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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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日時:
 9月26日(日)15時
 Zoom開催

タイトル:
 船幽霊と柄杓愛知の事例を参考に
発表者 :
 怪作戦テラ氏
 
要旨:
「船幽霊」といえば「底の抜けた柄杓」で対応する事例が非常に有名である。
 しかし、愛知には「通常の柄杓(底が抜けていない)」を船幽霊の対処方法としている事例が存在する。通例に沿って考えると、どんどん水を汲み入れられてしまって逆効果になってしまう。これはどのように考えたら良いのか。日本の船幽霊史を振り返りつつ、船幽霊と柄杓の関係を考えたい。
※来聴歓迎!
初めて参加する方は
 TwitterID: @iruinokai
にDM等でご一報ください。

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タイトル:
広告塔としての件(クダン)-『依而如件』の意義-


発表者:
笹方政紀氏


要旨:
 人面牛身の異獣「件(くだん)」(以下、「クダン」とする)は、コロナ禍で疫病退散の象徴として注目された「アマビエ」と同様の存在であり、その特徴として特に予言をすること、そして予言は外れないという点がピックアップされた。しかし、クダンには他に「その言うこと一言は正しい」という重要な特徴もある。それは「依而如件(よってくだんのごとし)」の言葉で表現され、予言をすることよりも以前にクダンに備わるものである。
 本発表では、近世から近代にかけて、クダンと「依而如件」の関係を確認するとともに、「如件」の文字を伴うクダンを商標とした「痔薬」と「鋸」の2種類の広告について考えた。
 岡山に本店を有した「肛門薬商会」(痔薬)のクダンの姿を標した広告は、岡山駅近くにあった地元の大きな看板から、特約店・販売店を拠点とした琺瑯(ホーロー)看板、そして新聞・雑誌の紙面において掲載された広告と展開されることで、地元周辺だけでなく全国規模に広がるものであったことが窺えるものであった。記事広告では「効能書に嘘は言はぬ」という意味でクダンを商標として選んだという。その広告の反応は幾つかの民俗資料などにも残されている。「肛門薬商会」は昭和の戦前には輸出も始め、戦後しばらく続けたのち店を閉じている。
 熊本の人吉市に店舗を構えていた「件鋸店(件鋸製作所)」では、製作した鋸の両面にクダンの商標を刻印していた。大工町の店舗や向かいの工場付近では複数の看板広告があった。店舗では入口上部に鋸を模した看板が、また、ショーケースにも立て看板が掲示され、クダンの商標と共に「クダンハウソヲイワヌ」の言葉を添えられていた。これら存在感のある看板広告は鋸を必要とする林業従事者だけでなく、観光で訪れる者にも大きなインパクトを与えるものであった。
 クダンの商標はどちらも「如件」を伴うものであり、「如件」、つまりクダンの「その言うこと一言は正しい」ことをもって、商品の有効性や出来(切れ味)を保証するものであった。ともすればクダンは予言をすることが取り上げられがちではあるが、正しいことを言うことは、原初的であり、かつ、クダンの根幹をなす特徴であるといえる。今後もクダンの広告に関する資料を集めることで、さらに当時の人々がクダンを求めた心性を解き明かせるものと考える。(文・笹方政紀氏)

※第112回は8月21日(土)15時、Zoomにて開催しました。
 次回は9月26日(日)15時、Zoom開催。

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日時:8月21日(土)15時
会場:Zoom


タイトル:広告塔としての件(クダン)-『依而如件』の意義-
発表者 :笹方政紀氏

要旨:
広告とは、人々に関心を持たせ、商品を購入させるために、媒体を用いて宣伝をすることとされる。それは、商品の情報伝播活動であるともいえる。その商標や企業キャラクターは、他者のものと区分するための標識、いわば企業の顔であり、また企業のイメージでもある。そのように企業にとって重要な商標やキャラクターにもこの世に実存しない異獣が取り入れられ、広告塔としてその存在を知らしめるものがある。
明治時代(~現在)には懐中用薬「清心丹」が人魚を商標としたり、昭和30年前後の河童ブームにおいては、多くの企業がそのキャラクターとして河童を採用したりしている。
本発表では、大正から昭和にかけて人面牛身の異獣「件(クダン)」を商標として取り入れた広告について確認し、「件(クダン)」を商標とし広告塔とする意義について考えてみたい。


