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異類(人間以外のキャラクター)について研究報告・情報提供・談話をする集まりです。妖怪関連多め。時代や地域は問いません。古典文学・絵巻・絵本・民間説話・妖怪・マンガ・アニメ・ゲーム・同人誌などジャンルを越境する会です。TwitterID: @iruinokai
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タイトル:
真珠庵本『百鬼夜行絵巻』について
発表者:
名倉ミサ子 

要旨
 真珠庵本で課題となっている妖怪について考察した。真珠庵本の妖怪には多義性があり、組み合わせによって意味が異なっているものがある。
 《赤い妖怪》は赤子あるいは胞衣と見られるが、これを宗派に分類するなら妻帯を認めた浄土真宗であり、孕み女と組むなら赤子、疫神と対峙する場合には胞衣から作られる薬を意味する。当時は新しい医術や医書が輸入され、僧医の活動が目立ち始めた時代であった。
 《幣を持つ天狗》と《白布》の妖怪は、舞楽法会に関わる入調
舞(延年)の白拍子か。猿田彦や大天狗の可能性も考えられる。赤鬼が頭に載せた「鍋蓋」には取手がないが、これは鍋蓋ではなく金属製の器物の可能性がある。真珠庵本の摸本には真珠庵本と同色で描かれている巻は少なく、描き方や着色には多様性がある。
(文・名倉ミサ子氏)


※これは2023年4月30日(日)にオンラインで開催された第132回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、
必ず発表者名を明記してください。

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第132回開催のご案内

日時:4月30日()15時00分
会場:オンライン(Zoom)開催
 
タイトル:
真珠庵本『『百鬼夜行絵巻』の妖怪について

発表者:
名倉ミサ子

要旨:
 真珠庵本『百鬼夜行絵巻』には文字がまったく書かれず、これに関する資料もいっさい見つかっていないのが特徴であり、これは真珠庵本の全容解明を阻んできた最大の要因と考えられる。この絵巻に描かれた妖怪たちは何を意味しているのか当代の文献や絵などから探ろうとする試みから、真珠庵本が仏教と深く関わり、妖怪の行列は舞楽法会の行列を模しているという結論を得た。さらに僧や説話の人物などが妖怪として描かれ、仏教における破戒が主題となっている可能性などについても既に記述した。しかしいまだ検討中の妖怪もあり、それらについて考えてみたい。


※来聴歓迎!
初めて参加する方は
 TwitterID: @iruinokai
にDM等でご一報ください。
 

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タイトル:
現代における「牛鬼」表象とその成立について
発表者:
加藤嵩人氏 

要旨
 「牛鬼」という名で呼び表される妖怪について、民間伝承や伝説の中に語られるものから絵画上に描かれるもの、あるいは南予地方の祭礼行事に登場する練物やそれを象った民芸品まで、多種多様に存在する。特に伝承における「牛鬼」は出没地域や形態などの要素もさまざまであり、異なる怪物伝承が「牛鬼」という統一された名称を与えられ、それぞれ異なる地域において伝承されてきたのではないかと考察を行った。

 また現代における「牛鬼」の表象については上記のさまざまな要素(複数の伝承、絵巻物のビジュアル)が組み合わせられ、「牛鬼」という一個の妖怪として確立しており、こうした背景には水木しげる『ゲゲゲの鬼太郎』「牛鬼」(1968年)の影響も多分に存在していると考えられる。

 このほか、国立国会図書館の全文検索機能を用いて1945年から70年までの「牛鬼」に関する言及を取りまとめ、南予地方における牛鬼祭礼の観光資源としての全国的な扱われ方や、児童文学・演劇での「牛鬼」の取り沙汰され方など、その後の「牛鬼」受容に対してどのような下地が作られていたのかについて提示し、また参加者との意見交換を行った。

 今後は議論にて得られた情報や知見を基に、今回の発表ではあまり触れられなかった70年代以降の「牛鬼」展開や近世資料に現れる「牛鬼」など、更に研究とそれを成立させるに足る説得力を深めていきたい。
(文・加藤嵩人氏)


※これは2023年3月26日(日)にオンラインで開催された第131回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、
必ず発表者名を明記してください。

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第131回開催のご案内

日時:3月26日()15時00分
会場:オンライン(Zoom)開催
 
タイトル:
現代における「牛鬼」表象とその成立について

発表者:
加藤崇人氏

要旨:
 伝承に語られる恐ろしい怪物、絵巻物に描かれた凶悪なビジュアル、祭礼に現れたる巨大な練物、現代サブカルチャーに登場する様々なキャラクター……「牛鬼」はその媒介によって多種多様な一面を持つ妖怪である。

 本発表ではそうした「牛鬼」の持つ多面性に関して資料を交えながら整理分析を行い、特に戦後昭和から現代にかけて、どういった「牛鬼」表象が形作られ、また受け入れられていったのかについての考察を行う。


※来聴歓迎!
初めて参加する方は
 TwitterID: @iruinokai
にDM等でご一報ください。

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タイトル:
酒と煙草の合戦物語について
ー江戸時代の異類合戦物『酒煙草合戦』を読むー

発表者:
伊藤慎吾

要旨:
近世中期、各地の名物・物産品が流通するようになる中で、酒や煙草といった嗜好品もまた異類合戦物の中に擬人化キャラクターとして登場するようになった。『酒煙草合戦』はそうした文化的コンテクストを背景に成立した物語と評価できるだろう。
以下、要点をまとめる。

1, 『酒煙草合戦』は徳田本及びたばこと塩の博物館A本から成る甲類と、孤本である同B本の乙類の二つの系統に分けることができる。

2,甲類の二種の伝本の関係はまだ明確ではない。しかし、A本にあるべき本文が欠落していることや勢揃えのパートに伴う軍勢総数の記述が勢揃えから離れていることなどから、A本が大幅に加筆修正したのではないかと思われる。

3, 乙類は甲類から派生したものではなく、同じコンセプトで新たな創作を試みたものと思われる。

4,
甲類乙類ともに越後の在方の酒が擬人化し、また酒造地が登場することが多い点に特色の一つがある。また、煙草は東北、甲信越の産が中心であるが、やはり煙草の産地としては全国的に無名な越後の村名が見られる。一方、越後以外の酒・煙草は主に全国的に知られたもの(伊丹諸白や国分煙草等)、越後に通じる街道筋の産物(会津、米沢、信州産等)である。このことから、本物語は、越後国内の酒・煙草の流通に通じた人物の手になるのではないかと思われる。
B本の旧蔵者が新発田藩の豪農(城下町近郷)であったことを思うと、18世紀後半の、越後国内における物産品の生産や流通に関わった地主層に注目する必要があるかもしれない。
 
なお、徳田本は近刊の『國學院大學栃木短期大学紀要』に翻刻掲載の予定である。
また、会の後、新たな知見を幾つか得たので、それらを含めて今夏までに論文に仕上げたい。
(文・伊藤慎吾)


※これは2023年2月26日(日)にオンラインで開催された第130回異類の会の報告です。
※上記の文章を直接/間接に引用される際は、
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プロフィール
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15
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非公開
誕生日:
2009/09/15
自己紹介:
新宿ミュンヘンで誕生。

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