益を与える存在であり、反対に害悪を与える存在である。
それに対して、神仏とも妖怪変化ともつかぬ異類を描く物語も数多く作られた。
それらはしばしば人間不在か人間が周辺に追いやられた世界を前提としている。
その世界の中で、異類たちは人間と変わらぬ社会を形成し、恋愛や合戦を主題とする物語が展開する。
これら神でもなく、妖怪変化でもない異類たちを〈精〉と呼ぶ例が見られる。
本発表では、その捉えにくい物の〈精〉なるものの性格について考えていきたい。
(参考)拙稿「お伽草子擬人物における異類と人間との関係性」『和漢のコードと自然表象(アジア遊学)』2020年)
場所:Zoom
発表者:伊藤慎吾
タイトル:お伽草子の物の〈精〉について
要旨:
日本の中世後期の物語、いわゆるお伽草子群には、神仏の霊験や加護を描く物語が多く生み出された。その一方で、妖怪変化を退治する物語もまた多い。これらはいずれも人間あってこその超自然的な存在である。
人間に利益を与える存在であり、反対に害悪を与える存在である。
それに対して、神仏とも妖怪変化ともつかぬ異類を描く物語も数多く作られた。
それらはしばしば人間不在か人間が周辺に追いやられた世界を前提としている。
その世界の中で、異類たちは人間と変わらぬ社会を形成し、恋愛や合戦を主題とする物語が展開する。
これら神でもなく、妖怪変化でもない異類たちを〈精〉と呼ぶ例が見られる。
本発表では、その捉えにくい物の〈精〉なるものの性格について考えていきたい。
(参考)拙稿「お伽草子擬人物における異類と人間との関係性」『和漢のコードと自然表象(アジア遊学)』2020年)
タイトル:
旅するゴブリン
~1980年代ゲームブック、ファイティング・ ファンタジーにおける
妖精的ヒューマノイドの表現~
発表者:河津 創 氏
要旨:
1980年代の日本におけるゲームのメディア展開において、 先駆的な役割の一部を担ったものとしてゲームブックがある。 日本においてファイティング・ ファンタジーシリーズは妖精物語である指輪物語の流れをくむファ ンタジー作品として1984年から1991年まで一連の作品が出 版された。
本報告では、 シリーズ作品に接した発表者が描き分けにくさを感じたヒューマノ イド型敵対種族において、 対象の外見的特徴がシリーズ作品内にて固定されるわけではなく、 そのイメージが外部に開かれている事を指摘した。
1980年代に出版されタイタン世界を共有する社会思想社版の全 23冊に、それに同じくタイタン世界を共有する『王子の対決( 社会思想社)』と、『ソーサリー(東京創元社)』 の四作品を加えた28作品のゲームブックの全テキストと挿絵を検 証した。また、参照として、作品のタイタン世界を解説した『 タイタンファイティングファンタジーの世界』『モンスター事典』 を用いた。『タイタンファイティングファンタジーの世界』 において主要な章立てがされている”悪の種族”オーク、 ゴブリン、トロール、オーガー、穴小人、闇エルフと、” 善の種族”エルフ、ドワーフを検証対象とした。 イメージの対象は、 作品ごとの演出とイラストレーターの画風によって様々に変化して いた。
テキストにおいては対象が武装していること、 またドワーフに髭があり小さいことが主たる特徴であった。また、 テキストが部分的やあいまい、一度きりのものが多く、 統一的に外見を特定することが難しいことが分かった。
挿絵においては、 全対象武装していることが特徴として確認できたが”善の種族” では半数程度であった。また、テキストで言及されない、 さらに一度しか言及されない特徴が確認できた、 尖った耳や肌のテクスチャがこれに当たる。 ドワーフが髭があり小さいことが確認できた。オーク、ゴブリン、 トロール、闇エルフ、エルフに尖った耳が特徴的に確認できた。 テキストにおいて”いぼだらけ” と表現されることの反映であると思われる肌のテクスチャ感がうか がえる表現がオーク、ゴブリン、トロールに特徴的に確認できた。 オーク、ゴブリンにおいて牙が特徴的に確認できた。 また作品によって大きく対象を特定する特徴が変わる様が確認でき た。
発表では最後に日本のファイティング・ ファンタジーシリーズの出版物においてタイタンを舞台としたシリ ーズ中では流動的であるのではと考えていることを説明した。 流動的であることは仮説の段階であり今後の課題である。
質疑応答では、ゴブリンの肌が緑の表現に対して、 1920年代の出版の色の教科書で推奨している補色とコントラス トの表現があることを指摘したことに対して、 妖精が好む色として緑色があることが言及された。また、 雑誌の付録で示されてきた対象と比較できる可能性に話が及んだ。 逆に、 日本における妖怪が海外においてどのようにファンタジー世界で表 現されているかという関心も持たれた。(文・河津創氏)
※次回は7月18日(日)15時Zoom開催です。
旅するゴブリン
~1980年代ゲームブック、ファイティング・
妖精的ヒューマノイドの表現~
発表者:河津 創 氏
要旨:
1980年代の日本におけるゲームのメディア展開において、
本報告では、
1980年代に出版されタイタン世界を共有する社会思想社版の全
テキストにおいては対象が武装していること、
挿絵においては、
発表では最後に日本のファイティング・
質疑応答では、ゴブリンの肌が緑の表現に対して、
※次回は7月18日(日)15時Zoom開催です。
日時:6月27日(日)15時~
場所:Zoom
発表者:河津 創 氏
タイトル:
旅するゴブリン
旅するゴブリン
~1980年代ゲームブック、ファイティング・ ファンタジーにおける
妖精的ヒューマノイドの表現~
要旨:
文学における妖精の表現は、ヨーロッパにおける民話、 北欧のエッダ、シェイクスピアの表現、 またキリスト教における悪魔的存在として意味の付加などを素地に 、 アンデルセンの童話集を経てロマン主義そしてヴィクトリア朝気に おける児童文学の中で表現されてきたとされる。そして、 20世紀にはトールキン、C.S.ルイス、チャールズ. ウィリアムズのインクリングスらの表現を経つつ、 妖精の表現は逐次日本においても供給されてきた。
本発表では、複雑な経歴を辿る妖精物語の歴史の中で、 作家により様々に表現されてきた対象がゲームというメディアを通 して表現された1980年代において、 とらえがたいその姿が日本においてどのように供給されたか、 ファイティング・ ファンタジーという一連の作品群においてイラスト製作者である発 表者が特に描き分けづらさを感じたタイタン世界のヒューマノイド 型の敵対的種族の表現を検討する。具体的にはゴブリン・ オークを中心に文と挿絵の分析を行った。
※参加歓迎。
初めて参加希望の方は、「異類の会広報用」(TwitterID:@iruinokai)にDMを。
本発表では、複雑な経歴を辿る妖精物語の歴史の中で、
※参加歓迎。
初めて参加希望の方は、「異類の会広報用」(TwitterID:@iruinokai)にDMを。