※来聴歓迎!
 初めて参加する方はTwitterID: @iruinokaiにDM等でご一報ください。

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タイトル:
お伽草子の物の〈精〉について

発表者:伊藤慎吾

要旨:
室町時代から近世前期にかけられて作られた短編物語草子の一群であるお伽草子には、人間以外のキャラクター(=異類)が夥しく登場する。
中でも、人間不在で異類ばかりで成立している物語世界も少なくない。
キャラクターとしての異類は、神の化身として登場することもあれば、妖怪として登場することもある。
ところが、『花情物語』や『花の縁(姫百合)』などに出てくる異類は、神でもなければ妖怪でもない。
そうした異類たちが物語世界に増殖した時代がお伽草子の時代であったといえるだろう。
本発表ではこうした有象無象の物の〈精〉の性格や与えられたイメージを通して、この時代の擬人化の特色を考えた。

まず、神としての異類/妖怪としての異類/神・妖怪以外の異類を示した上で、神仏の力によって(他力)、あるいは年経た結果(自力)、生物としての異類が人間的な外見を獲得するもののほか、先天的に無条件で人間の姿で描かれる物の〈精〉やそれに類するものがいること、ついでそれらには対人的な干渉が限定的であることを確認した。
人間関係ということでいえば、物の〈精〉は人間の文化に対する知識が豊富でありながら、付かず離れずの距離を保つものとして描かれている。

本発表では神や妖怪として捉えられない異類を物の〈精〉やそれに類するものとして把握しようとしたものである。
そうすることで、人間や人間社会に干渉する神や妖怪としての異類ではなく、人間に等しい存在としての異類がお伽草子の時代に発達していった結果、擬人物が成長したことを見たかったからである。
今回は取り上げなかったが、謡曲に見られる物の〈精〉も人間として具現化する。
お伽草子もまた物に宿った霊魂という観念を読み取ることができる
これがお伽草子の時代の擬人化キャラクターの特色だろうと考える

近世期に大いに発達した〈見立て〉の趣向が純粋に類推に着想した遊戯だとすれば、お伽草子のレトリック面ではすでに共通する発想があるが、しかし、キャラクター化された異類にはまだその趣向は物語文学の領域では開拓されていなかったようである。

※第111回は7月18日(日)16時、Zoomにて開催しました。
 次回は8月21日(土)15時、Zoom開催

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日時:7月18日(日)15時~
場所:Zoom

発表者:伊藤慎吾
タイトル:お伽草子の物の〈精〉について

要旨:
日本の中世後期の物語、いわゆるお伽草子群には、神仏の霊験や加護を描く物語が多く生み出された。その一方で、妖怪変化を退治する物語もまた多い。これらはいずれも人間あってこその超自然的な存在である。
人間に利益を与える存在であり、反対に害悪を与える存在である。
それに対して、神仏とも妖怪変化ともつかぬ異類を描く物語も数多く作られた。
それらはしばしば人間不在か人間が周辺に追いやられた世界を前提としている。
その世界の中で、異類たちは人間と変わらぬ社会を形成し、恋愛や合戦を主題とする物語が展開する。
これら神でもなく、妖怪変化でもない異類たちを〈精〉と呼ぶ例が見られる。
本発表では、その捉えにくい物の〈精〉なるものの性格について考えていきたい。

(参考)拙稿「お伽草子擬人物における異類と人間との関係性」『和漢のコードと自然表象(アジア遊学)』2020年)

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異類の会
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15
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非公開
誕生日:
2009/09/15
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新宿ミュンヘンで誕生。

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